2019.3.1
難民定住者のコミュニティー活動を支援しています
難民事業本部では、難民定住者のコミュニティー団体が実施する情報交換や地域社会との交流活動等に対して助成を行っています。これまで支援しているインドシナ難民のコミュニティーに加えて、2005年度からは条約難民のコミュニティーに対する支援も始まりました。ここでは、これら支援の一部をご紹介します。
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カンボジアコミュニティー | ![]() |
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カンボジアのお正月行事 2008年文化交流会
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2008年4月20日(日)、相模原市のけやき会館でカンボジアのお正月文化交流会が盛大に開催されました。当日は、神奈川県内等の近隣に定住するカンボジア難民の方々の他、約300人の東南アジア諸国からの留学生たち、在日カンボジア大使などの来賓、朝日新聞社等のメディア関係者も集まり、計約500人の多くの人が集まり、大変賑わいました。
この交流会は、カンボジアの伝統文化継承と日本の地域の人々との交流が目的とされ、最初に仏教儀式が行われた後、来賓挨拶、昼食、民族舞踊、民族音楽と続き、会が進められました。仏教儀式では、カンボジアからこの日のために来られた3人の僧侶の方が壇上でお経を唱え、カンボジアの方々は大変嬉しそうに傾聴し、最後に僧侶の方から祈りのこめられた紐を手首に結んでもらいました。この紐は、新年の初めの1週間ほど手に結び今年一年の幸福を祈願するのだそうです。その後、カンボジアの正月料理を皆でいただきました。子どもから大人までとても賑わい、テーブルの周りには人が溢れ、多くの友人たちと母国の料理をいただくことに皆とても嬉しそうでした。その後、美しい民族舞踊を皆で鑑賞し会場が盛り上がったところで、そのまま民族音楽となりました。参加者皆で民族音楽に合わせてカンボジア舞踊を踊りました。カンボジア舞踊は曲に合わせて前後に歩みながら、手をゆっくり動かすようなもので、日本の盆踊りに似ていました。1曲、2曲と、曲が進むにつれ、参加する人が増え、会場全体が舞踊する人でいっぱいになりました。カンボジアの方々だけでなく、他のアジア諸国からの留学生や参加した日本人たちも、カンボジア舞踊を楽しみながら、互いの会話も弾み、本交流会のテーマである、伝統文化継承と近隣の日本の人たちとの交流という2つの目的は達成され、大成功の交流会であったと思います。
なお、難民事業本部はこの活動を助成金等で支援しています。
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ラオスコミュニティー | ![]() |
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ラオスのお正月行事
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4月13日(日)、午前中から若芽を濡らす雨模様の中、相模川沿いを上流に向って高田橋を渡った頃から美しい民族衣装を纏い托鉢用の金銀の大きな器と花束を抱えたラオス人たちが行列するかのように向かった先に在日本ラオス文化センターがありました。
在日ラオス人たちの自前の建物は毎年、鮮やかな飾りつけが施され「お寺」と呼ぶにふさわしい仏教寺院のようです。同センターの庭には仏像が配置され、そして更に2メートルほどの高さで造られた塔があります。これは母国ビエンチャンにある仏教のシンボル的な大寺院、タートルアン寺院を模して定住者たちが作ったそうです。また滞在中の僧侶によって創作された7つの竜頭の彫刻が目に入ります。
この日「ラオスの仏教暦お正月」がここ在日本ラオス文化センターで行われました。雨模様にもかかわらず、ラオス人たちの数は増すほどに読経の唱和も高まっていました。
仏教儀式に則ったお正月の式典が始まると、托鉢、バシーそして水掛けなど本国行事の通り、僧侶を中心に始まります。バシーとは黄色のひもを僧侶に経を唱えながら結んでもらったり、それぞれの仲間同士でも結び合って、一年の幸を願うという古来からの儀式です。
この日は、日ごろは忙しさで会えない同国人同士が顔を合わせて、日常生活と家族の健康などが仏教の支えによるものと、集った者同士が仏に感謝し、それを仲間で祝い喜び合うという最も晴れがましい日です。仲間たちは地域ごとに分担して持ち寄ったラオス料理を並べ楽しい歓談の時を過ごしました。今年の行事は同センターのリフォームで収容できる人数も大きくなったため、過去最高の人出でした。式典のあと少女たちが民族舞踊を披露しました。
難民事業本部はこうした定住難民の行事をコミュニティー支援事業として助成しています。
ラオスのお正月行事(西日本)
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5月3日(土)、兵庫県神崎郡福崎町にある「エルデホール」において、西ラオスの会主催による「第13回ラオスのお正月」が開催されました。今回は東京にあるラオス人民共和国大使館から駐日特命全権大使と三等書記官(領事)を主賓に迎え、西日本に定住するラオス難民とその家族を中心に約130名が参加して盛大なお祝いの集いとなりました。
主催者代表よりのオープニングの挨拶に続き、ラオス大使と難民事業本部関西支部からの祝辞が述べられた後、ラオス難民一世たちによる「バシー」と呼ばれる祝いの儀式が行われました。「バシー」とは新年にあたって、参加者とその家族やラオスに暮らす親族の1年の健康と幸せを祈る儀式で、祈りのあとにはコミュニティの長老たちにより、幸せを祈る糸「バシースーファン」が参加者の腕にまかれ、お互いの幸福を祈り合いました。
儀式の後、この日のために練習を重ねてきたラオスの伝統舞踊が披露され、優雅な舞に参加者は見入っていました。ラオス式のダンスパーティーでは、難民一世をはじめ、大使や日本人、難民二世である若者たちが一緒になって、生バンドによる伝統音楽の演奏や定住者の歌でダンスに興じました。
参加者には、コミュニティのメンバーたちが何度も協議し、手分けして持ち寄った手作りのラオス料理が振舞われ、美味しい母国料理を楽しみながら近況報告に時間を忘れ、話を弾ませました。大使は、定住のための様々な苦労を経て日本で頑張っている難民とその家族にねぎらいの言葉をかけるとともに、できる限りの協力をするので、是非ラオスに残してきた親族に会いに行ってくださいとの申し出がなされました。第13回目を迎えた今年の「ラオスのお正月」が、ラオス大使の参加によって例年以上に素晴らしい集いとなったことに、主催者をはじめとする難民定住者の方々の表情に満面の笑顔があふれていたことがとても印象的でした。
なお、この活動は難民事業本部もコミュニティー活動支援事業の助成金等で支援しています。
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