2019.3.1
難民事業本部では、インドシナ難民定住者が日本語の成果を発表したり、日本語の能力を競う場として1996年より「日本語スピーチコンテスト」を行ってきました。しかし、今回はそのコンテストを改め、2002年12月1日(日)に、「あーすフェスタかながわ2002」の行事のひとつとして、神奈川県立地球市民かながわプラザにおいてインドシナ難民定住者のコミュニティー団体と共催で「日本語スピーチフォーラム」を開催しました。このフォーラムでは、インドシナ難民定住者を含む外国籍定住者が、日本の生活で抱えている問題などを発表し、参加者と会場の人たちが共に考えました。
「インドシナ難民定住者の抱えている問題」
レー バン カン(宇野 恵美)さん
在日21年・ベトナム
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日本で生活している私たちの問題のひとつは、インドシナ難民も、一般外国人と同じ扱いをされることです。一般外国人定住者の方々とは、仕事や留学、または、家族の関係で、自分の意思で祖国を離れ、日本に定住している方々のことです。彼らは自国のパスポートを持っているため、何かあれば自国の大使館にて保護してもらえます。しかし、私たちインドシナ難民は、訳あって国外亡命しなければならなくなり、その定住先として日本を選んだ者です。当然パスポートは持っていませんし、いわゆる無国籍となります。ですから、何かあってもかつて自国であった大使館に保護を求めることはできないのです。
このことによって、生ずる問題がひとつ、「婚姻用件具備証明書」といわれる物です。私たちが結婚したい場合は、自国の大使館にてその「婚姻用件具備証明書」を発行してもらうよう言われます。これは、一般外国人定住者の方々にとっては何でもないことですが、私たち難民定住者にとってはとても厄介な物なのです。なぜならば、先ほども説明しましたとおり、私たちインドシナ難民は無国籍なので、そんなものを発行してくれる大使館なんてどこにもないのです。しかし、役所によってはそのことを理解していません。
どうしてなのかというと、ひとつには、先ほど述べましたとおり、一般定住者とインドシナ難民の区別がはっきりしていないということと、ふたつに、役所の仕組みが原因だと思います。前者に関しては、外国人登録証の在留資格の所には、一般外国人も、インドシナ難民も、同じ『定住者』としか記述がないのです。私たちの登録証のどこにも、私たちが日本国に保護された難民である、ということが書かれていないのです。しかも、国籍はなぜか『ベトナム』となっています。ですから、役所の方には区別がつかないし、逆に混乱を招いてしまうのです。後者に関しては、上からしっかりとした説明がいかないのが一番の原因です。その結果、今回説明しましたような問題が起きてしまうのです。これでは私たちは結婚することでさえ困難なこととなります。どうして私たちがそんな目に遭わなければならないのでしょうか?厳しいことをいいますが、これは激しい人権侵害であると私は受け止めております。
本日お話した問題は、まだほんの一部です。これらの問題がいつまでも放置されていては、日本には本当の国際化は訪れないと思います。世界の先進国の中で、私たちのような定住者に関する法律が制定されていないのはこの日本だけではないでしょうか?私は第2の祖国ともいえるこの日本が好きです。友人もたくさんいます。ですから、この日本に、少しでも住みやすい良い国になってほしいのです。国民にとっても、外国人定住者にとっても、です。
本当の意味での世界との共生は、法律がしっかり制定されてからでないと実現しないと思います。日本の明るい国際化未来のためにも、一刻も早く、それらに関する法律の制定を期待します。それも外見だけではなく、中身もしっかりしたものを望みます。
以上、ご静聴ありがとうございました。
「小学校、中学校で感じたこと」
コンサワン ブンタン(入月 文恵)さん
在日15年・ラオス
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私はラオスのブンタンと申します。日本に定住して15年目になります。2000年から日本語指導協力者として、また外国籍の子供の相談員として、神奈川県の大和市内と厚木市内の小、中学校で1週間に2回指導に当たっています。
小学校では、ラオスの子供にひらがな、カタカナ、算数、簡単な漢字などを教えています。
中学校では、子供の心のケアや生活の相談相手になっています。両親とコミュニケーションがとれない子供たちの代りにその両親に子供の意見を伝えます。例えば、高校の進学のこと、学校で部活に参加したいこと、ちょっと帰る時間が遅い、英語をもっと勉強したいなどです。学校で一回2時間の単位で指導します。その後、ボランティアとして、日本語がよく分からない保護者や困っているラオス人に病院や市役所や入国管理事務所などへ一緒に行って通訳してあげます。
小、中学校で私の感じたことを少し話します。いい面はたくさんあります。けれど、欠点や直したい所だけをお話します。
全体の子供たちは集中力が少ない、勉強の意欲や頑張ることがあまりできない、言葉づかいが悪い、わがまま放題、言うことをきかない、注意されても気にしないという子供たちは半分以上です。
学校の先生や自分の親や年配の方を尊敬しない子供が多いです。ストレス時代で、又は便利すぎ、豊かな国の生活ですので子供たちもストレスがたまっているのかもしれません。
小学生は、まだ小さいので言うことをまだきいています。中学生は先生にちょっと注意されたら反発します。すぐキレてしまいます。不登校、社会に迷惑をかけます。ラオスの国ではそういうふうではありません。
学校の先生は、自分の里親と思っています。もし、先生がいなかったら、自分で勉強できません。先生、親、年配の方を尊敬して、とても大事にします。
年配の方も次の世代の子供たちを厳しく指導します。この世の中を平和で共に生きましょうと子供たちにちゃんと教えます。
日本に定住者はいろんな問題を抱えて、競争社会についていくことが精一杯です。自分の子供のめんどうをみることは十分できません。子供の行動もよく知りません。日本語が話せて、帰化しても問題を全部解決できることではありません。経済的に、少し豊かになっても、家族の愛がめちゃくちゃに壊れてしまう人も増えています。
この世の社会を支えるため、皆で考えましょう。
「憩いの場をつくりたい」
ソン リスレン(伊佐 リスレン)さん
在日20年・カンボジア
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こんにちは、カンボジアは、みなさんがよく知っていることは、日本から行ったPKOですね。そして、有名な遺跡は『アンコールワット』です。みなさん、一生に一度は是非訪ねてください。かなり、人間がつくったものとは思えないすばらしいものです。是非行ってみてください。
今日は、私は、20年前に日本に来ましたが、その頃は、日本人にとって、外国人は、物珍しい、かなり、学校などでは、ワアッと集まる時代でした。その頃は自分ではよかったと思っています。
今になって、外国の人が、先ほどの「あーすフェスタかながわ」の実行委員長の話では、135,000人ぐらい神奈川県にいるそうですが、神奈川県は、国際社会といわれている程、外国人が増えて変わってきたと思います。カンボジア人は、神奈川県内に1,000人ぐらいいるかと思います。その中の難民の人たちは、20年前から来日してきています。
その中での問題は、子供と親のいろいろですね。日本に来るのは難民として来られたわけなんで、当然、その学力に問題があります。国では大体3割ぐらいしか識字率はありません。つまり、読み書きできる人は、半分に満たないのです。まして、日本語を勉強するということはかなり大変な苦労だと私は思います・・・。僕の場合、日本語は日本に来てからです。まず、大和定住促進センターで、約6ヵ月勉強しまして、その後は、定時制で勉強しました。つまり、夜間中学校、夜間高校と勉強しました。勉強をなさっていない人は、日本語は、多少話せますが、子供と比べて、習得の速さは10倍から30倍ぐらい違います。ですから、親の方が子供の言葉を理解できていないということが現状です。理解できていないということから、壁をつくってしまい、だんだん、コミュニケーションが取れなくなってしまいます。いろいろなトラブルが起きるというのは多くの家族に見られます。
そのためにも、皆さんにもご協力いただきたいことがあります。当然、自分たちで、考えなくてはいけないことですが、日本で生活していくには、日本社会を日本人と同じ位に理解しないと、自分の自由がなくなってしまうのではないかと、日本は素晴らしい国で、ひとりひとり豊かな生活を送りたいというのは、多分、皆それぞれ思っているかと思うんですが、日本の方と外国人の相互理解をしないと考えていかないと、いろいろなトラブルが起こります。要するに、外国人の方が、特に難民の方とか、かなり知識が低い、マナーが悪いとよく言われます。ただマナーが悪いというのではなく、それを理解していただかないと、マナーを良くしようと、考えていただかないと、外国人と現地人と差別にまで至っているかと思います。日本にいる約1,300人のカンボジア人が会う場所というか、何か情報を教える場所がないというのが現状です。僕にとっては場所を提供していただきたい、自分たちで場所をつくるのと運営するのはもちろん、無理なんですが、そのために、県や国から応援をしていただきたいと思います。その場所で何をするかというと、さっき言ったように、日本の社会の教育とか、自分の国の情報交換、日本においての生活情報を、日本人と同じように生活していけるような拠点にしたいというのが、自分の率直な気持ちです。国際社会の相互理解は、そこからスタートだと思っています。素晴らしい生活を送りたいということです。自分も頑張りますので、皆さん応援してください。ありがとうございます。
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