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2006.3.23

日本語教育相談員レポート

難民事業本部日本語教育相談員は、条約難民対象の定住支援施設「RHQ支援センター」における生活ガイダンスの講座のひとつ「教育制度(小・中・高校、大学、専門学校)・奨学金等」において日本の教育制度や進路についての情報提供を行っています。6月23日(火)、平成21年度前期昼間コース入所者(7期生)を対象に行った同講座では、「日本の学校教育制度および職業教育制度について」、「教育にかかる基本的費用および奨学金制度について」、「センター退所後の日本語学習継続について」を大きなテーマとして、日本の義務教育制度、高校進学のためのスケジュールと費用、専門学校や職業訓練校と取得可能資格、日本語教室と日本語学校、大学進学に必要な日本語能力、日本語能力試験などについて通訳を介して説明をしました。RHQ支援センターに入所する条約難民とその家族の方々は、母国で高い学歴を持つ方が多く、子どもの教育にも、また自分自身のステップアップのための学習にも強い関心を持っています。今期の受講者は、20歳代から50歳代までの幅広い年齢層ですが、全員が自分自身の問題と捉え、熱心に耳を傾けていました。 「子どもを公立高校に行かせたいけれど、公立高校は優秀な成績でなければ入学できませんか」、「私立高校の学費はどのぐらいかかりますか」、「大学に行きたいけれど、どのぐらい日本語ができれば行けますか」、「○○の資格を取るにはいくらかかりますか」、「母国で取った資格を生かして、日本でも同じ仕事に就きたいけれど、どうすれば日本で同じ資格が取れますか」、「ビジネス日本語能力試験でいい成績をおさめれば、正社員として雇ってもらえますか」、「家の近くにある日本語ボランティア教室を教えてください」など、受講者からは多岐に渡る質問が寄せられました。また、ほぼ全員がRHQ支援センター退所後も学習を続けることに意欲を見せていました。「子どもにはできるだけいい教育を受けさせたい」、そのためにも「自分自身がRHQ支援センター退所後も学習を続けて、経済的に安定した生活を送りたい」という切実な思いが伝わってきます。 日本語学校や大学進学、資格取得などそれぞれの目標を目指して、センター退所後も日本で教育を受ける上で、大きな壁となるのが経済力の問題です。日本語教育相談員は必要に応じて奨学金の情報提供を行っていますが、種類や条件の合うものがあまりなく、退所後の教育には経済的な面でかなりの困難を伴うのが現状です。また、難民の中には日本語能力が不十分なことにより、仕事の選択肢が限られてしまう例が多く見受けられます。日本語学習を続けることは、就業の面からも大変重要です。そのため、働きながら日本語を勉強したいと希望する者には、地域の日本語ボランティア教室を紹介し、週に数回、日本語を学習する機会を確保できるよう支援しています。 家族のために働きながら日本語を勉強する人、家族の協力を得て進学を目指す人など、退所後の学習環境はさまざまになりますが、今後は個別面談を行いながら、それぞれに合った形で学習が続けられるように支援していきたいと思います。

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