2008.11.1
「わたしたちの難民問題2008/vol.12」を開催しました
2008年10月から11月にかけて難民事業本部関西支部は、神戸YMCAと共催で「わたしたちの難民問題2008/vol.12」 全5回シリーズを神戸市青少年会館にて開催しました。学生や社会人などを対象に、難民支援に携わっている方から 難民問題について話をして頂き、自分たちに何ができるのかを考えることを目的としたこのセミナーは、今年で12年目 を迎えました。各回とも30〜50名の参加者があり、難民問題は全く初めてという方から、実際に難民支援に携わった 経験のある方まで様々でしたが、参加者からは難民問題について分かりやすい説明が聞けたとの感想を得られました。 第1回から第3回は海外の難民問題に携わるジャーナリストやNGOスタッフの方に、難民発生の歴史から現在の状況まで、 ご自身の活動を元に現地の状況を交えたお話を聞きました。 第1回は、1993年からミャンマーで取材を続けているフォトジャーナリストの宇田有三さんに、自身の体験や経験を 元に講演をして頂きました。ミャンマー軍事政権と民主化及び人権状況を巡る問題、難民条約に加盟していないタイの 受け入れの実情とタイ国境沿いの難民キャンプでの生活、第三国定住などミャンマーの難民について話を伺いました。 第2回は、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン統括責任者である明城徹也さんに、スーダン難民とその支援 の状況について、写真などを交えた詳しい説明を伺いました。まず、1983年から2005年までの22年間に及んだ、宗教、 民族、植民地時代の統治、資源の利権などが複雑に絡んだ内戦の歴史をはじめとし、難民発生の背景を説明して頂き、 その上で、ピースウィンズ・ジャパンが2006年より実施しているスーダン支援事業を通して、帰還民や帰還支援の現状 について話をして頂きました。 第3回は、イラクの子どもを救う会代表の西谷文和さんに、イラクの国内避難民やシリアなど国外にいるイラク難民に ついて、シリアのダマスカスには200万人ものイラク難民がおり、難民認定が進まない状況であること、イラク国内の スレイマニアの国内避難民は電気や水道もない状況下で生活をしていること等を伺いました。映像や写真を交えての 詳細な説明によりイラク難民の最新の情報を知ることができました。 第4回と第5回は、国内の難民問題として、日本における難民認定申請者とインドシナ難民の生活状況や彼らを取り 巻く日本の法制度や支援について、話をお聞きしました。 第4回は、特定非営利活動法人難民支援協会理事兼職員である筒井志保さんから、まず、難民条約に基づく難民の 定義や世界の難民の流出及び受け入れ状況の説明をして頂きました。その上で、日本での難民の受け入れ状況や日本に 来た難民の方が抱える様々な問題とその支援について実情を詳しく伺いました。 第5回は、自身がベトナム難民であり、同国人のための支援ボランティア活動をしているNGOベトナムIN KOBE代表の ハ・ティ・タン・ガさんに日本社会で暮らすインドシナ難民の現状とその二世が抱える問題について話をして頂きまし た。まず、自身が船でベトナムから脱出して日本までたどり着いた経緯、日本に来てからは言葉の壁や就職の際の差別 などを乗り超えながら日本社会の中で生きてきたことなど、ガさんの実体験を交えた話を伺いました。また、NGOベト ナムの活動内容や、若者世代の就職、子どもの教育状況など、日本が受け入れを開始してから30年を経過した現在の インドシナ難民の抱える問題や現状について説明を伺い、日本社会の中で生きてきたことなど、インドシナ難民が生活 していく上で遭遇する様々な困難を改めて知ることができました。 日本で生活することになった難民認定申請者、インドシナ難民の支援に取り組んでいるお二人からは、難民と難民を 受け入れる国の人々が共存するにあたって、違いを恐れず興味を持つことの大切さがメッセージとして語られました。 今回のセミナーでは、普段日本の情報では知ることができない直接支援等に関わった各講師の話に、参加者は真剣に 聞き入っていました。多くの質問が出されるだけでなく、講演後も講師に話を聞きに行くなど、参加者一人ひとりが 難民問題について具体的に考える機会となりました。
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