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2007.10.30

セミナーわたしたちの難民問題2007「ビルマ難民は今」開催

1996年より開始したセミナー「わたしたちの難民問題」。「私たちに何ができるのか」を一貫したテーマとしてきたこのシリーズ。11年目の今年は「ビルマ難民は今」と題して、2007年10月30日(火)より11月10日(土)まで、全4回のセミナーを神戸YMCAと共催した。 講演内容の一部を紹介し、「ミャンマー難民に対して私たちに何ができるのか」をあらためて考えてみたい。 ミャンマー近現代史を専門とする上智大学教授・根本敬さんは「ビルマの難民問題の背景には、強制労働、住民の強制移動、少数民族に対する非人道的行為など、軍事政権による人権抑圧がある。1942年から1945年の日本占領時代に反イギリス運動団体の青年を核に、ビルマ国軍の大元となるビルマ独立義勇軍が結成された」と日本との歴史的なつながりを指摘する。 タイ国境の難民キャンプで母語の図書による図書館活動をするNGO、シャンティ国際ボランティア会の元スタッフ・中原亜紀さんは「どこにいてもビルマ軍が迫ってきて、この15年間、安心して眠れる日は1日もありませんでした。私たちカレン人は好んで戦いをしているわけではありません。ただ平和に暮らしていきたいだけなのです」と難民女性から聞いている。タイ国境に点在する9つのキャンプでは15万人以上の難民が暮らしている。 2005年に難民として認定されたミンティンさんは「申請中はいつ入管に収容されるのか不安な日々が続く。在留資格がないので、健康保険にも入れず、病気や仕事中の怪我が心配だった」と当時を振り返った。 1982年から昨年までに日本で難民として認定された条約難民410人の内145人がミャンマー出身。昨年の難民認定申請954人の内626人がミャンマー出身である。 2005年からはアメリカなどへの第三国定住がはじまり、既に1万人以上がキャンプを後にした。 日本ビルマ救援センター代表・中尾恵子さんは「難民の多くはいつかは祖国に帰りたいと願っている。遠い欧米で定住するよりも、近くて同じアジア、コメを食べられる日本に定住してもらう方が良いのでは」と日本での第三国定住の実現に期待をしている。 UNHCR駐日事務所副代表・岸守一さんは「『難民は2度否定される』とよく言われる。出身国で自国民であることを否定された上、出身国で得た能力を受け入れられない。例えばかつて医師であった人も、定住国では医師として働くことができない。難民の持つ能力を引き出す支援も必要だ」と話す。 関西の大学に通うミャンマー難民男性は「難民は汚い、黒い、餓えているという偏見をまずなくしてほしい。その上で、身近に難民がいることを周りの人たちに伝えていくことが難民支援の第一歩である」と訴える。 「難民の人たちが、日本に来て良かったなと思えるように、暖かく迎える心を持って接することが大切」と難民事業本部本部長・軽部洋はシリーズを締めくくった。

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