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2019.3.1

ベトナムコミュニティー

コミュニティー活動「精神医療フォーラム in KOBE」を支援

 難民事業本部では、難民定住者のコミュニティー団体が実施する生活向上のための実践講座、情報交換や地域社会との交流活動に対して活動費用等の助成を行っています。
 2005年6月22日には、神戸定住外国人支援センター運営のディサービスセンター「ハナの会」において、NGOベトナム in KOBE主催、神戸市看護大学保健看護学講座協力の「精神医療フォーラム in KOBE」を支援しました。

 本フォーラムは、ベトナム人コミュニティー団体のNGOベトナム in KOBEが日ごろ実施している精神保健活動の知識向上を図るため、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学医学部精神科臨床教授、バンクーバー地域精神科臨床部部長、バンクーバー総合病院多文化外来部長のソーマ・ガネサンさんを講師に迎えて開催されました。
 講師のソーマ・ガネサンさんは、ベトナムで生まれ、小児科医として医療に従事されていましたが、サイゴン陥落とともに難民となり、フランスを経てカナダに渡られた方です。2年間は他の仕事をした後、医療にかかわるトレーニングを受けて再び医師となり、現在はカナダ国内の総合病院等で多文化間精神医学の実践を行うとともに、バンクーバー全域の臨床部門の長として新しいバンクーバーモデルの再構築に取り組まれています。

 講演では、カナダの移民・難民の歴史、カナダ政府の難民に関する移住受け入れの方針、難民のためのメンタルヘルスサービスの現状等について紹介がありました。
 バンクーバー総合病院では、10名の精神科医師が、日本語を含む15ヵ国の言語で診療を行っており、医師が話せない言語については通訳がつくそうです。この場合の通訳は、資格を持ち、かつ半年間の精神保健に関するトレーニングを受けた者でなくてはなりません。また、精神科インターンやリハビリテーション専門職、裁判所及び警察署職員に対して、難民への接し方についての指導、助言も行っているとのことでした。
 また、カナダの現状として、難民のメンタルヘルスに関する調査やバンクーバーに定住するベトナム難民の追跡調査の結果を基に、ベトナム難民のメンタルヘルスに影響を及ぼすさまざまな要因、母国での体験や職歴と受入国での適応の関係性などについてご報告いただきました。
 参加者からは、医療に関して通訳をする際の注意点や母語で受診できるシステムについて質問があり、講師はご自身とご家族の体験や実践を交えながら回答するなど活発な意見交換が行われました。

 ボートピープルの発生から30年経った現在、日本におけるベトナム人コミュニティーでは薬物乱用、アルコール依存、思春期におけるトラブルなど精神保健にかかわる問題が顕在化しています。しかし、言葉や文化的背景の違いの上に難民という特殊な背景をもつベトナム難民定住者は、予防、治療、リハビリテーション(復帰)にいたるあらゆる過程で困難を抱えています。
 講師は、難民が人権として受けるべきメンタルサービスを提供することをご自身の精神保健活動の理念とされているそうで、「精神科の診療所があって『誰でもどうぞ』と門戸を広げていたとしても、難民の人が自主的に入ることができなければ意味はない」と表現されました。
 参加者は、自らも難民という立場にありながら、ベトナム難民の患者に対して母国語で診療されている講師のお話をうかがうことにより、日本の現状と課題について広く意見交換することができました。

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