1992年10月、難民事業本部では、日本に定住しているインドシナ難民が何を考え、どんな問題を抱えているかを知ることにより、今後の定住難民の施策の一助とするため、個人面接によるアンケート調査を実施しました。姫路・大和・国際の3センターを退所した者のうち、16歳以上の5,316人の中から、ベトナム人300人、ラオス・カンボジア人それぞれ100人の計500人を対象としました。
<実態調査結果>
1.全体
性別内訳は、男性56%、女性44%となっており、今回の対象者は、在日年数平均が7.3年と比較的長い人が多くなっています。在留資格は「定住者」が87%、「永住者」が8%で、日本に帰化した人も5%いました。
2.居住地と住宅
調査対象としたカンボジア人の82%、ラオス人の64%が神奈川県に居住しています。ヴィエトナム人は各地に散らばり、姫路センターがある関係で関西にも多く居住しています。
住宅は、民間アパートが28%で一番多いですが、公営住宅入居者25%、雇用促進住宅入居も19%います。2DKで1.5万円から3万円の住宅を借りているケースが多いです。
3.日本語学習
日本語会話の程度は、定住者自身の自己評価によると64%が「会話に不自由しない」と答えており、面接調査に携わった調査員の評価では71%が「不自由しない」としています。
センター退所後の日本語の勉強方法は、複数回答で、「独学」32%、「ボランティアによる勉強」が16%います。しかし、35%が日本語の学習をしておらず、その理由としては、「時間がない」76%、「学校がない」13%、「金がない」13%となっています。
今後学習を「希望する」は76%、「希望しない」は23%でした。
4.職業
調査対象の男性91%、女性66%が就労しています。勤めている企業の業種では、「製造業」に80%が従事、特に自動車部品20%、電気14%等が多くなっています。
仕事への満足度は89%の人が「満足している」または「ある程度満足している」と答えています。66%が転職経験がありますが、その86%は3回までです。
5.生活状況
母国の文化、宗教行事を何らかの形で続けている人が76%います。楽しみでは、テレビ、音楽が多く、ドライブ、買い物も多くなっています。在日年数の短い人には読書が多く、日本が長くなると仲間との集いが増え、交際が重要になってくることがうかがえます。
一方、近所づきあいでは、複数回答で、「挨拶程度」の人が65%、「付き合いなし」は3%、女性は「子供同士」「友人関係」を多くあげ、特にラオス、カンボジアでは「行事参加」、「助け合い、「友人等」がそれぞれ3割以上になっています。