2009.9.28
「スタディツアー2009」開催報告
2009年9月15日(火)・27日(日)の2日間にわたり、難民事業本部は「スタディツアー2009」を開催し、実際に日本に暮らす難民の方々の様子を知ることを目的として、インドシナ難民定住者が働く職場と条約難民(ミャンマー難民)定住者のコミュニティー活動の現場を訪問しました。今回のツアーには、難民問題に対する関心が高いマスコミ関係者を始め、学生、社会人、NGO職員など17人が参加しました。 ツアー1日目は、難民事業本部でオリエンテーションを終えた後、現在11人のベトナム難民定住者が働く株式会社勝製作所(横浜市)を訪問しました。事業所の方のお話からは、難民を雇用する上で言葉の壁や文化の違いなどを克服するため、試行錯誤を続けてきた様子がうかがえました。待遇や技術指導面で日本人従業員と区別しないという方針が高い定着率につながっていると思われます。実際に難民の方が作業を行っている工場の見学では、機械の音が鳴り響き、蒸気や火花が飛び散る中で、参加者は現場の空気を肌で感じることができたようです。難民受入れの成功の鍵は、こうした企業の理解を得ることだと改めて認識させられました。 2日目はミャンマーコミュニティーの活動現場を2カ所訪問しました。最初に訪れたカレン民族母語教室・文化継承では母語教室を見学しました。ミャンマーでは1948年に始まり現在も続いている国内戦争以降、カレン語が禁止されているため、子どもたちの世代はカレン語の読み書きができないのだそうです。このような状況を受け、同コミュニティー活動は、日本に住むカレン人が集まって、危機に瀕している母語・母文化を継承する目的で2004年に開始されました。ツアー参加者の中にはカレン民族、カレン語の存在を初めて知る方もいたようですが、こうした言語継承の大切さと支援の重要性を感じていたようです。 そして、ツアー最後の訪問先はモータウチェ図書館です。マンションの一室に所狭しと並ぶ約5,000冊の蔵書の中には、祖国では既に手に入らない物も少なくないそうです。個人レベルで膨大な図書を維持していくための費用、労力に驚きながらも、「命をかけて本を守っている」という言葉がツアー参加者の心に深く響いたようでした。 ツアー終了後、実際に日本に住む難民がどんなところで働き、どのように生活しているかを自分の耳で聞き、目で見ることは大変貴重な経験となったとの声が多数寄せられました。また、今回のツアーにはマスコミ関係者数名の参加がありましたが、日本政府が来年から「第三国定住プログラム」により、タイの難民キャンプからミャンマー難民を年間30人3年にわたり受け入れることから、難民問題への注目が高まっているのかもしれません。
難民定住者の働く現場を見学 (株式会社 勝製作所にて) |
関連記事
- 2018.03.06
- 難民事業本部スタディツアー2018を開催しました(2018.03.05-06)
- 2017.03.07
- スタディツアー2017「教育支援を通して難民問題を考える」を開催しました(2017.03.07,08)
- 2016.03.04
- スタディーツアー2016を開催しました
- 2015.03.04
- スタディツアー2015「聞いて、見て、知ろう!日本で暮らす第三国定住難民 第2弾」を開催しました
- 2014.03.04
- スタディツアー2014「聞いて、見て、知ろう!日本で暮らす第三国定住難民」を開催しました