INFORMATION
2001.5.1
第86期入所者の日本語教育
2001年5月現在、国際救援センターでは第86期入所者のうち69人が日本語教育90期生として日本語を勉強しています。年齢は6歳から79歳までで、教室は年齢や能力に応じて8クラスに分かれています。
日本語の授業は月曜日から金曜日までの週5日間、午前9時30分から午後3時40分までです。これが約4ヵ月続きます。センター退所後生徒たちは今後ずっと日本で生きていかなくてはなりません。日本語は第二の母語となるわけですから、日本で暮らしていくために必要な生活の言葉としてその基礎を学びます。
4ヵ月の日本語の学習期間は日常生活に必要な最低限の教育のための期間です。最近は、既に定住している子供に呼び寄せられて来日した高齢者も増えています。高齢者の中には健康に問題があったり、母語の読み書きができなかったりする人もいます。どのクラスでも講師陣は限られた期間内に成果を上げようと、さまざまな工夫を重ねています。
8つのクラスは成人クラス、高齢者クラス、そして児童クラスに分かれています。中でも10代から50代半ばまでの成人クラスは人数も多く、センターの日本語教育の主要部分を占めています。このクラスの生徒はセンターを退所後、生活を支えるため働かなくてはなりません。職場でできるだけ困らないように、また日本人社会の中でうまく意思疎通ができるように、日本語の基礎をコミュニケーション重視の実践的な練習を取り入れながら学習しています。日本語力の土台をつくる初級文型の学習、職場や病院、買物など場面別会話の練習、挨拶や感謝、謝罪、依頼など機能別表現の練習などが、その主な内容です。
高齢者クラスでは、高齢者のための特別なカリキュラムで授業が行われています。高齢になってから異国で暮らすことになった人たちですので、日本での生活にできるだけスムーズに慣れることができるような工夫が日本語の学習を通してされています。例えば毎日行う体操は、数や位置を表す言葉、高齢者にとって欠かすことのできない身体部位を表す言葉の学習であると同時に、健康を維持し気分転換を図るのに役立っています。
児童クラスは、学齢期の児童が対象です。生徒はセンター退所後、日本の小学校へ通 うことになるので、学校生活への適応を目標とした日本語教育が行われています。聞く、話す、読む、書く練習を、子供のために選ばれた語彙や文型で楽しく学習するとともに、小学校1、2年で配当されている漢字の学習や九九の練習など、学校での教科学習もある程度念頭に入れた授業が行われています。
4ヵ月の学習期間の間には、戸外学習や「会話の日」など特別な行事も予定されています。戸外学習では成人クラスは東京タワーに、高齢者クラスと児童クラスは水族館に行き、公共交通機関の利用の仕方やレストランでの注文の仕方などを実地体験します。「会話の日」では大学生やセンター職員など、日本語教師以外の日本人の協力を得て、生徒たちができるだけ多くの日本人と日本語で会話する機会をもてるよう努めています。
日本語の学習は決してセンターにいる間だけのものではありません。センター退所後も努力は続きます。どうぞ応援をお願いします。
