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2004.10.1

国際救援センター入所者の食生活 92期生は、母国を離れ、慣れないセンターでの共同生活が始まって約5ヵ月が経ちました。入所中の大きな楽しみとなっている食事の風景は相変わらずとても賑やかです。センターでは一日も早く日本食に慣れることを目的に、日本食をベースにした給食制を採ってきました。
食事カード
 毎月末に各自の名前の入った食事カードが配布されます。 このカードに限らず何かを受け取るとき、入所者は両手で受け取ります。感謝の気持ちが伝わるすばらしい習慣です。
 
食事カードを食堂に持参し配膳をうけます。 配膳風景
調味料
ベトナム料理の代表的調味料ヌクマム(塩辛魚汁)は、最近日本でも販売されるようになりました。魚を塩とともにかめに入れ発酵熟成させたものをこしとって作ります。独特の風味が秋田名産の魚醤(しょっつる)に似ているともいわれます。入所者にとって日本食は未知の味。食堂にはヌクマムや刻み唐辛子を用意し、各自で味を調節できるように配慮しています。 実際の一日のメニューをご紹介しましょう。
2004年6月18日 (朝食) パン・ゆで玉子・牛乳 熱量490Kcal 塩分量0.9g 朝食
(昼食) ゴーヤチャンプル・牛肉コロッケ セロリのレモン和え 熱量937Kcal 塩分量3.6g 昼食
(夕食) 鰆の塩焼き・肉団子の煮物 胡瓜のザーサイ和え 熱量937Kcal 塩分量3.6g 夕食
(栄養士のコメント) はじめてゴーヤを使ったメニューを組みました。入所者の出身国では人気のある食材らしく味付けを沖縄のチャンプル風にしましたが、残さず食べてくれたようです。日本食に慣れてもらうことを念頭におきながら、時にはなじみの食材や好みの味付けにアレンジしたりしています。 (入所者の感想) *ゴーヤはベトナムでもよく食べていたので好きです。味付けは塩が強かったように感じました。牛肉コロッケは初めて食べました。ヌクマムを少しつけました。(20代・女性) *パン粉を使う料理はベトナムには無いので、練習だと思って半分だけ食べました。魚料理はみそ味のものより塩焼きのほうが食べやすいです。(50代・男性) 退所を間近に控えた9月17日(金)「納豆」をメニューに組み込みました。日本の代表的な発酵食品「納豆」は高温多湿で菌が繁殖しやすいという日本の気候を利用して編み出されたといわれています。入所者の多くは母国でも発酵食品を食べていました。センターの食堂に常備してあるヌクマムも魚を塩とともにかめに入れ発酵熟成させたものです。しかしネバネバと糸を引き特有の匂いを放つ食品を口にすることは、入所者にとって「肝試し」だったかもしれません。 実際のメニューをご紹介しましょう。
(昼食) カレイの蒲焼・ビーフン炒め イカ納豆・梨 熱量830Kcal 塩分量4.0g 昼食
(栄養士コメント) 前回の納豆料理はワンタンの皮で納豆を包み、油で揚げましたが、今回は茹でたイカを細かく切り、ねぎの小口切りと一緒に納豆に混ぜ込みました。味付けには醤油とからしを使いました。 半数以上の入所者が残さず食べたようです。 (入所者コメント) *ベトナムでもジャックフルーツのように「ねばねば」した食感の食材はあるものの、納豆は受け付けなかった。においも良くない。年寄りが食べるのは難しいと思う。(70代・男性) *食感は大丈夫。全部食べたが臭かった。これからは納豆だけならご飯と混ぜて食べるかもしれない。(10代・女性) 箸を上手に使って糸を巻き取りながら納豆を頬張る入所者たち。ご飯にかけて食べる者もいて職員が心配していたよりは抵抗なく受け入れていたようです。「よく食べよく学ぶ」を実践してきた入所者たちの成果が表れた日といえるかもしれません。入所当時に比べると2〜3kgは体重が増えたと多くの入所者が言います。見たこともない料理も練習だと思って食べてきたと話す92期生。実社会の荒波に負けない体力と気力を養って退所の日を迎えることができそうです。

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