RHQ支援センター条約難民第24期生(夜間通年コース)、第25期生(後期半年コース)学習発表会(2017.3.22・2017.3.24)と合同修了式(2017.3.27)を開催

RHQ支援センター条約難民第24期生(夜間通年コース)、第25期生(後期半年コース)学習発表会(2017.3.22・2017.3.24)と合同修了式(2017.3.27)を開催

2017年3月22日(水)、第24期生(条約難民夜間通年コース)5名が、3月24日(金)、第25期生(条約難民後期半年コース)4名が、スピーチの発表や歌や詩の朗読などの形でこれまでの学習成果を披露する学習発表会を開催し、すべての定住支援プログラムを終了しました。これら2つのコースの修了生は3月27日(月)に合同修了式を迎えました。 2つのコースの学習発表会は、両日ともに関係省庁、自治体や地元町会などから多数の関係者を迎えて行われました。 日本語スピーチでは、大勢の観客が見守る中、各自で決めたテーマに沿って発表しました。センターで経験したこと、自国の文化や著名人の紹介、日本で見た美しい景色、自身のプロフィールなどについて、大きな声ではっきりとした日本語でスピーチすることができました。スピーチの都度、観客席から様々な質問が出ましたが、難しい単語を使った質問にも慌てずに、「すみません質問がわかりません」、「もっとゆっくりお願いします」、「それはどんな意味ですか」などコミュニケーションをとり、質問を理解した上で落ち着いて答えることが出来るようになりました。 続いての歌の発表では、1〜7の数え方を入所者の自国の言葉で観客に教えた後、会場全員で数え歌を合唱したり、クイズコーナーでは、入所者自身が来日直後に日本語が出来ないために遭遇したエピソードを三択クイズにしたり、日本人が使いがちな「日本語あるある」を紹介したりと、観客も一体となって楽しめる工夫が凝らされていました。 最後の谷川俊太郎の詩「生きる」の朗読では、入所者自身の「生きる」を一人ひとり披露し、「生きるそれはご飯を食べるということ」、「生きるそれは今日本にいるということ」、「生きるそれは家族と一緒に暮らすということ」など今の境遇を表した朗読が観る者の胸を打ちました。
 
合同修了式では、ご列席頂いた外務省、法務省、文化庁、厚生労働省、UNHCR、新宿区、地元町会から修了生に向けてお祝いの言葉と励ましのメッセージを賜りました。答辞では修了生一人ひとりから、「日本語が全然わからなかったが今は日本人と会話できる」、「ひらがな・カタカナの読み書きができるようになったので漢字をもっと覚えたい」、「日本で仕事をするので日本語を使って頑張りたい」など、それぞれに自信を持った言葉が述べられました。 修了生がこの定住支援プログラムで学んだことを活かして、これからの様々な生活の場面で日本人とのコミュニケーション力を発揮していってほしいと職員一同願っております。

第三国定住第7陣 定住地への移転、新生活の開始

第三国定住第7陣 定住地への移転、新生活の開始

昨年9月にマレーシアから来日した第三国定住難民第7陣のミャンマー人7世帯18名は、約6ヶ月間にわたるRHQ支援センターの所定の定住支援プログラムを終了し、東京都内の宿泊施設から千葉市に引っ越し、2017年3月17日より新しい住居での生活を開始しました。 新たな住居に移った後は、隣近所に引っ越しの挨拶をしたり、必要な家電や家具を購入したり、住まいを整えました。また、子どものために小学校や保育所の持ち物を揃え、大人は職場までの定期券を購入し、通勤の練習を行ったりと、新生活の準備に忙しい日々を過ごしました。
4月からは、大人は職場で適応訓練を開始し、小学生は地元小学校に入学、幼児も保育所に入所し、生活をスタートさせました。ミャンマー人家族からは「以前一時滞在していたマレーシアとは異なり、日本では正規の在留資格で仕事に就くことができ、子どもにも公教育を受けさせることができて、本当に嬉しい」という声が多く聞かれました。新しい生活を始めたミャンマー人家族の表情は、生き生きとした希望に満ちあふれており、新しい生活を切り開いていこうという前向きな姿勢が見てとれました。 この定住地には第三国定住第5陣、第6陣、第7陣の合計18世帯が同じ団地に居住しており、同地の安達自治会長をはじめ、地域住民の方々から温かく迎え入れられています。老人会のカラオケ交流に参加したり、夏祭りなどの大きなイベントでは、地域住民の一人として、率先して会場づくりの準備を手伝うなど、定住地に着実に馴染んでいっている様子が見受けられます。 難民事業本部は、今後も、生活相談や日本語学習支援を通じて、保育所、小学校、中学校とも連携しながら、一日も早く難民家族が自立して、地域に貢献できる人材になるよう、引き続き支援を行っていきます。

RHQ支援センター第26期生(第三国定住第7陣)の学習発表会(2017.3.7)と修了式(2017.3.10)

RHQ支援センター第26期生(第三国定住第7陣)の学習発表会(2017.3.7)と修了式(2017.3.10)

第26期生(第三国定住難民コース)は2017年3月7日(火)に学習発表会を開き、様々な関係者の前で、これまでの学習成果を発表しました。また、10日(金)には定住支援プログラムの修了式を迎え、修了生がこれまでの支援に対して謝意を表するとともに、定住地で新たな生活を始めるにあたっての抱負を述べました。 2017年3月7日(火)に開催した学習発表会では、政府、国際機関の関係者をはじめ、住民との交流機会を提供していただいた地元町会の方々を迎え、これまで受けた支援に対する恩返しの意味を込めて、日本語での歌、詩の朗読やミャンマーに伝わる昔話をオリジナルの劇にして披露し、楽しませてくれました。 この半年間の成果を発揮する姿は、4月から定住先の職場や学校でも、着実に前に進んでいける逞しさを感じさせるものでした。
2017年3月10日(金)の 修了式では、冒頭の挨拶で当財団藤原理事長から、「一時滞在先のマレーシアでは正式な滞在資格が無く、就労や教育の面で大変厳しい生活を強いられてきたと聞いている。皆さんが一日も早く日本社会に馴染み、将来『日本に来て良かった』と思っていただけるよう、引き続き支援を続けていきたい。」と励ましのメッセージが伝えられました。 修了証書の授与の後には、修了生が日本で実現したい夢やそれに向かっての努力目標などを日本語でスピーチしました。それぞれの夢、目標は様々ですが、共通していたのは、平和な日本で新しい人生をスタートする機会を得られたことに対する感謝の気持ちと、子どもの将来のためによい教育を受けさせてあげたいという強い願いでした。
第26期修了生は3月中に定住地に転居し、4月から、大人は就労を開始、子どもは小学校、保育所にそれぞれ通い、新たな生活を開始します。

スタディツアー2017「教育支援を通して難民問題を考える」を開催しました(2017.03.07,08)

スタディツアー2017「教育支援を通して難民問題を考える」を開催しました(2017.03.07,08)

2017年3月7日(火)・8日(水)の2日間でスタディツアーを開催しました。 今回のスタディツアーは、日本語教育や高等教育を含めた「教育支援」を切り口に、日本に暮らす条約難民や第三国定住難民、そして世界の難民への支援に関わる機関や団体のご協力のもと、25名の社会人・学生にご参加頂き、実施しました。
日にち 訪問・講演団体
1日目(3月7日) 難民事業本部 RHQ支援センター 難民事業本部 本部事務所 国連児童基金(UNICEF)東京事務所 公益社団法人シャンティ国際ボランティア会
2日目(3月8日) 国際移住機関(IOM)駐日事務所 難民事業本部 日本語教育監督者 社会福祉法人さぽうと21 難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所
1日目の初めに、難民事業本部RHQ支援センターにて、第三国定住難民の学習発表会を見学しました。学習発表会は、昨年9月にマレーシアより来日したミャンマー難民の方々が、半年間の定住支援プログラムで学んだ日本語学習の成果を発表する場です。大人はスピーチを、子どもは紙芝居を披露し、最後には谷川俊太郎の「歩くうた」を、ジェスチャーを交えながら全員で朗読しました。次に、難民事業本部の本部事務所(東京・広尾)に移動し、日本における難民受入れの歴史や支援の歩み、現在の定住支援事業について説明しました。
その後、同じく本部事務所にて、国連児童基金(UNICEF)東京事務所の根本副代表をお招きし、「UNICEFと難民支援」についてお話し頂きました。レバノンに避難しているシリア難民の子どもに対する教育支援について、参加者は「難民はもちろん児童労働など多岐にわたる良い学びとなった。」「保護としての教育プログラムに関心を持った。」とコメントしています。
1日目の最後に、シャンティ国際ボランティア会(東京・千駄ヶ谷)を訪問し、鈴木広報課長より、タイのミャンマー難民キャンプの支援現場について伺いました。プレゼンテーションでは、竹林に囲まれたキャンプや、図書館に通う子どもの姿など、多くの写真を拝見しました。参加者は「キャンプの実情を知り、衝撃を受けた。」「若者への労働機会やライフプランの立てにくさなど、大きな課題として認識した。」など、キャンプの暮らしを具体的にイメージできたようです。 2日目は、本部事務所に国際移住機関(IOM)駐日事務所の清谷プログラムマネージャーをお招きし、「国際移住機関(IOM)の役割と難民の第三国定住」についてお話し頂きました。第三国定住難民がマレーシア出国前に受講する文化研修や健康診断について詳しくご説明いただき、また、第三国定住でアジアから北米に向かう難民の飛行機乗り継ぎ等でも日本の協力があることを聞き、参加者から多くの質問が寄せられました。 その後、同じく本部事務所にて、難民事業本部の日本語教育監督者より、定住支援プログラムにおける日本語教育について説明しました。プログラムスケジュールやカリキュラム、日本語習得における条約難民と第三国定住難民の特徴について聞いた参加者からは、「長年の深い経験に基づいた授業だと分かった。」という感想が寄せられました。 次に、さぽうと21(東京・品川)に移動し、学習支援室コーディネーターの矢崎様より、「学習支援室」についてお伺いしました。毎週土曜日に開かれるこの教室は、日本語や学校の勉強などを、ボランティアと学習者(難民等)が1対1で共に学んでいます。ここに通うミャンマー出身の女子高生も登場し、お話を聞かせてくれました。彼女は12歳で来日して以来、6年間この「学習支援室」で学び、この春4年制大学の看護学部に進学します。「将来は医療の現場でミャンマーと日本の懸け橋になりたい。」と夢を語る彼女に、参加者からは「矢崎さんとさぽうと21による厚いサポートを感じた。」という声が聞かれました。
最後に、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所(東京・表参道)を訪問し、難民保護に関する各国の取り組みや日本での活動についてお伺いしました。難民等を対象にした大学奨学金事業「難民高等教育プログラム」へは高い関心が寄せられ、参加者から「提携校を増やせないか」「学生でもできることはないか」など意見や質問が上がりました。
2日間を通して、スタディツアー参加者からは、「条約難民、第三国定住難民、インドシナ難民の受け入れ、現状、課題について理解が深まりました。」「非常に学びの多い素晴らしいツアーだったと思います。」「日本語教育でボランティア活動をしたい。」といったコメントを頂きました。この場を借りて、講義・訪問をお受けいただいた団体・組織の皆様に御礼申し上げます。難民事業本部は今後も、支援の輪が広がっていくよう、日本の難民受入れについて広報活動に努めて参ります。

第三国定住難民の高校進学

第三国定住難民の高校進学

日本に暮らす第三国定住難民のうち中学3年生の3名が今春、定住先の中学校を卒業し、全員が高校に進学しました。 2011年秋に来日した女子中学生は、模擬テストでは志望校の合格に安心できる成績ではなく、学校関係者や家族はとても心配しましたが、本人は一貫して全日制高校への志望を変更することなく入学試験に臨みました。中学3年生になってからの1年間は大学生ボランティアの方々から自宅近くの公民館などで継続して学習の支援を受けました。気分転換に大学のキャンパスを案内してもらったこともあったそうです。合格の連絡を受けた母親は「大学生が教えに来てくれたおかげで安心して受験を乗り越えられました」と感謝の言葉を述べていました。 2014年秋に来日した男子夜間中学生は受験の教科には十分自信がなかったため、中学校で頑張ったことを自分の言葉で表現できるように作文と面接の練習を何度も繰り返して入学試験に臨みました。担任の先生からはこれらの学習支援等に加え、他の一般の中学生と違い学生服を持っていない本人のために面接用の上着を用意してくれるなど真心の励ましもいただきました。本人は「同じ第三国定住難民として来日し今春夜間高校を卒業した先輩が高校受験の相談にのってくれ、お兄さんみたいに応援してくれた。卒業式にも駆けつけてくれた」とうれしそうな表情でした。担任の先生は、本人の合格を祝福するとともに、先輩難民がお手本となって後輩の面倒を見ている姿に、同胞コミュニティの温かさと強い絆を感じたと話されていました。 第三国定住難民の親の世代の多くは、子どもに十分な教育を受けさせたいとの希望を持って来日しましたが、学校関係者をはじめ大学生ボランティアや先輩難民などの温かな支援と励ましのおかげで、その目的が少しずつ実現しているようです。