2019.3.1
「定住者の声 No.14」ベトナム語教室の運営
コミュニティー団体「ベトナムの文化を守る会」は、1989年から神奈川県藤沢市でベトナムの子供たちに母国語教室を開いています。代表の範田清さん(ベトナム)に団体の活動や日本での生活についてお話を伺いました。
私は1980年18歳のときに父と2人で日本に来ました。ベトナムからボートで逃げた私たちを大型船が救助し、沖縄の那覇港まで連れてきてくれたのです。そして、沖縄県にある本部難民キャンプに入り、約3年間キャンプ生活を送りました。キャンプでは200名くらいの人たちが、第三国に出国するのを待ちながら何もすることもなく、その日その日を過ごしていて、特に子供たちは学校に通えないため勉強が遅れている状態でした。そこで私は子供たちのためにボーイスカウトで活動したり、ベトナム語教室や教科の指導教室をボランティアで開いていました。
その後、広島県にあった施設みろくの里に移り、83年に国際救援センターに入所しました。退所後は、東京都多摩市にある会社に就職しましたが、周りにベトナム人が住んでいないことと、仕事に役立てるために学校に行きたいという希望もあり神奈川県に引っ越しました。通訳の仕事をしながら神奈川大学で経済学を学びました。その間、日本語の勉強はカトリック教会の人に教えてもらったりもしましたが、ほとんど独学でやりました。大学を出てから会社に勤めた後、独立し貿易関係の会社を経営しています。
神奈川県で暮らすようになってからも、藤沢市の藤沢カトリック教会に場所を借りてベトナム教室を開きました。子供が母国の歴史や文化を忘れないようと始めたことですが、1年後に生徒も増えたのでコミュニティー団体「ベトナムの文化を守る会」を立ち上げることにしました。今では子供が40〜50人集まる中、8人のスタッフとベトナム教室の開催、教科学習の指導、イベントの開催、文化交流会への参加などの活動を行っています。イベントでは夏のキャンプ、フリーマーケット、クリスマスパーティーを実施し、文化交流会やテト(旧正月)を祝う会ではベトナムの踊り、歌、料理を披露しました。これらの活動を通じ子供たちはベトナム文化に触れ、自分のルーツに誇りを持つことができました。今後も活発に活動していきたいのですが、ボランティアで運営しているため予算の制限があるので、皆さんに協力をお願いしたいです。また、学校でもベトナム文化を知るための機会を増やしてもらいたいです。
個人的には、普段から難民定住者の人たちからの相談や問合せがあり、大人からは仕事の相談が多くきます。この不況の中で会社を急にくびになったり、再就職を探しても外国人という理由で採用してもらえない、仕事がなく家族を養えないといった内容です。子供は学校でのいじめの相談が一番多いです。相談を聞くことで精神的に安定させたり、改善できるようなアドバイスをしています。 |
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