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2022.11.28

内部研修「補完的保護の比較と難民受け入れと国益」を開催しました

2022年11月22日(火)、当難民事業本部は、内部研修の一環で、橋本直子一橋大学准教授を講師に招き、本部事務所、関西支部、RHQ支援センターの幹部職員を対象に、世界の難民受け入れの現状について、難民の補完的保護、一時的保護の比較を講義いただくとともに、意見交換では、難民受け入れを行った地域、住民が難民と接する過程で直接的、間接的に享受するものの存在について、受入制度の研究者と定住支援の実務者の立場から忌憚のない意見交換を行いました。

現在、日本に滞在するウクライナ避難民、アフガニスタン難民、シリア難民、ミャンマー難民等に対する日本の保護制度の在り方に関して、世界の補完的保護と一時的保護の実情と日本の難民認定制度との比較から、日本の実情に合った難民受入施策と受入後の定住支援の必要性にも言及した講義は、政府の委託を受け、定住支援に携わる当組織の職員として、世界の難民支援における日本が担う役割と当組織の定住支援業務の重要度を再認識する良い機会となりました。

意見交換では、国際的な人道支援としての難民の受け入れが、日本の国益にどのような形で好影響を及ぼしているか、1979年に開始した難民の定住支援の実務を担う当組織職員のミクロ的な視点と世界の難民情勢をマクロ的に捉える橋本講師の研究者としての意見を交換することで、日本社会に有益な難民支援政策の理想的な姿のイメージについても語り合う有意義な研修となりました。

日本の難民受入施策は、その時々の世界の難民情勢に合わせて変化して来ています。1975年のベトナムからのボート・ピープルの発生に端を発した日本の難民保護と1979年から開始した定住受入れは、その後日本が難民条約への加入、難民認定制度の発足、個別の難民認定の開始のきっかけとなりました。

その後、日本は2010年から、海外に一時滞在する難民を受け入れる第三国定住制度を開始し、今年で12年目を迎えています。

2011年のシリア内戦以降10年に渡り、日本に避難したシリア人や2021年にアフガニスタンからイスラム主義勢力タリバンによる政権掌握から逃れ日本に避難したアフガニスタン人は多数にのぼります。また、今年2022年には、ロシアによるウクライナ侵攻により、隣国に避難したウクライナ人を受け入れることを日本政府は決定し、2千人以上のウクライナ避難民が日本に滞在しています。

こうした難民や避難民が日本に受け入れられている現状が、今後の難民施策の行方にも影響を与えると考えられ、当組織としても、難民の定住支援業務、避難民の受入業務を政府の難民施策の動向に応じて円滑に実施していけるよう、引き続き、幅広い視野を涵養しながら事業を進めていきます。

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