INFORMATION
2015.11.30
セミナー「わたしたちの難民問題2015/Vol.16」を開催しました(2015.11-12)
難民事業本部では神戸YMCAとの共催で、国内や海外の難民問題を広くみなさんに知っていただくためのセミナー「わたしたちの難民問題2015/Vol.16」(全4回)を開催いたしました。
第1回は、NPO法人ルワンダの教育を考える会・理事長の永遠瑠マリールイズさんをお招きし、「ルワンダ内戦の悲劇から学んだこと」と題してお話しいただきました。内戦に至るまでのルワンダの歴史を詳しい解説と、戦火を逃れ隣国の難民キャンプへたどり着くまでの経緯や難民キャンプでの生活など、マリールイズさんの壮絶な体験を伺いました。何度も死を覚悟しながらも偶然や奇跡的な出会いによって生き延びることができたことへの感謝と、決して戦争は起こしてはいけないという強い使命感にあふれたお話を通して、戦争の悲惨さ、平和のありがたさ、人間のたくましさと優しさについて改めて考えさせられました。
第2回は、兵庫県立大学准教授の乾美紀さんに「日本に暮らすラオス定住難民の現状と多文化共生に向けた課題」についてお話しいただきました。研究者として、また支援者として、姫路に暮らすラオス定住難民と長く関わってこられた乾さんより、特に難民として来日した子どもの教育問題について詳しく説明いただきました。多文化共生社会の実現に向けて、コミュニティの行事に参加したり、当事者と一緒に文化を楽しむなど、私たちにできる支援もたくさんあることがわかりました。また、ラオスで学校建設などの支援を行っている学生団体のメンバーによる活動紹介もあり、ラオスへの支援を通じて、日本にいるラオス定住難民への関心や理解につながることが期待されます。
第3回は、上智大学教授の根本敬さんをお招きし、「さまようロヒンギャ難民 その背景と現状」をテーマにお話いただきました。過去2度にわたる大量難民流出から今年5月の海上漂流について、交易時代や他国による占領から独立といった文化的および政治的歴史背景を詳しく知ることにより、状況や原因を明確に理解することができ、また問題解決に向けてもより具体的にイメージすることができました。国や国民とは何か、民主化とは、政治の役割とはなど、普段はあまり意識しない事柄ではありますが、ロヒンギャ問題を通して、難民を発生させない国や社会のあり方について、深く考えさせられる時間となりました。
第4回は、難民を助ける会の景平義文さんにお越しいただき、「トルコでのシリア難民支援活動」についてお話しいただきました。難民についての一般的な知識から、人口の約半数が避難生活を余儀なくされているシリア国内の様子、ほとんどの難民がキャンプではなく都市で暮らしている現状や、都市に住む難民をさがして支援物資を配布したり、コミュニティセンターを開設してトルコ語教室や子どもの遊び場を提供するなどの支援内容に加え、たとえ紛争が収まっても荒廃したシリアへ帰ることは容易ではなく、多くの難民はトルコや他の国で社会の一員になっていかなければならないという、今後の展望についてもお話しいただき、難民問題の解決の難しさを痛感しました。
