セミナー「わたしたちの難民問題2015/Vol.16」を開催しました

セミナー「わたしたちの難民問題2015/Vol.16」を開催しました(2015.11-12)

難民事業本部では神戸YMCAとの共催で、国内や海外の難民問題を広くみなさんに知っていただくためのセミナー「わたしたちの難民問題2015/Vol.16」(全4回)を開催いたしました。 第1回は、NPO法人ルワンダの教育を考える会・理事長の永遠瑠マリールイズさんをお招きし、「ルワンダ内戦の悲劇から学んだこと」と題してお話しいただきました。内戦に至るまでのルワンダの歴史を詳しい解説と、戦火を逃れ隣国の難民キャンプへたどり着くまでの経緯や難民キャンプでの生活など、マリールイズさんの壮絶な体験を伺いました。何度も死を覚悟しながらも偶然や奇跡的な出会いによって生き延びることができたことへの感謝と、決して戦争は起こしてはいけないという強い使命感にあふれたお話を通して、戦争の悲惨さ、平和のありがたさ、人間のたくましさと優しさについて改めて考えさせられました。 第2回は、兵庫県立大学准教授の乾美紀さんに「日本に暮らすラオス定住難民の現状と多文化共生に向けた課題」についてお話しいただきました。研究者として、また支援者として、姫路に暮らすラオス定住難民と長く関わってこられた乾さんより、特に難民として来日した子どもの教育問題について詳しく説明いただきました。多文化共生社会の実現に向けて、コミュニティの行事に参加したり、当事者と一緒に文化を楽しむなど、私たちにできる支援もたくさんあることがわかりました。また、ラオスで学校建設などの支援を行っている学生団体のメンバーによる活動紹介もあり、ラオスへの支援を通じて、日本にいるラオス定住難民への関心や理解につながることが期待されます。 第3回は、上智大学教授の根本敬さんをお招きし、「さまようロヒンギャ難民 その背景と現状」をテーマにお話いただきました。過去2度にわたる大量難民流出から今年5月の海上漂流について、交易時代や他国による占領から独立といった文化的および政治的歴史背景を詳しく知ることにより、状況や原因を明確に理解することができ、また問題解決に向けてもより具体的にイメージすることができました。国や国民とは何か、民主化とは、政治の役割とはなど、普段はあまり意識しない事柄ではありますが、ロヒンギャ問題を通して、難民を発生させない国や社会のあり方について、深く考えさせられる時間となりました。 第4回は、難民を助ける会の景平義文さんにお越しいただき、「トルコでのシリア難民支援活動」についてお話しいただきました。難民についての一般的な知識から、人口の約半数が避難生活を余儀なくされているシリア国内の様子、ほとんどの難民がキャンプではなく都市で暮らしている現状や、都市に住む難民をさがして支援物資を配布したり、コミュニティセンターを開設してトルコ語教室や子どもの遊び場を提供するなどの支援内容に加え、たとえ紛争が収まっても荒廃したシリアへ帰ることは容易ではなく、多くの難民はトルコや他の国で社会の一員になっていかなければならないという、今後の展望についてもお話しいただき、難民問題の解決の難しさを痛感しました。

定着指導・雇用促進協議会を実施しました

定着指導・雇用促進協議会を実施しました

2015年11月25日(水)、兵庫県加東市で農業機械用エンジンギアや各種部品、バイク用部品等を製造する株式会社日本ジェットを訪問し、難民雇用の経緯や就労状況について竹内代表取締役社長からお話を伺うと共に、2014年度に日本定住難民のつどいで表彰された模範難民定住者の方に、工場内を案内していただきました。 日本ジェットでは20年以上前、近隣高校を卒業したラオス人難民を雇用したことをきっかけに、現在では20名以上のインドシナ難民を正社員として雇用しています。新しく雇用された難民は、技術の面だけでなく言葉の面でも先輩の難民からサポートを受け、すべての作業場を担当するために必要な技術を身につけていきます。技能実習生を雇用する会社が増える中、日本ジェットでは長期安定雇用を目指しているため、技能実習制度は取り入れていません。従業員同士は家族のように仲良く協力し合っており、見学中の会話からも社長と従業員の信頼関係が伝わってきました。 11月26日(木)、神戸市内で雇用促進協議会を開催しました。雨が降る中、雇用事業主をはじめとして、福祉行政機関、職業安定機関から6名にご出席いただき、難民雇用の促進のために情報を共有しました。 職業安定機関からは、日本語の読み書きができないことから、自分で仕事を探すことが難しい難民求職者の現状について報告がありました。一方で、日本語が苦手でも、一生懸命求職活動をして1ヶ月程度で就職できた方の例を挙げて、諦めないで仕事を探すことが大切だという意見がありました。 福祉行政機関からは、担当地域に多いケミカルシューズの雇用状況について報告がありました。景気と季節に左右される産業であるために、雇用形態はパート就労が多く、収入が安定しないことから生活保護から脱却できないことが多いとの説明がありました。 雇用事業主は、現在43名の難民を雇用しています。初代社長が難民の雇用を開始した当時は、文化や考え方の違いから問題が絶えず苦労しましたが、日本人従業員と外国人従業員とで待遇に差をつけないことや、経営難の時期にも継続雇用に努めることで、親子で就業する従業員や転職しても戻ってくる従業員もいるほど、難民にとっても働きやすい環境を保っているとの報告がありました。 参加者の様々な立場からの報告により、今後の難民雇用促進につなぐための有益な意見交換の場となりました。

第三国定住難民第6陣(第22期生)「買い物体験」を行いました

第三国定住難民第6陣(第22期生)「買い物体験」を行いました

2015年11月8日(日)、RHQ支援センターは(株)ファーストリテイリングと協力し、CSR活動の一環として第三国定住第6陣の入所者6世帯に支給する冬物衣料をユニクロ店舗で「買い物体験」として実施しました。 この日は、第6陣にとっては常夏のマレーシアから9月に来日してから初めての冬物衣料の購入となりました。ユニクロ店舗のスタッフの協力を得て、思い思いにサイズや色を選びながら、楽しく買い物をすることが出来ました。 買い物体験を終えた入所者からは、「マレーシアにもユニクロはあるが、これまで利用したことはなかったので、今回買い物が出来てうれしかった。」、「カラフルな服にあこがれていたので、着れてうれしい。」、「服の並べ方が変わっていて驚いた。」、「日本の気候に合った服を選べてよかった。」、「スタッフの方が丁寧に接してくれた。日本のユニクロで働いてみたい。」などの感想が聞かれました。入所者にとっては、国際的に展開する日本企業のサービスを経験することが出来、貴重な体験となったようです。

RHQ支援センター21期生(前期半年コース)「健康ウィーク」を実施しました

RHQ支援センター21期生(前期半年コース) 「健康ウィーク」を実施しました

RHQ支援センター第21期生(前期半年コース)は、生活ガイダンスの一環の「健康ウィーク」で健康に関する知識を各分野の専門家から学びました。 健康ウィークで学ぶ内容は、①感染症や伝染病、②歯の健康、③栄養バランスと健康管理、④正しい薬の知識、⑤健康保険制度と病院の5つのトピックに分かれています。地元自治体の協力を得て、各分野の専門家として、保健師、歯科衛生士、薬剤師、管理栄養士を講師として派遣していただき、講座を実施しました。 感染症や伝染病の講座では、病原菌から体を守るために手洗いやマスクをして予防することや、周りの人に伝染させない対処を学び、歯の講義では、実際に歯ブラシを使って基礎的な歯のみがき方の指導を受けました。 栄養バランスと健康管理についての講座では、健康な体を維持するためには日々栄養バランスの良い食事が重要であることを学んだほか、四季折々の日本食についても紹介があり、季節に合わせた食べ物があることに興味を持ったようでした。 正しい薬の知識の講座では、決められた用法・容量を守ることや「お薬手帳」の活用、処方箋や薬剤師の役割などについて学びました。また、健康保険制度の講座では、国民全員を対象にした健康保険に外国人も加入できること、3割の自己負担で治療が受けられることの他、様々な助成があることなどについても説明を受けました。 このほか、RHQ支援センターからは、入所者の使用言語の対訳が付いた医療用語集(難民事業本部作成)を配布し、いざという時に役に立てられるよう、使い方の説明を行いました。 この学びをとおして、自分や家族の健康を見直したり、健康保険や薬局のシステムを正しく知る機会になりました。