2019.3.1
「定住者の声 No.20」大学進学
現在、神戸常盤短期大学に在学している高橋明星(トラン ティ キム ホエ)さんに、今までの学校生活で感じたことや、受験勉強のことなどについてお話を伺いました。
中学生のころから日本人の友達が多かった高橋さん(写真左) |
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学校生活
ベトナムからボート・ピープルとして来日した両親の元で、私は1984年に広島で生まれ、現在は両親と兄と妹の家族5人で兵庫県姫路市に暮らしています。
私が通っていた姫路市の小学校は、国際交流が盛んな学校で、給食の時間に世界各国の音楽を流したり、韓国の人を招待して民族衣装のチョゴリや、民族舞踊をみせてもらったりしました。先生からアオザイ(ベトナムの服)を持ってきてほしいと頼まれ、教室でベトナムについて紹介してもらったこともあります。そのときは恥ずかしくもありましたが、注目されて気分が良かったことを覚えています。同級生にせがまれて、家でベトナム料理を振舞ったことも度々ありました。
中学生のときから通称名を使っています。これは、いろいろな手続きの際に、日本名であると書類が1枚ですむところを、カタカナの名前だと何枚も必要になる場合があるために、両親が決めました。しかし、私は同級生に外国人であることを隠しませんでした。自己紹介の時には、必ず「私は外国人です」と自己アピールするのです。すると同級生は私に関心を持ってくれましたし、自分でも外国人だということを自慢しているところがありました。だからいじめなどの苦労をすることがなかったのだと思います。
学校生活で戸惑ったことは、授業参観や運動会、遠足に行くときです。こうした行事に初めて参加するときは、行事の内容が分かりませんでした。日本生まれで言葉に不自由なく、授業でも困ることはなかったのですが、学校行事のことは両親も知らないことだと分かっていたので、学校で配られるプリントを見たり、友達に聞いたりして自分で解決していきました。
受験勉強
私は、大学別に入試問題の傾向があることや、受験勉強にもいろいろな方法があることを知りませんでした。学校で学んできたことだけが入試問題で出題されると思っていたのです。そのため、受験勉強は学校での授業をしっかりと復習し、授業で使う問題集を繰り返し解いたことだけでした。そして、分からない問題があると先生や友達に聞いて習得していったのです。塾があることは知っていましたが、両親にお金の負担をかけたくなかったので通いませんでした。
高校選びや受験制度については分からないことが多かったです。進路相談で先生にどこの高校を希望しているのかたずねられても、高校がどこの場所にあって、どれくらいの偏差値であるのかさえ分かりませんでした。ただ、家庭でも兄が受験を済ませていたことで、少しは理解してくれる環境にありました。特に7歳上の叔母が、いろいろな相談にのってくれたことや、担任の先生が熱心に指導してくださったことで乗り切れたのだと思います。
大学進学
大学進学については、以前から両親が医療系に進んでほしいという希望があったので、当時の担任の先生に相談したところ神戸常盤短期大学を紹介されました。小さいころから学校の授業でも実験が好きで、自分には検査をするような仕事がむいているとも思いましたし、将来は両親の身体も診てあげたいと思ったからです。
衛生技術科は3年制で、臨床検査技師の養成を目指した学科です。日々の講義や実習では、血液検査やガン細胞などの細胞検査について学んでいます。そして、将来は臨床検査技師となり、病院や検査センターに勤務して、血液や尿、組織をもとに行う検査等の仕事に就くことが目標です。 |
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