第24回「定住インドシナ難民とのつどい」
行き交う人の息が、若干白く見え始めた初冬を思わせる秋晴れの平成15年10月26日(日)「第24回定住インドシナ難民とのつどい」が、品川区立総合区民会館「きゅりあん」にて行われました。この催しについては、大勢の方々のご協力をいただいております。
第一部式典は、きゅりあん6階の大会議室で、品川区長、外務省国際社会協力部長、法務省入国管理局審議官他、70名近くのご列席を頂いて行われました。雇用主・協力団体(個人)を含めて8名に感謝状が、また、カンボジア3名・ラオス3名・ベトナム4名の合計10名に模範難民定住者として表彰状が授与されました。
雇用主代表として、埼玉県八潮市の(株)沼澤製作所代表取締役の沼澤明夫氏より、従業員31名中、三分の一を超える11名がベトナム難民の方々で、会社の重要な戦力として頑張っている。そして、その中の若い人たちは、運転免許が取りたくて教習所に通い、言葉の違いや解らない標識に苦戦しながらも、数名が取得し、早速自家用車を購入して毎日の通勤に使用している。また、日本の出生率の低下に伴い、今後は労働力の低下が懸念されるので、外国の労働力が必ず必要となると思う。こつこつと地道に真面目な努力をした人が最後には勝てるものと思う。との挨拶を頂きました。
続いて協力者代表として神奈川県大和市の渡辺勝之氏からは、1980年にタイのサケオ難民キャンプに10人の仲間と共にボランティアに出かけ、わずかな期間ではあったが、チルドレンセンターでカンボジアの子どもたちと過ごさせていただいた。また、偶然、大和定住促進センターが自宅の近くに開設されたことから、ボランティアをさせていただいたことがきっかけとなり、主としてカンボジアの皆様と交流を持たせていただいて四半世紀近くの歳月が経過した。わが国の社会は物質的には大変豊かになったが、その一方で人と人とのつながりが失われ、人間らしい暮らしが失われつつある昨今だが、こうした中にあって、豊かにつながり合いながら生きていくという人間らしさの原点に立ち戻ることが求められている。それを、インドシナの皆様から教えていただいた。「今までありがとう、そしてこれからもよろしく!」この気持ちを胸に抱きつつ、これからも共に支えあいながら生きていく仲間であり続けることをお誓いしたい。との力強い決意が述べられました。次に、模範難民定住者代表として、ベトナムのTRUONG
THI THU TRANG(トゥルオン ティ トゥ チャン)さん、ラオスのドァンガモン リスタさん、カンボジアのナウ カンさんには、短い時間ではとても語り尽くせないであろう日本に来るまでの経緯、職場や地域社会での苦労した体験や、自分を支えてくれるすばらしい仲間に対する思いなどを、自分なりにまとめあげて語っていただきました。緊張の中にも和やかな雰囲気の内に第一部式典は無事終了しました。
第2部のアトラクションは8階大ホールにて行われました。幕開けは、品川女子学院吹奏楽の学生たちによる若々しい躍動感あふれる演奏・演技が舞台狭しと繰り広げられ、当財団奥野誠亮理事長の挨拶の後、続いて、ギガ エンターテイメント『オムニ』による大道芸から始まり、イリュージョンマジックあり、アクロバットあり、のサーカスを思わせるような演技へと移りました。特にトランポリンのチャレンジコーナーでは、会場から舞台に上がった子どもたちが、予想に反しトランポリンが上手で、プロの出演者を驚かせ、会場から大きな拍手喝采を浴びていました。
次に、難民定住者による演技では、カンボジアの定住者はこの日のために、6団体のコミュニティーが力を合わせ、優雅な民族舞踊と歌を、ラオスの定住者は、神奈川県愛川町に同国人が資金を出し合って開設した「在日本ラオス文化センター」で練習を重ねた民族舞踊を披露しました。そして最後のベトナムの定住者は、アオザイの女性4名による歌と踊りを披露してくれました。各国ともそれぞれ、毎年いろいろな工夫を凝らし、アイデアを出し合って、日々忙しい中で精一杯練習をした成果を存分に発揮できたことと思います。
最後にインドシナ難民定住者の出演者全員が舞台に立ち、観客と来年の再会を約束しました。帰り際に名残惜しそうにロビーで旧友との会話を存分に楽しんでいる姿が印象的でした。
模範難民定住者として、どのような方が表彰されたのでしょう。各出身国の代表の挨拶をご紹介します。
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第26回日本定住難民とのつどいを開催しました
2005年10月23日(日)、品川区立総合区民会館「きゅりあん」の8階大ホールにおいて、第26回となる日本定住難民とのつどいを開催しました。
式典では、来賓各位からのご挨拶及び小泉純一郎総理大臣をはじめ、外務大臣、法務大臣、厚生労働大臣、文化庁長官他からの祝電の披露に続き、奥野誠亮理事長より、条約難民1名を含む模範難民定住者10名、難民雇用事業所5社、支援協力者6者に対し、それぞれ表彰状及び感謝状を贈呈しました。表彰は日ごろ難民支援に尽力された方々に謝意を表するもので、賞状と副賞の置時計が一人ひとりに渡されました。
式典に続きアトラクションでは、品川女子学院のマーチングバンドをはじめ、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ベトナムの各コミュニティーの民族舞踊、さまざまな分野で活躍する難民定住者が体験談を語るトークショーを行いました。ラオス人法廷通訳者やベトナム人医師などから、異文化社会に融け込み定住することの大切さや、目標を持ち、その達成に向かって努力する意義などについて語っていただきました。今年は初めてミャンマーの民族舞踊が披露され、観衆から大きな拍手を受けていました。また、写真で当財団の難民支援事業を振り返る「インドシナ難民とともに歩んだ30年」の上映を行い、財団の事業に理解を深めていただいたり、ラス・トレージャスのアルパ(竪琴)とテノール独唱による「荒城の月」などが、会場を魅了したりしました。さらに、会場前ではインドシナ難民受け入れをつづった写真パネルや、難民事業本部の支援を紹介したパネルを設置し展示会を開催しました。多くの難民定住者や支援者が足を止め、26年に及ぶ難民の定住の様子に見入っていました。
また、これまで遠方のために来場が難しかった難民定住者のための送迎バスを、神奈川方面に7台、群馬方面に1台、埼玉方面に1台、計9台運行しました。バスに乗車する難民定住者の添乗では各地域のコミュニティーのリーダーやボランティアの方々にご協力を頂きました。
約1,000名の来場者を迎え、盛会裡に終了できたことは、ご協力いただきました関係機関やボランティア及びNGOの方々、ご出演いただいたコミュニティー団体や個人の方々はもとより、観客として会場に足をお運びいただいた方々のおかげと感謝申し上げます。
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奥野理事長のあいさつ |
ミャンマー民族舞踊
レイエーダビィンディ(仲間が一枚のお皿で食事をする踊り) |
カンボジア民族舞踊
ハヌマーンの初恋(猿の王様が人魚に恋をする踊り) |
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ラオス民族舞踊
キンナリー(ラオスの天使) |
ベトナム民族舞踊
ティン クック チョ エム(あなたのための歌) |
民族舞踊などを披露した難民コミュニティー |
パネル展「日本のインドシナ難民と難民事業本部の支援」を開催しました
難民事業本部は2005年10月12日から16日にかけて、広く一般の方々に難民支援の理解を深めてもらうことを目的に、神奈川県横浜市のみなとみらいギャラリーにてパネル展「日本のインドシナ難民と難民事業本部の支援」を開催しました。
展示したパネルは、インドシナ難民の日本定住までの道のり、定住支援施設でのプログラム、施設を出た後のさまざまなアフターケア事業などについて、写真パネルやイラストなどを多用し視覚的に日本の難民支援を紹介したほか、併せて難民理解のための資料やワークブック等を提供しました。
神奈川県は、県営住宅の入居要件の緩和をはじめインドシナ難民に対する受け入れ支援が充実し、現在全国で最も多数のインドシナ難民が居住する自治体となっています。また、さらに横浜市は難民受入れに関して先駆的かつ積極的な都市といえます。
パネル展では、横浜市国際室国際課並びに(財)横浜市国際交流協会等のご協力を得て、多数の来場者を迎えることができ、幅広く市民の方々に日本の難民支援を考えてもらう良い機会を設けることができました。
コミュニティー活動「サッカー大会」を支援しました
難民事業本部は、コミュニティー支援の一環として、2005年10月9日(日)、彦根在住ベトナム人協会主催で開かれた「第5回サッカー大会」を支援しました。ベトナム人難民定住者が就労している滋賀県彦根市の自動車部品メーカー、タカタ株式会社のご好意により、同社グラウンドを会場として利用させていただくことができました。
前日に大雨が降ったためグラウンドの状態が心配されましたが、主催者に聞いたところ「ぬかるみもなく、土埃も立たず、最高のコンディション!」とのこと。彦根市のほか、兵庫県姫路市、大阪府大阪市、静岡県浜松市から、選手と応援団約100名がバスや車で集合しました。
朝10時から夕方5時まで続いたトーナメント試合は接戦となり、各チームの応援にも熱が入りました。彦根チームが優勝、姫路チームが準優勝し、日没後の表彰式ではこの日のために作られたトロフィーが授与され、胴上げや記念撮影など大変盛り上がりました。
それぞれ世代も居住地も異なるベトナム人定住者が集い、一緒にサッカーを楽しむ機会を、参加した皆さんが心から満喫していました。会場設営や片付けを全員が協力し合って行う姿に、この集いに対する参加者の深い思い入れも伝わってきました。
地域や世代を超えたコミュニティーの親睦の機会が今後も継続され、コミュニティー活動がより一層活性化されていくことを期待します。
国際救援センター94期生の就職状況
2005年4月5日、国際救援センターに入所した94期生58人(ベトナム人41人、カンボジア人15人、その他の国籍2人)は2005年10月5日に退所しました。
58人の内訳は、就職者29人、その就職者に同行した家族12人、既に日本に定住している難民の下に引き取られた家族17人です。
また、94期生の定住先は、呼寄せ人居住地の付近で神奈川県をはじめ7都県となっています。
国際救援センター94期生の就職状況
2005年4月5日、国際救援センターに入所した94期生58人(ベトナム人41人、カンボジア人15人、その他の国籍2人)は2005年10月5日に退所しました。
58人の内訳は、就職者29人、その就職者に同行した家族12人、既に日本に定住している難民の下に引き取られた家族17人です。
また、94期生の定住先は、呼寄せ人居住地の付近で神奈川県をはじめ7都県となっています。
国際協力のイベントに参加しました
〜グローバルェスタJAPAN2005、国際フェア2005
難民事業本部は2005年10月1日(土)、2日(日)東京都立日比谷公園にて行われたグローバルェスタJAPAN2005、11月3日(木)〜5日(土)さいたま新都心けやき広場にて行われた国際フェア2005に参加しました。
1.グローバルフェスタJAPAN2005(於:日比谷公園)
グローバルフェスタJAPANは、昨年まで「国際協力フェスティバル」と呼ばれていたイベントで、国際協力に携わる政府機関、国際機関、NGOなどの国際協力団体が一堂に会し、各種イベント(コンサート、シンポジウム、各団体の活動紹介など)を行い、国際協力についてより理解を深めてもらうと同時に、国際協力活動への参加のきっかけをつくるためのイベントです。2005年は10月1日と2日の2日間にわたって、東京の日比谷公園で開催されました。
難民事業本部のブースでは、世界の難民の現状と日本の難民受け入れを紹介したパネル展示、難民理解クイズ、ベトナム人難民定住者を招いての難民理解講座を行い、2日間で300人以上の方にご来場いただきました。
来場者からは、「クイズを解きながら学べ楽しかった」、「初めて難民のことを詳しく知った。なぜ、難民が生まれてしまうのかもっと調べてみたい」、「意外と知らないことが多く、資料を見てなるほどと思った」など多くの感想が寄せられました。
難民理解クイズでは、以下のような問題に答えていただきました。
第1問 |
自国が貧しいため、より良い暮らしを求めて外国へ移った人は難民? |
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(1)はい (2)いいえ |
第2問 |
日本に住んでいるインドシナ難民は約何人? |
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(1)
1万人 (2)
2万人 (3)
3万人 |
第3問 |
日本で難民がもっとも多く住んでいる県は何県? |
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(1)埼玉県 (2)神奈川県 (3)兵庫県 |
2.
国際フェア2005(於:さいたま新都心けやき広場)
国際フェア2005は、11月3日から5日までの3日間、さいたま新都心けやき広場を会場にて開催されました。
会場には主に埼玉県に拠点のある約60のNGO等がブースを開設し、在日外国人の生活支援、日本語学習支援、アジア・アフリカの難民支援等の活動紹介、フェアトレイドによる発展途上国の物品販売、世界の料理の販売などが行われました。また、特設ステージでは各国の民族舞踊、民族音楽等の披露がありました。
難民事業本部のブースでは、世界の難民の現状と日本の難民受け入れを紹介したパネル展示や資料の配布、難民理解クイズを実施しました。当ブースには3日間で約150人が来訪しました。
難民理解クイズの答え
第1問 (2)、第2問 (3)、第3問 (2)