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2005.6.15

ワークショップ難民2005

難民事業本部では、難民問題に関心のある方々を対象に、兵庫県神戸市で2005年6月に「ワークショップ難民2005」を開催しました。
「難民とは?」(6月15日)では、4つのワークショップをとおして、難民の定義や難民の発生原因、難民の置かれた状況について考えました。 「難民キャンプの食事」というワークショップでは、大豆、砂糖、塩、油(水で代用)、容器、はかりを用意し、難民キャンプで成人1人あたりに配給される食物の量を各グループで推測しました。実際の配給量を聞いて、参加者からは「思っていたよりも配給量が多い」という意見や、「ビタミン不足にはならないか」といった質問が出ました。 難民キャンプの現場では、配給する大豆にビタミンを添加したり、寒い地域では1人あたりの配給カロリー量を増やしたり、妊娠・授乳中の女性に補助給食としてクッキーが配られることもあります。しかし、さまざまな要因により実際には国際機関が規定している2,100キロカロリーを配給できない難民キャンプもあります。
「もしあなたが難民となったら」というワークショップでは、各グループが擬似家族となり、難民となって逃げるときに持っていきたい物を話し合って決め、選んだ理由をそれぞれ発表しました。「外国に行くにはパスポートが必需品だと思っていたが、パスポートを入手しようとすることで、迫害を受けている政府に脱出の計画が分かってしまうおそれがあることを知った」など、難民となる状況を想像する中で参加者に新たな気づきがあったようです。「難民という言葉は知っていても、実際どういうものか分からなかったので勉強になった」、「実際に自分たちで体感できたのがよかった」という感想が聞かれました。
「難民と生きる」(6月28日)では、進行役の山中信幸氏(柳学園中高等学校教諭)が、開発教育の教材「レヌカの学び」をもとに作成した教案により、多文化共生について考えました。 人は環境によって行動を変えながら適応して暮らしています。ある1人のベトナム難民定住者の「私の老後は家族が面倒をみてくれます」、「私の夢は家を持つことです」、「私は生野菜をたくさん食べます」といった行動や考え方を例に出し、それがベトナムにいた時のことか、日本に定住してからのことかをグループごとに考えました。 このワークショップは、参加者が難民や異文化に対する自らの固定観念や思いこみに気づくことをねらいとしました。各グループが意見を発表した後、文化の異なる人々同士が共に暮らしていく上で大切なことについて一緒に考えました。参加者からは「先入観で見ていたことがたくさんあって、考えさせられた」といった意見が出ました。 秋にはセミナー「私たちの難民問題」を開催いたします。お楽しみに。

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