スタディツアー2008特別編 聞いて、見て、知ろう!難民定住者コミュニティー活動の現場

スタディツアー2008特別編 聞いて、見て、知ろう!難民定住者コミュニティー活動の現場

難民事業本部では、学生・社会人などを対象に、難民支援に携わる現場の声を聞くことにより広く難民問題について知ってもらうため、2001年から毎年スタディツアーを開催しています。今回は2008年度スタディツアーの初回として、6月29日(日)に、日本国内のラオス難民定住者のコミュニティー活動現場を訪問する特別編を開催し、学生や社会人など合計12人が参加しました。
ラオス文化センターでの難民体験談 まず、厚木市の厚木商工会議所において、ラオス文化センター5周年記念式典を見学しました。同センター駐在のラオス人仏教僧による「平和の御祓い儀式」の後、在日ラオス・コミュニティー代表者(在日本ラオス協会会長)の交代式が行われました。また、ラオス民族舞踊が披露されると同時に、ラオス家庭料理の食事会も開催され、ラオス文化に親しむ貴重な機会となりました。式典見学後は、ラオス文化センター(神奈川県愛甲郡)に移動しました。 ラオス文化センターは、在日ラオス人の寄付を集めて土地と建物を購入し、2003年に設立したコミュニティーの集会所であることなど、設立目的や経緯について説明を受けました。多くのラオス人は仏教を深く信仰しており、同センターには、ラオスから来日した僧侶数名が交代で常駐しているとのことです。その後、ラオス難民定住者の親子(父親及び長女)の体験談を聞く機会を設けました。彼らは来日当初、難民事業本部が運営していた大和定住促進センターに家族で入所していました。(同センターは、1980年2月神奈川県大和市に開設され、1998年3月に閉所されました。)それぞれ第一世代・第二世代の難民として、日本で経験してきた苦労やラオスと日本の違いなどについてお話いただきました。参加者は、それぞれ今回のスタディツアーに参加した理由、自分とラオスや難民支援との関わりを語り、相互交流の場となりました。 参加者のアンケートでは、「日本でラオス出身の方々と直接交流するのは初めてだったので大変良かった。もっと在日の難民定住者コミュニティーとの交流が深まると良いと思った」、「ラオスの料理、民族衣装、民族舞踊などのラオス文化に初めて触れる機会となった」、「家族(第一世代・第二世代の親子)のライフ・ヒストリーに厚みを感じた」、「日本で暮らす難民の方々の実体験や苦労を知ることができ、大変参考になった」、「難民の方々は色々とご苦労はあったと思うが、現在は幸せそうに暮らしている様子を聞いて安心した」などの感想が寄せられました。

2008年 UNHCR主催の非政府組織との年次会合(Annual Consultations with Non-Governmental Organizations)に参加して

2008年 UNHCR主催の非政府組織との年次会合(Annual Consultations with Non-Governmental Organizations)に参加して

(2008年6月25日〜27日)
2008年6月25日から27日まで、ジュネーブの国際連合欧州本部及び国際会議場にて、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の執行委員会年次総会(ExCom)前のUNHCRとNGOの年次会合が開催されました。同会合は、例年9月に開催されていましたが、今年から開催時期が6月に変更されました。今回は、世界75カ国より200団体350名を超える参加者があり、日本からは難民事業本部を含め3団体3名が参加しました。 今年は「世界人権宣言(Universal Declaration of Human Rights)」採択60周年、「パートナーシップの原則(Principles of Partnership)」がGlobal Humanitarian Platform(GHP)で承認されて1周年を迎えた記念すべき年となりました。GHPとは2006年1月、国連組織と国連以外の人道援助組織が対等な立場で一体となり創設されたものです。今年の会合は「世界人権宣言」及び「パートナーシップの原則」を柱に、全体会議と12の分野別分科会が開催されました。また、5つの地域別分科会(ヨーロッパ、南北アメリカ、中東・北アフリカ、アフリカ、アジア太平洋)と、参加NGO主導の7つのside-meetingも行われました。 開会式のヨルダン・ハシェミット王国Noor女王によるスピーチでは、約500万人に及ぶイラク難民問題が取り上げられました。イラク難民の半数はイラク隣国のシリア、ヨルダンに流入しており、受入国は膨大な負担を強いられていることが訴えられました。同時に国際社会の受入国に対する支援と、受入国の負担を分散させるための解決策として、先進諸国に第三国定住を拡大させることの重要性が指摘されました。 また、難民の第三国定住に焦点を当てた分野別会合では、ヨルダン及びケニアから第三国への定住プログラムに関する報告と、第三国定住導入国拡大の展望に関する報告がありました。かつて第三国定住は難民問題の恒久的解決(durable solution)として重要視されていませんでしたが、近年大きな変化を遂げています。現在、全世界の第三国受入可能人数は75,000人ですが、UNHCR主導の下、その数字を増加させる取り組みがなされています。 最終日にグテーレス難民高等弁務官は、無国籍者、都市滞留型難民に加え、難民と移民が混在した近年の人口移動等の新たな課題について言及した上で、数々の課題に取り組むためにはUNHCRとNGOの更なるパートナーシップ強化と、両者が協力して人道支援活動やアドボカシー活動を継続していくことの重要性を強調しました。