2019.3.1
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「支援者の声 No.2」 ヴィンさんの思い出
兵庫県には姫路定住促進センターがあったことから、大勢のベトナムとラオスの難民定住者の人たちが生活しています。多い時には10人のインドシナ難民定住者を雇用していただいている「株式会社カズキ化成(神崎郡市川町)」取締役社長の木村一美さんにお話を伺いました。
カズキ化成では、ウレタンシートや各種プラント(工場施設・機械装置)の設計作製など主に環境製品の製造を手がけています。インドシナ難民定住者の人たちは、言葉の問題、習慣の違い等いろいろありますが、比較的就職しても定着率は悪く、勤務状況も真面目な従業員とそうでない従業員の両極端に分かれる傾向がある事が大変残念です。また、各々が経済的に“自立する”という生活からは程遠いのではないのかと見受けられます。はっきり目的を持って日本で生活をしている方々は何事にも辛抱でき、日本の習慣にも馴染みやすいように感じられます。よりよい生活向上を目指しつつ、仕事をこなしていくように指導をしています。
ホー・ダック・ヴィンさんは、5年という短い期間でしたが、彼の誠実で責任感のある人間性は我が社でも誰もが認めていたもので、また心の優しい一面もあり、誰よりも心のこもった人間付き合いができ、信頼のできる関係でした。亡くなる1年前ほど前のこと、ヴィンさんの顔色がひどく悪く何か黄色く感じたので、早速私の知り合いの医者に連れて行きましたところ緊急手術となりました。無事に手術を終え、半年後何事もなかったかのように元気に出社しておりました。不治の病と承知しておりましたが、あまりにも変わりないにこやかな顔、態度に病気など嘘のような気がしてなりませんでした。ある日ベトナムに帰るという突然の申し出に、2週間という長い期間に少し驚きを感じましたが、快く了解しました。後に聞くところによると、ベトナムを出てから初めての里帰りであり、ベトナムの家族へたくさん土産を持って帰ったそうです。病気の再発はベトナムでしたが、いわゆる“故郷に錦を飾る”という気持ちではなかったかと思います。ただ今は、ヴィンさんの気持ちを直接問いただすことが出来ずに推察するしか出来ないことを大変淋しく感じられます。合掌 |
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