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2007.8.9
第4回多文化共生のための国際理解教育・開発教育セミナー
2007年8月9日、10日に兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会、JICA兵庫、神戸YMCA、PHD協会と難民事業本部関西支部の共催による教員向けの「多文化共生のための国際理解教育・開発教育セミナー」をJICA兵庫で開催しました。両日とも約100人の参加者があり難民・環境・平和など各分野のワークショップ手法を体験してもらいました。
初日はシャンティ国際ボランティア会(SVA)の秦専務理事による基調講演から始まり、日本のNGOの特徴、SVAの設立経緯や国際協力現場での経験などを1時間半にわたりお話いただきました。SVA設立のきっかけとなったカンボジア難民の救済活動の一つとして、日本の絵本を翻訳し難民キャンプに住む子どもに貸し出す移動図書館の取り組みも紹介され、実際に配った絵本が参加者に回覧されました。絵本の中には文章が消えるほどボロボロになっていたものもあり、子どもたちが何度も繰り返し読んでいた様子がうかがえ、参加者たちは興味深そうに手に取っていました。
各分野の分科会では、生徒が自分自身で考えるワークショップの手法を基本としたセミナーが実施されました。関西支部が担当した難民に関する分科会では、まず、難民の定義や発生する原因を詳しく説明しました。また、もし自分たちが難民となったなら何を持っていくかを考えてもらうワークショップや、難民キャンプでの食料配給量を予想してもらいました。配給量についてはお米の量を見積もってもらったのですが、全員のグループが100g以下でした。難民も私たち同様に1日約2000kcal摂取できるよう主食は400g配給されています。先生方は生徒に難民について教える前に、自分たちが「難民は飢えている」というステレオタイプを持っていることに気付かされたようでした。今回、参加者の多くが難民問題に関わることが初めてであったため、資料やワークブックを提供しました。難民問題についての出版物を紹介し、パネル・ビデオの貸し出しや出前講座を関西支部で行っている旨の説明をしたところ、参考文献のメモをとる参加者が多く、今後、積極的に難民問題に関するワークショップを学校でも取り入れたいと考えているようでした。
今回で4回目となる教員向けセミナーでは、難民問題を含む、平和教育、多文化共生や環境問題など、学校でどのようにワークショップを実践するかを先生方に考えていただく良い機会になりました。振り返りの時間では「早速、今回のワークショップを取り入れた授業を行いたい」との感想もあり、難民事業本部では、難民についてのワークショップの実践を希望する学校のサポートを今後行っていきたいと考えています。
