難民定住者の職場を訪ねて
〜定着指導・求人開拓及び雇用状況調査の実施
難民事業本部では、難民定住者の就職あっせんに資するため、毎年数回、国際救援センター(以下、「センター」という。)を退所した難民定住者が勤務または職場適応訓練を受けている事業所を対象に定着指導・求人開拓及び雇用状況調査を実施しています。2004年12月9日には神奈川県相模原市、秦野市及び伊勢原市に所在する事業所を訪問し、難民定住者の勤務の様子を拝見するとともに、当人からは仕事や生活等の近況を、また、事業所からは勤務態度等を聴取しました。そして、職場への定着状況について事業所の担当者と懇談を交え、問題点や悩み事等についても意見交換を行いました。
相模原市に所在している事業所は、パソコン、携帯電話の電子部品の成型、プレス、金型製造を行っています。従業員約100名のうち、外国出身者は数十名おり、うちベトナム出身者が現在12名勤務し、勤務年数が8年以上の者が大半を占めていました。この事業所には、センターのあっせんによりベトナム人女性1名が2004年10月に採用されて品質検査に従事しています。事業所における彼女の評価は、日本語も十分理解し、勤務態度もまじめでよくやっているとのことでした。品質検査には彼女のほかにセンターを退所したベトナム人女性が7名従事しており、事業所からは、ベトナム人は視力が良く、根気もあり、集中力に優れ勤勉であると評価も高く、品質検査の重要な即戦力としてベトナム人の主婦に対しても内職を発注しているとのことでした。求人についても引き続きセンター退所者の採用をお願いしたところ、受注の状況からすると景気回復までには至っていないが、良い人材があれば是非雇用したいとの返答をいただきました。
秦野市に所在している事業所は、上下水道用コンクリート管や蓋等の製造を行っています。従業員約60名のうちセンターを退所したカンボジア人2名とベトナム人3名が勤務し、勤務態度はまじめであるとの評価でした。そのうち2004年10月に採用されたベトナム人男性1名については、センターで基礎的な日本語教育を受けたが、日本語の理解力が不足しているため業務に差し障りがでているとの指摘があったほか、住宅の入居手続や健康診断の受診などの生活面についての指導が必要な者もいるとの意見がありました。
伊勢原市に所在している事業所は、自動車のプラスチック部品等の製造を行っており、従業員約80名のうちベトナム等の外国出身者が30名弱勤務しています。この事業所には2004年3月にベトナム人女性が初めて採用され、組立・検査に従事しています。組立・検査は高度な技術を必要としませんが、速さと正確さが求められます。事業所における彼女の評価は、日本語、勤務態度、仕事の成果のすべてにおいて期待以上であるとのことであり、性格も明るく職場の皆から好かれているとの報告を受けました。求人についても引き続きセンター退所者の採用をお願いしたところ、事業所からは、業界の競争が厳しく、製品の価格は下がっても品質は求められているため、新たに求人をするよりも検査に従事していた経験者の確保に努めているが、必要があれば検討していきたいとのことでした。
調査を終えた感想として、今回訪問させていただいた事業所では採用された難民定住者がまじめでよくやっているとの評価をいただき安心はしましたが、また、いくつかの指摘を頂いたこともあり、この現状を真摯に受け止め、今後の支援に活かすとともに、難民定住者に対しても日本語力の向上など自助努力の必要性を助言していかなければならないと感じました。 |