INFORMATION

2019.3.1

「定住者の声 No.12」関西在住ベトナム人の情報拠点として

 関西地域では、非営利団体である神戸定住外国人支援センター(KFC)が定住外国人の自立・自活を支援する活動を行っています。今までは活動の中にベトナム人の支援が含まれていましたが2001年3月でこの支援は終わり、この活動は「NGOベトナム in KOBE」に移りました。代表のホアン・ミン・マンさん(ベトナム)から、日本での生活とコミュニティーの活動についてお話を伺いました。

在日ベトナム人の子供たちの集まり 私は、1984年に数名の人たちと小船でベトナムを脱出しました。海上では助けてくれる船がなく、一週間の漂流が続いた頃やっとのことで外国船に救助され、インドネシアのガラン島にある難民キャンプにたどり着くことができました。難民キャンプは食料も少なくて不便な生活でしたが、優しい心を持った島の人たちと接したり、子供のためのボーイスカウト活動や孤児センターでのボランティア活動など良い思い出もあります。

 兄が日本で暮らしていたため85年に来日後、姫路定住促進センターで日本語などを学習し、就職をあっせんされて日本での生活が始まりました。仕事は、照明の製図作成や部品製造・組立をする会社に就職しました。会社から推薦されてコンピューターの操作を学ぶ高校にも通わせてもらうなど、会社の方には大変お世話なりました。仕事は大変楽しかったのですが、私はベトナム人のために何かしたいという夢をどうしても捨てきれないでいました。とうとう司祭になることを決心し、90年から9年間名古屋にある南山大学神学部で哲学や神学について勉強しました。卒業後2年間は名古屋で、2001年4月からは関西のベトナム人担当としてカトリック鷹取教会で司祭として勤めています。

 95年の阪神・淡路大震災では、日本語が読めないために行政の支援を受けられないなど、在日外国人の抱える問題が明らかになりました。その後の活動を通じて自分たちの問題は自分たちで解決しなくてはいけないと、生活相談やベトナム文化の伝承活動を行うコミュニティー組織「NGOベトナム in KOBE」を2001年7月に発足しました。宗教や世代を越えてベトナム人同士が助け合うコミュニティーです。事務所は神戸市長田区のたかとりコミュニティーセンターに置き、在日ベトナム人4人のスタッフで通訳・翻訳、ベトナムの文化を伝えるための図書館の運営、母国語教室の開催、ベトナムの食べ物や雑貨の販売、高齢者支援、ラジオ放送による母国語での情報提供などを行っています。現在、一番多い相談内容は親子間の問題です。日本生まれの子供はベトナム語が分からず、親とコミュニケーションがとれないこと、学校でいじめられることなど問題が深刻になっています。二つの文化に挟まれて悩む子供たちに対して互いの相談を話し合えるような交流会を神戸、姫路、大阪で開き、それぞれ30〜60人が集まりました。また、今後は日本語が十分に話せない高齢者の人たちが集う機会を作り、ストレスを和らげるよう遠足などのレクリエーションを計画していきたいと思っています。

関連記事

PAGE TOP