RHQ支援センター第8期生「工場見学」

RHQ支援センター第8期生「工場見学」
2009年11月27日、RHQ支援センター第8期生6名は定住支援プログラムの一環で神奈川県川崎市の日本理化学工業株式会社を訪れ、実際に日本の工場の現場を見学し、日本での就労について学びました。 日本理化学工業の工場では「北海道リサイクルブランド」として認証されたホタテ貝殻を再生活用した環境にやさしいチョークを製造しており、その製造工程を見学させて頂きました。また、ここで働いている半数以上の方々が重度知的障がい者の方ですが、それぞれに応じて能力が十分発揮できるよう職場で行っている様々な具体的な工夫や協力についての説明を受けました。 同社の大山隆久社長から、職業生活をおくる上で欠かせない「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」と、それを社員みんなが心掛けることの大切さについてのお話がありました。社員みんなが「ほうれんそう」を守り、些細なことでも相談し、みんなで解決していくことの重要性を学ぶことが出来ました。 第8期生からは、「工場で懸命に働く障がい者の方々に会って、とても勇気付けられました。日本語ができないだけで働くことを諦めかけていた自分が恥ずかしくなりました」という感想もあり、これから日本で働く第8期生にとって大きな励みとなったようです。

平成21年度雇用促進協議会(西日本地区)を開催しました

平成21年度雇用促進協議会(西日本地区)を開催しました

2009年11月27日(金)、兵庫県神戸市男女共同参画センターにおいて標記協議会を開催しました。本協議会は、難民定住者の雇用状況の安定を図るため、難民が多く住む大阪府八尾市、兵庫県神戸市、姫路市で毎年順番に開催しています。今年は、神戸周辺の職業安定機関、難民雇用事業主、住宅供給機関、福祉行政機関の担当者計9名に参加頂き、現状の問題などについて意見交換を行いました。 職業安定機関からは、昨秋の世界同時不況を受け、完全失業率が一時、過去最悪の5.7%を記録する厳しい雇用失業情勢を受け、政府の緊急雇用対策が各種とられているとの説明がありました。外国人求職者の状況としては、新規求職登録者の大幅な増加と日本人求職者との高い競争率の点で、日本語能力の不足している外国人求職者は求職活動が長引いているとのことでした。 難民雇用事業主からは、介護福祉施設にベトナム難民定住者2名の派遣実績を持つヘルパー派遣・雇用管理請負会社から、彼女ら難民定住者のホスピタリティの高さから、ヘルパーとして定着し受入れ施設からも高評価を得ている、ベトナム難民定住者1名を雇用する介護福祉施設からは、日本語はまだおぼつかないものの、真面目な勤務態度や関係の資格を取得するなど向学心が高く、今後の活躍に期待しているなどのお話がありました。5名のベトナム難民定住者を雇用する靴の材料加工会社では、近年の生産拠点の海外流出と不況により零細企業との取引が増え、細かい内容の仕様書を読解する日本語力が求められており、難民定住者の日本語能力向上に対する必要性は以前にも増して高まっているとのことでした。 また、行政の現場においては生活保護相談・申請が増加する中で、日本語能力が不十分なために手続きを進める上で様々な問題が生じる難民定住者もいるとの話がありました。

「わたしたちの難民問題2009/vol.13」を開催しました

「わたしたちの難民問題2009/vol.13」を開催しました

2009年10月から11月に、難民事業本部関西支部は神戸YMCAとの共催で「わたしたちの難民問題2009/vol.13」(全5回)を神戸市青少年会館にて開催しました。毎年、各分野で難民支援に携わっている方から難民問題の話を聞き、自分たちに何ができるのかを考えることを目的としたこのセミナーは、今年で13回目となります。毎回約20名の参加者を迎え、海外と国内の難民問題に関する講演を行いました。 参加者は学生や社会人などで、難民問題について聞くのは全く初めてという方から、実際に難民支援に携わっておられる方まで幅広く、各回とも難民問題について具体的な話が聞けたと好評でした。 第1回は、当難民事業本部鵜川晃精神衛生カウンセラーが、難民支援におけるメンタルヘルスケアの現状と課題について話をしました。難民の持つメンタルヘルス上の要因は、母国を脱出以前に生じていた問題、脱出中に生じる問題、受入国での問題があること、精神疾患の症状として、PTSDや鬱病、身体表現性障害、統合失調症などがあることを説明しました。これらのメンタルヘルス支援では、疾患の正しい理解、専門家との連携、難民の背景の理解が必要であり、そのためには難民の声によく耳を傾けることが大切であると話しました。 第2回は、成蹊大学文学部墓田桂准教授に、グルジアの国内避難民についてお話をして頂きました。国内避難民発生の原因として、グルジアの歴史的・民族的背景、地図や写真を使って国内避難民の現状の説明、これに対するグルジア政府やUNHCRの対応、また、帰還を巡る諸問題について話を伺いました。参加者は最近報道されることが少なくなったグルジア問題の最新情報を知ることが出来ました。 第3回は、特定非営利活動法人JEN海外事業部若野綾子プログラムオフィサーに、アフガニスタン難民の帰還支援についてお話して頂きました。写真を使ってアフガニスタンの現地の人々や情勢について分かりやすく説明いただくとともに、支援活動の必要性や成果、外国の支援団体がもたらす利害など専門的な話を伺いました。 第4回は、RINK(全ての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)岩田賢司事務局員に、関西地域の難民支援の現状と課題についてお話して頂きました。難民の定義と日本の難民の受け入れ、難民認定制度などのほか、関西地域の難民支援状況とRINKの様々なサポートについて具体的に説明があり、関西における難民支援が活発に行われている様子が分かりました。 第5回は、カトリック淳心会姫路ハリー・クワードブリット神父に、日本のインドシナ難民についてお話して頂きました。ハリー神父は、日本がインドシナ難民の受け入れを開始した当初から支援を続けてこられ、姫路定住促進センターの名誉所長を務めた経験から、インドシナ難民が日本社会で生きていくにあたってはアイデンティティを尊重することが重要であること、コミュニティ活動で文化や母語を継承することは精神の安定に繋がることなどについて話を伺いました。また、インドシナ難民の受け入れは30年以上が経過し、難民二世三世が抱える悩みや支援の在り方についてもアドバイスを伺いました。 今回のセミナーでは、毎回多くの質問が出され、講演後も講師に直接話を聞きに行く積極的な参加者の姿が見られるなど、難民問題に対する関心が高いことが窺えました。セミナーを通じて参加者同士のつながりも出来、一人ひとりが難民問題を身近なこととして考えるよい機会となったと思います。

熱心にNGOのアフガニスタン支援を聞く