定着指導・雇用促進協議会を実施しました
難民の方々の雇用状況を把握するため、2016年11月15日(火)、大阪府内の2事業所を訪問し、難民雇用の経緯や就労状況についてお話を伺うと共に、社内を案内していただきました。
1社目は柏原市で菓子の製造・卸をしている株式会社いたに萬幸堂の伊谷代表取締役にお話を伺いました。現在は1名のベトナム人難民が正社員として勤務し6年目になります。勤務開始当初は日本語があまり話せない本人に代わって、当時高校生だった本人の長女が会社との間に入ってコミュニケーションをとっていたそうですが、今では日本語も上達し、真面目な仕事ぶりで大きな戦力となっています。
2社目は大阪府八尾市でプラスチック製品の製造・組立をしている株式会社阪口製作所の阪口代表取締役からお話を伺いました。現在、正社員5名、パート従業員3名のベトナム人難民が勤務しており、多くが勤続年数10年から15年です。平成13年度に難民のつどいにて難民雇用事業所として、また模範難民定住者としてもベトナム難民定住者の従業員が表彰されており、彼は現在、主任を務めています。難民の雇用開始当初は就労観の違いから多少の問題はありましたが、その都度、日本の会社の習慣を説明し、今ではきちんとそれが身に付いているとのことでした。
11月16日(水)、姫路はりま地場産業センターにおいて、難民の雇用の促進と安定を図ることを目的として雇用促進協議会を開催しました。協議会には、雇用事業主をはじめとして、兵庫県及び姫路市並びにその周辺自治体の職業安定機関、福祉行政機関、国際化推進機関から9名にご出席いただきました。
職業安定機関からは、兵庫県並びに姫路市及び周辺自治体における外国人の求人、求職に関する最近の動向や、外国人サービスコーナーにおける相談件数の推移などについて紹介いただきました。ベトナム難民の多い姫路市では、外国人サービスコーナーへの最近の相談傾向は高齢化や病気、離婚など複雑な問題が多くあるということです。
姫路市の福祉行政機関からは、ここ数年の管内における生活保護者数の変遷と最近の傾向について説明がありました。管内の全体の被保護世帯(約6,700世帯)のうちベトナム人は約40世帯で、実施上の問題点としては、日本語に習熟していない場合意思の疎通が困難であること、生活保護制度への理解を深める必要があること、届出義務の遵守を求める必要があることが挙げられるとの説明がありました。
また、姫路市の国際化推進機関からは、同市の外国人の在住状況について説明があり、ベトナム人については約2,300人が在住しており、最近は二世の出生や技能実習生、留学生の増加により、毎年100人前後増加傾向にあるという状況で、姫路市は日本人向けと外国人向けに行ったアンケート調査を基にして、本年国際化推進大綱を改定したところ、「外国人は支援される側」という位置づけではなく、少子高齢化に向けて、多様な文化を持っている「地域社会の貴重な担い手」としてお互いに協力し多文化共生の地域づくりに努め、地域の活性化を図らなければならないとの意見がありました。
雇用事業主からは、これまでの問題点や解決策、今後の課題についてお話いただきました。やはり一番の問題は日本語力で、コミュニティーにいるため日常の生活で日本語を話す機会の少ない人はモチベーションも低いのが現状で、対策としては、現在雇用しているベトナム人技術者に日本語を勉強してもらいベトナム人を指導するリーダーとして育成したり、入社後のフォローアップに力を入れたり、各社工夫を凝らしています。少子高齢化に伴い、外国人雇用は今後も必要となってくるので、如何に教育していくかが今後の課題であるとお話していただきました。また、今回はユニクロで知られるファーストリテイリング社本社よりも参加していただき、同社における難民雇用の取り組みについても紹介いただきました。
参加者の様々な立場からの報告により、今後の難民雇用促進につなぐための有益な意見交換の場となりました。