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1999.12.15

セミナー「わたしたちの難民問題」 (1999年12月15日)

「スリランカの難民・帰還民」 PHD協会・藤野達也さん

スリランカ全人口1,480万人は、土着のシンハラ1,200万人、インドからの移住者が中心のタミル280万人で構成されています。1796年からのイギリス植民地時代にコーヒー栽培が始まり、安い賃金の労働者を雇うためにインドからタミル人が連れて来られました。スリランカ独立後、民族間の対立は徐々に激しくなり、83年7月のシャフナ事件(シンハラ兵士のタミル女性暴行をきっかけに抗争となり、シンハラがタミル300人を暗殺)以降、様々なテロ・爆発事件が横行しました。結局、スリランカ政府とタミルを支援していたインド政府の間で話し合いが持たれ、タミル語の公用語化、タミルの自治権を認めるなどの協定を締結しましたが、紛争は現在まで続いています。 PHD協会ではアジア・太平洋の国々から研修生を招いて農村・漁村のリーダーを育成しています。昨夏、元研修生を訪ねるため、スタディツアーという形で現地を訪れ、スリランカ北部の内戦地帯にある2つの村を案内してもらいました。シンハラの人々中心の両村は、抗争の結果、建物が破壊され、屋根が燃やされた建物等が残っていました。難民キャンプへ避難した住人達が戻り始めていますが、壊された家を今から再建するところでした。私たちの訪問を知り、集まってきた村人達は、表情が固いのが印象的でした。多くのアジアの国々を訪れたこれまでの経験では、モノはなくても人々の笑顔はいつも素敵だったので、このような経験は初めてでした。村人一人ひとりに銃が配られており、常に臨戦態勢にあることが、更に表情を固くしています。この対立の解決はまだまだ難しく、スリランカ人自身が解決しようとしないと困難だろうと思います。

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