緊急時の教育ワークショップ

緊急時の教育ワークショップ

ワルエ・カリウキ講師による事例紹介
難民事業本部では、2005年2月23日、24に東京都で、26日、27日に兵庫県で「緊急時の教育ワークショップ」を開催しました。このテーマでのワークショップの開催は日本で初めてのことです。 昨今、戦争、天災(地震、津波など)など、緊急時の難民・被災民支援では、水や食糧、住居や医療などと並んで大人や子どもへの教育支援が重視されるようになってきています。ワークショップでは、(1)緊急時における教育に関する主要な概念と枠組み、(2)緊急時における教育活動の事例、(3)教育活動を緊急援助に取り入れるための立案、実施の方法を学ぶことを目的としました。講師には、緊急時の教育支援の分野において世界有数の支援団体であるセーブ・ザ・チルドレン英国からワルエ・カリウキさんをお迎えしました。 緊急時の教育支援では、プロジェクト立案の前にまずどのようなニーズがあるのか情報を収集する必要があります。ワークショップで学んだことをご紹介しますので、読者の皆さんであればどのような情報の収集が必要だと思うか、次の1から13から選んでみてください。
  1. 災害などの教育システムへの影響
  2. 災害などが起きる前の教育構造
  3. 教育省のキャパシティ
  4. 子どもに対する伝統的なケア
  5. 大人に対する教育状況
  6. 学校の重要性
  7. 教師の数・賃金レベル
  8. 教師に対する教育の必要性
  9. 教科書・文具などの必要性
  10. 学校の損害
  11. 教育を行う上での安全性
  12. すでに存在する教育プロジェクト
  13. 資金調達の可能性
グループワークの発表風景
いかがですか。答えはすべてです。教育支援を行うにはさまざまな情報収集が必要になります。支援団体は、これら情報収集に基づきプロジェクト実施の計画を立て、その評価を行うのです。 緊急から復興、開発へと援助活動を行うためには、援助される側が組織化され自助努力を行うことが必要ですが、そのためには緊急時の段階からの教育活動が不可欠となってきます。また、政府が崩壊し、危機状態にある多くの国や地域では、学校が機能しておらず教育を受けることができない状態に陥っています。このため、緊急時の段階から教育支援を行い、国や地域の教育システムを立て直すことが重要になります。 今回のワークショップは、参加者にとって緊急時の教育支援の重要性を改めて認識するワークショップになりました。

国際救援センター93期生の日本語教育「日本語学習発表会」

国際救援センター93期生の日本語教育「日本語学習発表会」 4ヵ月にわたる日本語教育の総仕上げとなる「日本語学習発表会」を2005年2月22日(火)に実施しました。 画用紙に色鉛筆で思い思いに絵を描き招待状を作った学習者たち。「私たちの発表会に来てください」と笑顔を添えて職員に手渡してくれました。
 チャイムが鳴り講師にふんした学習者が授業風景を再現。遅刻者をしかる場面では、講師の口調をまねて「どうして遅れたの?時間どおりに来てください」このセリフに本物の講師たちも大爆笑。
 「ベトナムでは白いアオザイは学生服です」と学習者。しかしこの日彼女たちが身に着けていたのは、晴れの舞台に映える色とりどりのアオザイ。
「さかな、さかな、さかながいます」戸外学習で見学した水族館を紹介する高齢者クラスの学習者。手描きの魚の絵を泳がせながら童謡チューリップの替え歌で「さかなの歌」を披露。聴衆からは大きな拍手。
 児童クラスは童謡「どんぐりころころ」に振りを付けて披露。「目を閉じて聴いていると日本人の子どもが歌っているみたいね」との感想が聞かれた。地道な練習が実を結んだ。
学習者にとって大勢の聴衆の前で、しかも日本語で自分のことや母国のことを話すのは初めての経験でした。この発表会では学習者がこれまでに習得した日本語と個性を発揮できるように講師がさまざまな工夫を凝らしたこともあり、それぞれ大変充実した内容となりました。そして何よりも「これだけは伝えたい」という学習者の強い思いを感じることができました。