「多文化共生教育のための国際理解教育・開発教育セミナー2016 inひめじ」を開催しました

「多文化共生教育のための国際理解教育・開発教育セミナー2016 inひめじ」を開催しました

7月31日(日)、姫路市勤労市民会館にて「多文化共生教育のための国際理解教育・開発教育セミナー2016 inひめじ」を開催し、59名の参加がありました。このセミナーは、兵庫県教育委員会と姫路市教育委員会と難民事業本部が主催し、学校教育関係者に授業で活かせるワークショップ等の手法や教材等を提供することを目的として昨年から実施しています。 最初に、川崎医療福祉大学の山中信幸教授に「開発教育ファシリテーター入門〜授業実践を通して〜」と題したお話をいただきました。講演では、開発教育及びファシリテーターの定義や役割を確認した後、学習者に対するファシリテーターの接し方としてどのような方法があるのかについて学びました。 難民事業本部が担当した演習では、「アクティブラーニングで考える難民の選択」と題したワークショップを行いました。クイズ形式で難民の定義を確認した後、家族構成や現在の状況、隣国の状況などそれぞれ異なる条件のもと、難民として国境を越えるのかどうかをグループで考えました。戦争が激しくなったり、政府から弾圧を受けたりしていても、高齢者や妊婦のいる家族はあえて故郷にとどまるなど難民の苦しい選択を疑似体験しました。 姫路市には1979年に日本で初めて定住促進センターが開設され、現在も多くのインドシナ難民とその家族が暮らしています。難民事業本部では、今後も教育委員会や行政と連携し、難民が暮らしやすい社会の実現に向けて広報活動を行っていきたいと考えています。

RHQ支援センターを退所した第22期生(第三国定住第6陣)が夏祭りを通じて住民と交流しました

RHQ支援センターを退所した第22期生(第三国定住第6陣)が 夏祭りを通じて住民と交流しました

2016年7月30日(土)、31日(日)、千葉市に定住した第三国定住第6陣6家族が、地域の夏祭りに参加し、住民の方々と交流しました。 夏祭りへの参加については、主催者である同団地の自治会長や老人会長から招待を受けていたものですが、祭りの準備を担う運営側の方々が年々高齢化していることや、夏祭りを地元の方々と難民が交流できる機会にしたいという自治会長の御配慮を受けて、難民有志も1週間前から祭り会場の事前準備のお手伝いをしました。くい打ちや電線張りなどの力仕事をしたり、祭り当日には日本人スタッフに混じって仕上げのテントの組み立てや提灯の飾り付けをしたり、水道ホースの修理などに奮闘しました。 祭りは二日間行われ、初日には、自治会長が主催者挨拶の際に、難民家族全員を盆踊り用の祭り櫓の上に一緒に上がらせて頂き、自治会長から、ミャンマーから来て今年3月に新しく団地に住むことになった6家族を同じ団地に住む仲間として温かい心で迎え、互いに挨拶をし合うような関係になってほしい、まだ言葉や生活の面で分からないこともあるので、見かけたら気軽に声をかけてあげてほしい、と紹介いただき、それに応える形で難民家族も一人ひとり日本語で自己紹介しました。「日本で家族と一緒に暮らせて、仕事が出来て嬉しいです」「近くの木材加工会社で働いています」「子どもたちも保育所や小学校に行けて、とても喜んでいます」「千葉が大好きになりました」など一言ずつ気持ちを伝えました。 また、二日目には、区長が会場に訪れた際に、区長より難民家族に優しく声をかけて頂き、難民よりは日本語で自己紹介した上で、「お世話になっています」と挨拶しました。その後、区長の誘いで、難民たちも盆踊りの輪に入って一緒に踊ったり、区長や自治会長と一緒に写真撮影を行うなど、楽しいひと時を過ごしました。 夏祭りへの参加を通じて、難民家族は地元住民の方々と交流をし、地域に溶け込むことができました。
 

「ワークショップ難民2016」を開催しました

「ワークショップ難民2016」を開催しました

 難民事業本部関西支部と神戸YMCAは難民問題を多くの方に知っていただくための参加型セミナー「ワークショップ難民2016」(2016年6月8日、22日、7月6日、20日の全4回)を開催しました。難民問題に関心のある高校生や学生、社会人など、延べ77名の方にご参加いただきました。

 第1回のテーマは「難民とは」。難民とはどのような人なのか、クイズ形式で出題し、難民条約の中で定義されている難民について解説し、難民が発生する原因や状況について考えました。

 第2回は「難民になる」をテーマに、家族構成や現在の状況、隣国の状況などそれぞれ異なる条件のもと、どのような状況なら国境を越えて逃げるのか、逃げた場合はどのような行く手が待っているのか、逃げない理由は何かについて、実際に難民になったつもりで考えました。

 第3回は「難民と暮らす」と題し、文化や価値観の異なる国での生活を疑似体験し、難民と難民を受け入れる人々が直面する課題とその解決策について話し合いました。

 第4回は「難民を支援する」。NGOの立場で援助計画を作成しました。家を追われ異国で暮らす難民の子どもたちの映像を見て、難民が困っていることは何か、どんな支援が必要かを考え、グループごとに支援計画を作成し発表しました。

 各回とも参加者の方々が非常に熱心で、積極的に議論している様子が印象的でした。特にロールプレイでは、当事者になりきった議論が展開されました。また、今年も高校生の参加者が多く、難民問題に関心を持つ人々の世代の広がりを強く感じられるワークショップとなりました。参加者からは、「難民の定義が明確になった」「難民の立場になって考えることができてよかった」「ロールプレイ形式で楽しみながら勉強できた」「これからも何ができるか考えたいと思った」などの感想が寄せられました。

 関西支部では今後も難民について考えていただけるよう、ワークショップをはじめセミナーなど難民理解のための様々な場を提供してまいります。


 

第三国定住難民の定住後の日本語支援にかかる支援者向け講座を実施しました

第三国定住難民の定住後の日本語支援にかかる 支援者向け講座を実施しました

2016年7月15日(金)に第三国定住難民5陣・6陣の定住地域で日本語支援にかかる支援者向け講座を実施しました。平日日中の開催にもかかわらず,当日は約40名もの参加者に御来場いただき,日本語支援関係者の皆さんの難民への関心の高さや熱意がうかがえました。 講座では,約2時間にわたり,難民事業本部の概要や第三国定住難民の受入の概要,および難民事業本部が政府委託を受けて実施している日本語教育の内容などについて,説明と質疑応答を行いました。 質疑応答では,世界の難民情勢や今後の制度の行方,具体的に難民と接するに当たっての疑問なども出されました。参加者からは,難民について良くわかった,参加できてよかったという感想をいただきました。 開催にあたっては,地域の関係機関に会場や広報・準備等,全面的なご協力をいただきました。 今後も,難民と日本語支援を通じ関わりのあるボランティアや支援関係者の方々へこうした講座を通じて,情報提供をしていきたいと思います。

RHQ支援センター24期生が七夕交流会(2016.7.1)と盆踊り(2016.7.22)で地域交流

RHQ支援センター24期生が七夕交流会(2016.7.1)と 盆踊り(2016.7.22)で地域交流

2016年7月1日(金)及び22日、RHQ支援センター第24期生前期半年コースと夜間通年コースの受講生は、生活ガイダンスの地域参加活動の一環で地域住民との文化交流を体験しました。前期半年コースは1日に地域の町会が主催した七夕交流会に、夜間通年コースは22日に地域の神社で行われた盆踊り大会に参加しました。 七夕交流会には前期半年コースの5名が参加しました。午前中の授業で七夕の由来や短冊について学習した後、午後は地域の交流館で町会の方々との交流会に参加しました。交流会には地元自治体の多文化共生事業や社会福祉事業の関係者も加わり、盛会となりました。 はじめに、全員で短冊に願い事を書き、笹に結びつけました。受講者が書いた短冊には「にほんごがじょうずになりますように」「あかるいみらいになりますように」「かぞくにあえますように」などの願い事が日本語で書かれました。続いて、一人ずつ自国紹介を行い、挨拶やお礼の言葉を自国の言葉と文字で紹介したり、日本とは全くやり方の違う自国のじゃんけんを紹介したり、民族舞踊の振り付けを踊って見せたり、自然の木の皮をすり潰して作る日焼け止めを作って塗って見せたりと、日本人にも参加してもらいながら大いに盛り上がりました。 引き続き行われたメインイベントの盆踊り体験では、町会の婦人部の方々に浴衣を着付けて頂き、炭坑節の振り付けを教わり、笹飾りを中心に全員が輪になって、盆踊りを踊りました。初めて着た浴衣姿での、初めての盆踊りにもかかわらず、みんな熱心に繰り返し何周も踊りました。初対面でも浴衣を着て日本人の輪に入って同じ振り付けを踊っていると自然に笑顔になり、浴衣姿が気に入った入所者は、「こんなに可愛い浴衣が着られて本当にうれしいです。」と言いながら、お互いに記念写真を撮り合っていました。 その後の懇談の時間には、すっかりリラックスし、町会の方々との日本語での会話も弾み、5人くらいに囲まれてじゃんけんや民族舞踊に関する質問に答えていました。最後の締めくくりには、参加者全員で「七夕さま」を合唱し、和やかな雰囲気の中、会は終了しました。
2016年7月22日(金)、夜間通年コース5名は、地元町会から招待を受けて、地域の神社で行われた盆踊り大会にそれぞれ浴衣を着て参加しました。会場では四方八方に燈された提灯の明かりの下、本格的な太鼓の響きに圧倒されながらも、盆踊りの輪に入って一生懸命踊りました。全員が盆踊りは初体験で、始めは慣れない和のリズムに苦戦していましたが程なく慣れ、次々とかかる曲に合わせてなんとか数曲踊りきりました。世代を超えた老若男女が同じ盆踊りを踊る姿を見て、受講者の一人は、先進国の日本でも古い風習が受け継がれて残っていることに驚き、自分の出身国のお祭りの雰囲気にも似ていると感想を述べていました。 今回の交流をとおして、住民の方々と一緒にひとつのことに取り組み、直接話をしてみることがお互いの心を通じ合わせる一番の近道であり、こうした活動こそが、住民との間の理解を促進し、結果として地域社会の安定に繋がっているのだと実感しました。

関西支部開設20周年になりました

関西支部開設20周年になりました

1996年6月に開設いたしました関西支部が20周年を迎えました。これもひとえに関係機関、難民雇用事業主、支援団体、コミュニティ団体、そして定住難民の皆さんのお力添えのたまものと感謝しております。 1979年日本で最初に開設された姫路定住促進センターから2,640名のインドシナ難民が退所し、その多くが西日本に定住していました。関西支部では彼らのアフターケアの拠点として相談業務(生活相談、職業相談、日本語教育相談)、各種申請の受付等を行ってまいりました。当初は滞日歴の短い難民の方から、日本語や日本の制度の理解が不十分なために初歩的な相談もたくさん寄せられましたが、現在では自立が進みそのような相談は少なくなりました。一方で、高齢化などに伴って医療や福祉などの深刻で複雑な相談が中心となり、数年間に渡り支援が続くケースも珍しくありません。また、日本出生の難民二世の方々から帰化や婚姻の手続きについてご相談いただくことが多くなったのも最近の傾向です。 2004年には20名以上のベトナム難民が在留資格を失い、収容されている入国管理センターからの相談に応えて相談員が面接をするなどの支援を行いました。その後、多くの収容者が社会復帰を果たしましたが、現在も同様の相談が僅かながら寄せられています。 2005年の入管法改正以降、難民認定申請が急増し、生活に困窮する難民認定申請者に対する保護措置も拡大しました。特に中京地域での支援依頼が増加したため、2010年には名古屋国際センター内にも相談窓口を開設し面接を行っています。 難民の皆さんが定住するためには、日本社会の難民理解が不可欠なことから、さまざまな広報、啓発活動も行ってまいりました。1997年からセミナー「わたしたちの難民問題」を神戸YMCAと共催し、2004年からは教育委員会、JICA等6団体共催で教員向けのセミナーも毎夏開催しご好評をいただいています。 関西支部は、今後も時代の変化に対応しながら、難民の皆さんが日本で活き活きと暮らしていけるように微力ながら業務を行ってまいりますので、一層のご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。