シンポジウム 「難民の定住課題」を開催しました

シンポジウム 「難民の定住課題」を開催しました

難民事業本部では、2007年3月24日(土)、国際協力機構(JICA)国際協力総合研究所国際会議場にてシンポジウム「難民の定住課題」を開催しました。 シンポジウムでは、まず、イギリスからジョナサン・デューク・エバンス英国内務省移民国籍局社会政策部長をお迎えし、「英国の難民受け入れ」について基調講演をしていただきました。

ジョナサン・デューク・エバンス英国内務省移民国籍局社会政策部長講演概要

1.現在の英国における外国人をめぐる状況

  • 数的な影響に留まらず、難民だけでなく経済的理由をもって移民してきた人々も含めて多文化の共存の問題が政治的な論議を呼んでいる。
  • 現在は東欧、特にポーランドからの移民が多数流入している。過去最大の移民集団を構成する。
  • 庇護申請者及び庇護対象者に対する英国民の不満や極右の排他的な行動が目立つ。
  • 英国は、難民条約の下、国際社会の中で義務を果たしている。単に義務を果たすだけでなく、積極的に再定住プログラムを実施している。
  • 英国国民が受ける公的サービス・社会サービス以上のものを提供する計画ではない。

2.英国(特にイングランド)における難民

  • イングランドに在住する難民がもっとも多い。
  • 2006年においては2万3千人が難民申請をした。うち2千170人が即時に難民認定を受けている。また別の2千260人が難民認定を受けられなかったが、英国における滞在は認められた。申請者の約3分の1に当たる8千人超の人が難民として認定あるいは滞在を認められたことになる。ただしこの数字は家族を含まない。
  • 難民の中には自ら事業を興し、キャリアを築いた者も存在するが、一般的に難民は英国社会の中で経済的に成功しているとは言い難い状況にある。
  • 典型的な難民は全く資産を持たないまま英国へ入国し、ゼロからスタートしなくてはならない状況に立たされる。全く英語を話せず、その知識にも乏しい者が多い。その他の資格についても持っていない者が多い。また自国で認定された資格を持っている場合でも、英国内では認められない場合が多い。

3.英国における難民の定着政策

  • 全ての難民が英国社会に定着・適応できるように、真の機会を与える。そのために英語の習得、恒久的な職に就業することに重点を置いている。
基調講演の後、ジョナサン・デューク・エバンスさんに加え、難民定住者の山崎亮介さん、日本国際社会事業団の大森邦子常務理事をお迎えし、「難民の定住課題と支援」についてパネルディスカッションを行いました。

 

(1)山崎さん:

日本国内における他のアジア人に対する差別があるように感じる。支援は提供すべきだが、できる限り難民が自立した生活をできるような支援であるべきである。何から何までやってあげるのが支援ではないように思う。

(2)大森さん:

日本語の「難民」という言葉が持つニュアンス、与える印象があまり好ましいものではない。難民イコール「難がある人」というイメージができあがっているようにこれまでの経験の中で感じている。言葉の問題によって誤解が生じ、それに付随して生じたトラブルも多い。相手の立場にたって考えるという姿勢が重要である。

(3)エバンスさん:

英国では難民コミュニティーへの支援だけでなく、難民同士の結びつきを促進する活動も行っている。メンター制度によるサポートや、難民同士間の友情や友好も大切である。雇用のための訓練も重要だが、それだけでなく互いが助け合えるネットワークを作ることも同様に重要なことである。

RHQ支援センター第1期生(1年コース)第2期生(半年コース)合同修了式

RHQ支援センター第1期生(1年コース)第2期生(半年コース)合同修了式
合同修了式の風景
2007年3月19日(月)午前10時よりRHQ支援センターにおいて、第1期生(1年コース)8人と第2期生(半年コース)3人の計11人の合同修了式を行いました。 第1期生(1年コース)は2006年5月15日に、第2期生(半年コース)は10月11日に、それぞれ入所し、両コースの定住支援プログラムの受講期間は本年3月19日をもって修了しました。 修了式には政府関係者や地元の区の関係者、社団法人国際日本語普及協会(AJALT)の関係者に参列いただきました。 はじめに、今村施設長から祝辞を述べた後、文化庁町田国語課長、鈴木日本語教育主任講師、倉辻生活ガイダンス講座講師よりお祝いの言葉をいただきました。 最後に、修了生一人ひとりが、これまで頑張って身に付けた日本語で感想を述べ、和やかな雰囲気の中で終了しました。