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2013.2.26

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「定住者の声No.16」2001年度交流の夕べの開催

 コミュニティー団体「かながわベトナム親善協会」は、2002年3月17日(日)に神奈川県大和市勤労福祉会館で「2001年度交流の夕べ」を開催しました。これは、本協会が毎年行っている交流会で、一年間の活動報告や、協力団体・個人への感謝の意を表するとともに、ベトナム料理を食べながら交流を楽しむものです。昨年度は中止したため、2年振りの開催となりました。「かながわベトナム親善協会」交流の夕べ運営委員のレー・バン・カンさん(ベトナム)に団体の活動や交流会の様子について伺いました。


二世の活躍
 当日は、来賓の方々の紹介、そしてご挨拶をいただいた後、本協会の代表から協会の活動内容や、ベトナム人コミュニティーの抱える問題、そして今まで協力してくださった方々への感謝など、お礼の言葉を申し上げました。
 続いて、今年大学に進学する学生を激励するため記念品の贈呈も行われました。日本に定住することになってから、難民初代である親の世代は、生活の安定のために一生懸命頑張ってきました。そのおかげで子供たちは、義務教育後さらに上の教育機関に進学できるようになりました。ほとんどの子供は高等学校に進学し、また大学へと道を進める人も多くいます。そのベトナム人学生の数は、過去に比べて現在は非常に増えており、私たちベトナム人にとっては大変喜ばしいことです。

“すたんどばいみー”によるソーラン節
ベトナム料理を囲んでの交流
 パーティーの始まりには、ベトナム人僧侶のTRAN DUC GIANG様から乾杯の音頭をいただきました。それが合図となり、パーティーに入る前からそわそわしていた子供たちがいっせいに料理に手を出します。パーティーはそれはそれは和やかな雰囲気で時間が過ぎていきました。友人やお世話になった方との再会を喜ぶ人、同胞に囲まれて安堵する人、久し振りに感じるベトナムの雰囲気や料理を楽しむ人、初めて接するのベトナム文化にとまどうベトナム難民二世の人たち等々、さまざまな人間模様がありました。途中からカラオケ大会が始まり、カラオケ好きな人が率先して、ステージでベトナム歌謡曲を歌いました。日本でベトナム語のカラオケができる場所は本当にまれです。そのためか、ここぞとばかりに、たくさんの人が思い思いの歌をリクエストしてカラオケを楽しんでいました。飛び入り参加があったりと、会場は大いににぎわいました。
 今年は、恒例のビンゴ大会に入る前に、難民定住者の子供たちを中心とした、自主運営の活動グループ“すたんどばいみー”の皆がソーラン節の踊りを披露してくれました。この日のために一生懸命練習してくれた踊りを、元気よく楽しく踊ってくれました。このような若者の団体は、親世代にとっては大変うれしいものに違いないと思います。自らのアイデンティティーや立場、自分とは何かを考えようとする前向きな姿勢は、明るい未来には必要不可欠なものだと思います。
 そうして今年の「交流の夕べ」は、成功のうちに幕を閉じました。運営委員にとってはこれほどうれしいことはありません。本当はこのような交流会をもっと頻繁に行いたいのですが、運営者や参加者の地理的・時間的な問題などもあり、そう度々開催することは難しいのが現実です。

かながわベトナム親善協会の活動
 今回の主催者である私たち親善協会は、日本に定住しているベトナム難民の相互援助を目的として、ベトナム難民でメンバーを集め発足した団体です。主な活動内容としては、ベトナム−日本間の交流行事の開催、ベトナム語ニュースレターの発行(日本全国にいる、連絡の取れるベトナム人同胞に2ヵ月に1回無料で発行しています。現在は約800世帯に郵送しています。)、法律・生活・学業・失業保険等に関する電話相談、病院・学校・弁護士相談等における通訳、ベトナム語文や書類の和訳・英訳等多岐に及びます。これら全ては、同協会のメンバーの空き時間に無償で行われています。無論、これらの活動には、たくさんのボランティア団体や個人の方々の協力があってこそ、今も続いているということを忘れてはいません。

言葉の壁
 日本での安定した生活を手に入れるために、親の世代は死に物狂いで頑張ってきました。そのおかげで、既述したとおり、子供たちの進学率は高くなりました。しかしそれに対して、未だに解決のできない問題もあります。それは言葉の問題です。子供たちは問題ないですが、親の世代の場合、個人差はありますが、ほとんどは片言でしか日本語で会話ができません。逆に子供たちはどんどん日本語を覚え、ベトナム語を忘れていってしまうことが多いのです。言葉の問題は、社会や職場で、ひいては家庭内にまで溝を作ることになってしまっているのです。家庭内、つまり親子間で意思の疎通ができないのは、家族としてとても悲しいことではないでしょうか?
 近年の不況により、この言葉の問題はさらに深刻さを帯びてきました。失業した人が仕事を求め職業安定所に足を運びますが、私たち外国人の場合は言葉が分からないので紹介できないと言われることもあります。これは、職業安定所の職員が差別をしているわけではないのです。受入れ側の会社や企業が外国人を拒否している場合、職業安定所も紹介できない状態なのです。また職に就いても実際に職場での意思疎通ができないという困難な状況に、今なお直面している人は大変多いのです。
 協会が発足してから今年で7年目となりますが、本当にさまざまな方々の協力なくしては、運営ができなかったと思います。私自身、まだまだ未熟ですので、本当に限られたことしかできませんが、自分のできることから、精一杯協力をしていきたいです。

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