平成29年文化庁日本語教育大会に参加しました(2017.8.26,27)

平成29年文化庁日本語教育大会に参加しました(2017.8.26,27)

 平成29年度の文化庁日本語教育大会は「これからの日本語教育の人材像について考える」をテーマとして、2017年8月26日-27日に東京で開催されました。大会2日目に、難民事業本部から日本語教育監督者と日本語教育相談員がそれぞれ報告を行いました。

 午前中の、「日本語教育人材のキャリアパス〜現場で活躍する先輩に直接聞いてみよう〜」では日本語教育相談員が、難民を対象とする日本語教育相談員となるまでの道のりについて話し、業務内容、必要とされる資質や専門分野を超えた連携、協働の大切さ等について説明しました。参加者からは子供に対する教育支援、母語保持についてなど、難民の日本での定住生活に関連した質問が出ました。

 午後の第三分科会では、「ライフステージに応じた日本語学習を支援するには〜成人の学びの在り方を考える」というテーマで、難民事業本部を含む3団体が報告を行いました。日本語教育監督者が、難民となったことで断絶してしまったライフステージをつなぎ、日本で新しいライフステージを紡ぐことを目標とし、エンパワーメント、地域住民として生活できる人間関係構築力の育成、自律学習の能力養成を3本柱とする、RHQ支援センターの日本語教育について説明しました。授業形態、プログラム修了後の継続学習等について、質疑応答が行われました。

 様々な分野の関係者と協働していく必要のある生活者のための日本語教育の在り方、必要とされる日本語教育者の専門性について考えさせられた大会でした。

 なお、同大会は10月に大阪でも開催され、難民事業本部も報告を行う予定です。


 

「第14回多文化共生のための国際理解教育・開発教育セミナー」を開催しました(2017.8.7,8)

「第14回多文化共生のための国際理解教育・開発教育セミナー」を開催しました(2017.8.7,8)

 毎年夏に開催している「多文化共生のための国際理解教育・開発教育セミナー」を、今年も8月7日(月)、8日(火)の2日間、JICA関西にて開催し、2日間で延べ162名の方々にご参加いただきました。

 このセミナーは、平和、貧困、開発、人権、環境、難民などの地球的課題について学校の授業で取り上げてもらうために、教員を主な対象として、教育委員会(兵庫県、神戸市)と、国際協力団体であるJICA関西、(公財)神戸YMCA、(公財)PHD協会、難民事業本部の6団体が2004年から毎年共催しているものです。

 基調講演では、同志社女子大学現代社会学部現代子ども学科の藤原孝章教授より、学校や社会教育の現場などで取り組まれてきた国際理解教育や開発教育といった教育活動における教育内容、目標について、また、新学習指導要領で強調されている「主体的、対話的で深い学び」との関係について、講演とワークショップを行っていただきました。

 また、9つの分科会では、現職の教員、NGO職員、協力隊OV、専門家らがファシリテーターを務め、授業のヒントとなるように参加型学習の実践を紹介しました。

 難民事業本部は、「あなたは難民になりますか」と題した分科会を担当し、もし自分が難民になったら何を持って逃げるのか、どんな状況に置かれたら「逃げない」「近くの安全な場所に逃げる」「遠くの豊かな国に逃げる」を選択するのか、様々な本国状況、家族構成、近隣状況を踏まえてグループ内で話し合い発表していただきました。プッシュ要因、プル要因との関係性や世界の難民状況を解説し、参加者からは「普段あまり深く考えてないと自分を反省。できることを考えたい」、「ワークショップで、難民になる人たちへの理解の甘さを痛感した」、「メディアからしか情報を得ていなかったが、自分が難民になったときのことを初めて考えた」、「教員の方と話すことができ、どうやったらもっと国際協力を広げることができるのか参考になった」等の感想をいただきました。

 教員や学生を含め22名の方々にご参加いただき、難民問題について関心を持っていただくよい機会となりました。

 難民事業本部では、これからも教育現場で難民について考えていただけるよう、教員の皆様と連携してまいります。