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2005.11.27

難民定住者のコミュニティー活動を支援しています 難民事業本部では、難民定住者のコミュニティー団体が実施する情報交換や地域社会との交流活動等に対して助成を行っています。これまで支援しているインドシナ難民のコミュニティーに加えて、2005年度からは条約難民のコミュニティーに対する支援も始まりました。ここでは、その一部をご紹介します。
ミャンマーコミュニティー
●2005年ビルマ文芸祭記念式典にあたる講演会 11月27日に東京都豊島区立豊島区民センターにおいて、MOE THAUK KYE LIBRARY BURMESE VOLUNTEER GROUP主催の「2005年ビルマ文芸祭記念式典にあたる講演会」が開催され、海外に居住するミャンマー人作家のマウン シン チエ(MAUNG SIN KYE)氏とマウン スアン ジー(MAUNG SWAN YI)氏、また日本人作家の田辺寿夫(U SHEWE BA)氏の3人の講演がありました。 講演会には、関東近隣に居住するミャンマー人約250人が参加しました。海外から招かれたマウン シン チエ氏は、カレン民族の立場からカレンの独自の文化について、田辺寿夫氏は、日本で紹介されているミャンマーの情報について、またミャンマーで生活していたときの話をしました。最後に、マウン スアン ジー氏は、自分が大切にしている人々とミャンマーの文化についてさまざまな例を用いながら講演を行いました。 ミャンマー語による講演ということもあり、在日ミャンマー人にとって自国の文化について考えるとても意義深い行事となりました。
ベトナムコミュニティー
●グループホームをめざす仲間づくりの会
参加者が協力して母国の料理を手作りして会食しています。
「グループホームをめざす仲間づくりの会」は、ベトナム難民単身者で精神的な病を抱えている者同士の相互扶助を目的とした仲間をつくるための会です。2005年から設立され、5回目となる今回は11月25日、東京都調布市にある社会福祉法人新樹会援護寮「粋交舎」で開き、日本人スタッフを含む15人が参加しました。恒例の母国料理の会食後、お互いをもっとよく知るために「共通点探しゲーム」をしたり今後の会のあり方を話し合ったりしました。参加者は次回の集まりを楽しみにしていると口々に話していました。次回は2006年1月頃を予定しています。
カンボジアコミュニティー
●国際交流体験カンボジアの民族舞踊のワークショップ 11月24日、神奈川県川崎市にある神奈川県立麻生総合高校主催の「国際体験カンボジアの民族舞踊のワークショップ」に難民子ども会が参加しました。麻生総合高校の2年生15人に難民子ども会のメンバー14人が加わり、民族衣装や伝統的な楽器に直接触れたり、実際に基本ステップや踊りを教えるワークショップのほか、難民理解のための講座では、カンボジアの歴史について難民定住者から説明がありました。参加者は民族舞踊や難民定住者の体験談をとおして交流を深めました。
ミャンマーコミュニティー
●ミャンマー人難民の生活改善と労働者の権利のためのシンポジウム 11月13日に、東京都港区の友愛会館において、日本におけるミャンマー難民の労働状況や生活の実態を認識し、改善策を考えるためのシンポジウム(FWUBC:在日ビルマ市民工場労働組合主催)が開催され、約120人が参加しました。 シンポジウムの前半では、人権団体代表者、ミャンマー人グループ代表者、福川難民事業本部長から活動紹介などの発表があり、後半は労働相談等で日頃からFWUBCの活動を支援しているJAM(Japanese Association of Metal, Machinery, and Manufacturing workers:機械・金属産業を中心とする産業別労働組合)副書記長や、外国人への医療支援を行っている医師、大学教授、難民支援NGO代表らが、それぞれの立場や経験から問題提起とディスカッションを行いました。続く質疑応答では、会場から労働に関する具体的な質問や相談が投げかけられ、他の参加者も熱心に聞き入っていました。 最後に主催者からの、「自分たち難民も今後雇用にかかわる制度等を勉強して、具体的な生活向上のための努力をしていきたい、また、関係諸団体にも協働で支援をしていただきたい」との言葉で締めくくられ、盛況の内に閉会となりました。
ベトナムコミュニティー
●ベトナム家族会の活動 窃盗などの罪を犯したインドシナ難民に対し、ここ数年間、日本政府から退去強制令が発布され、在留資格を失ったベトナム難民が全国に数十名います。ベトナム政府は国から出た難民を再び受け入れないという基本方針を取っているため、ベトナム難民は帰国できません。そして、さまざまな想いを胸に祖国を離れ、日本で生活の基盤を築いてきたベトナム難民も、帰国を望んでいません。 彼らは刑務所を出所後、退去強制令が出され入国管理センターに収容されたのち仮放免された状態にあります。外国人登録証には「在留資格なし」と記され、就労できず、また国民健康保険や生活保護などの社会保障を受けることができない状態で生活を送っています。 2005年6月、関西在住の仮放免中のベトナム難民たちが、支援者の協力を得て「ベトナム家族会」を立ち上げました。長期収容と本国送還の可能性という厳しい現実を目の前に絶望を感じていた難民たちが手を取り合い、自らの手で更生と権利の回復を目指して行動を起こしました。ベトナム家族会の目的は1.再犯しないよう、お互いに助け合い、協力し合う、2.メンバーが抱えるさまざまな困難、問題を家族のように助け合い、協力し合って解決していく、3.自らの体験を伝え、ベトナム難民の同胞が犯罪に走らないよう活動する、という3つを掲げています。ベトナム家族会はこれらの目的を基礎に、自らの在留資格と生存権の再獲得、そして更生とベトナム難民同胞全体の地位向上を目指しています。 ベトナム家族会の活動を支えるカトリック門真教会の大海神父は、自身がボートピープルとして日本に来た難民でした。退去強制手続きを受けて入国管理センターに長期収容されていたベトナム難民の同胞に面会し、彼らが深く反省し、涙する姿を見て心を動かされた大海神父は、収容されたベトナム難民の仮放免とその後の生活支援、また更生に向けた積極的な支援活動を続けてきました。
多くの在住外国人支援団体や大学生のボランティアの支援の輪が、ベトナム家族会の原動力となっています。家族会のメンバーは毎月第3日曜日、カトリック門真教会で支援者とともに集い、在留資格の再取得に向けた今後の計画や、ベトナム難民の同胞が犯罪に走ることのないよう、自分たちが担うべき役割について話し合います。また、2ヵ月に1度、ニュースレター「失くした夢を取り戻そう」をベトナム語と日本語で発行しています。仮放免中のベトナム難民が置かれた状況や一人ひとりの想い、勉強会の開催報告を、関西以外に暮らしている仮放免者も含めたインドシナ難民定住者全体と支援者に向けて発信しています。難民事業本部は、コミュニティー活動支援の一環としてこのニュースレターの発行を助成しています。ベトナム家族会は支援者とのつながりや同胞ベトナム人との助け合いを支えに、生存権の再獲得と更生を目指して積極的な活動を続けています。
ベトナムコミュニティー
●ベトナム人コミュニティーにおける薬物防止キャンペーン研修会議 ベトナム人コミュニティーが抱える問題の一つにヘロイン等の薬物乱用に関する問題がありますが、言葉の問題や専門的知識が必要である等の理由により、具体的な予防策を取ることができずにいました。また、日本社会においても薬物乱用の問題が低年齢化しているという深刻な状況がありますが、ベトナム人コミュニティーにおいても同様の問題が懸念されています。 このような状況において、薬物乱用防止のための取り組みを行うことがコミュニティーの緊急の課題であることから、ベトナム人コミュニティーの指導者たちが中心となって、専門家のアドバイスを得ながら、予防への主体的な取り組みを始めることになりました。NGO ベトナム in KOBE主催による薬物防止キャンペーン研修会議等の開催です。
コミュニティーのリーダーたちの他、第二世代の代表者やボランティア通訳として薬物依存症者の通院等を支援している難民定住者等が、精神科医、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、薬物依存症者の自助グループであるダルクのメンバー、グループホーム世話人等さまざまな薬物関連の専門家の支援を受けながら、毎月1回研修会議を開催しています。毎回の研修会議では、予防のために有効な知識について専門家からの助言を受けながら、ベトナム難民定住者の文化的背景や薬物乱用の特徴を踏まえた上で、ベトナム人が理解しやすく予防のための啓発活動に有効な方法等について検討を行ってきました。研修会議の成果は、ファイザー株式会社が行っているファイザープログラムの助成を得て、薬物乱用防止のポスターとリーフレットの作成という形で表れました。 2006年度以降は、コミュニティー対象のセミナーの開催や薬物電話ホットラインの開設を目標に活動を展開していく予定です。
ラオスコミュニティー
●ニュースレター「在日本ラオス文化センターだより」
在日本ラオス文化センターを拠点とする在日本ラオス協会が、日本に住むラオス人定住者に向けたニュースレターを隔月で発行しています。内容は文化センターの僧侶交代といった身近な話題から国際交流関係のお知らせ、行事予定や協会の活動報告等です。発行部数は一回500部です。次回発行は2006年1月末を予定しています。
カンボジアコミュニティー
●カンボジア語ニュースレター「メッセンジャー」
在日カンボジア人調整委員会が日本定住カンボジア人に向けてニュースレター「メッセンジャー」を隔月に発行しています。防災の心得といった身近な話題を中心に母国文化の継承にも力を入れています。2005年11月発行の第7号は高校進学ガイドブックと題して、日本の教育制度や高校を卒業するメリットといった内容をQ&A形式で掲載しています。発行部数は200部。次号は2006年1月に発行を予定しています。

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