第三国定住難民の高校生と中学生が地域間交流会を行いました(2017.12.23)

第三国定住難民の高校生と中学生が地域間交流会を行いました(2017.12.23)

2017年12月23日(土)に第三国定住難民で高校受験を控えた中学生が、他の定住地で高校に進学した先輩難民と交流を行いました。第三国定住難民の中学生2名は、地域の日本語教室の指導者とともに先輩難民を訪問し、日本語教育相談員が同席の下で、公民館で2時間ほど交流しました。高校生と中学生は初対面で互いに緊張した面持ちでしたが、話をするにつれて打ち解けることができました。 高校生は来日してからの学校生活や日本語学習、受験の経験や現在の高校生活などを積極的に発表しました。中学生も自分から知りたいことを質問し、先輩の学習方法をすぐに取り入れたいと話す場面もありました。 年齢が近く、同じ第三国定住難民として来日した背景を持つ者同士、RHQ支援センターでの日本語クラスや学校体験のことなど、それぞれの体験を親しみをもって共有しました。 発表者の高校生からは、また交流したいというコメントがあり、中学生も先輩から直接経験談やアドバイスを聞いたことで、学習の励みになったようです。今後も定住先でこのような交流機会を設けられるようにしたいと思います。

「難民への日本語教育を俯瞰する〜多文化共生社会日本への「理解を深める講座」〜」で報告を行いました(2017.12.17)

「難民への日本語教育を俯瞰する〜多文化共生社会日本への「理解を深める講座」〜」で報告を行いました(2017.12.17)

12月17日(日)、社会福祉法人さぽうと21にて上記の講座が行われ、難民に対する日本語教育を実施している団体の実践報告として、難民事業本部の日本語教育監督者がRHQ支援センターにおける「公的支援としての日本語教育」について報告を行いました。 この他、難民の日本語教育を担っている各団体からは「生活力向上を目指した日本語教育」「就労支援の一環としての日本語教育」「個人として関わる就労・生活のための日本語教育」「居場所としての日本語教育」「難民当事者が主催する日本語教育」「ムスリム系難民に対する日本語教育」についての大変興味深い実践報告がありました。 難民にとって日本語の習得は、地域住民として生活するため、学校教育を受けるため、仕事をするために不可欠なものです。現在、難民を支援する諸団体がそれぞれの立場で難民向けの日本語教育実践を行っていますが、互いの実践内容と工夫やそれにまつわる苦労について共有し、共通の問題点について話し合う機会は多くはありません。現在行われている難民に対する日本語教育を俯瞰し、発表者だけでなく出席者も含めて「難民に対する日本語教育のこれから」について忌憚なく意見を交換し、学び合えたことは大変意義があったと思います。
上記講座の様子はさぽうと21のホームページにも記事が掲載されています。 http://support21.or.jp/

第28期生(第三国定住第8陣)小学校見学(2017.12.11)

第28期生(第三国定住第8陣)小学校見学(2017.12.11)

2017年12月11日(月)、第28期生(第三国定住第8陣)大人クラスと子どもクラスが合同で近隣の小学校を見学しました。 事前に日本の学校制度について学習し、日本の義務教育は公立の場合、同じ指導要領に基づいているので、基本的には日本中どこでも教育内容に違いはなく、首都であっても地方であっても同レベルの教育を受けられることを学びました。また、事例として日本のノーベル賞受賞者が地域の公立の小学校、中学校、県立高校、国立大学を経て研究者となった話を紹介すると、入所者からは、「ミャンマーでは良い学校は首都に集中しているので、限られた人にしかチャンスがない」、「日本の教育制度がうらやましい」などの感想が聞かれました。 小学校では副校長の案内で、学校の設備や授業の進め方、児童の学習への取り組みなどの学校生活を見学しました。設備が充実している音楽室、家庭科室、工作室、図書室や、小学生同士が討論形式で意見を出し合う教室の様子を見て、「日本では先生が児童一人ひとりの考えを尊重している」、「設備も本当に充実している」と感心しながら見学をしていました。見学後にはあたたかい給食を試食し、日本の学校給食を初めて食べた入所者は「話には聞いていたが給食がこんなにおいしいとは思わなかった。野菜もたくさん入っていて、バランスの取れた食事をきちんと取ることで、学習にも集中できそう」と語っていました。 今回の見学で、大人も子どもも日本の小学校の様子を学ぶことができ、1月から4週間の小学校体験を予定している子どもクラスの3名の児童は、「学校の勉強は少し心配だけれど、早く小学校に通って友達を作りたい」と期待に胸をふくらませていました。

セミナー「わたしたちの難民問題2017/Vol.18」を開催しました(2017.10.25,11.7,13,29,12.6)

セミナー「わたしたちの難民問題2017/Vol.18」を開催しました(2017.10.25,11.7,13,29,12.6)

難民事業本部では神戸YMCA、兵庫県国際交流協会、日本国際連合協会兵庫県本部と共催で、国内や海外の難民問題を広くみなさんに知っていただくためのセミナー「わたしたちの難民問題2017/Vol.18」を開催しました。 第1回は、フォトジャーナリストの宇田有三さんをお招きし「ミャンマー難民は今」をテーマにお話しいただきました。ミャンマーの民主化以降、国内の政治、経済、暮らし等がどのように変化し、どこが変わっていないのか、また、周辺国に避難している難民を取りまく環境や帰還の動きなど、現状と展望についてお話し頂きました。参加者からは「体系的にミャンマーの民族問題について学べた」「意識を変える、背景と事実を知ることの大切さがよくわかった」「ミャンマー難民のことについてインターネットなどで学ぶより分かりやすく知ることができて良かった」といった感想をいただきました。 第2回は、ワールド・ビジョン・ジャパン緊急人道支援課の大井光一さんに「南スーダン難民への支援活動」についてお話しいただきました。半世紀にわたる内戦が終結し独立を果たしたものの、紛争の拡大により2016年より難民が急増した南スーダン。受け入れ国である隣国エチオピアで初等・中等教育の支援活動を通じて、将来の国の再建を担う人材育成、他民族との平和共存を目指すNGOスタッフより、キャンプでの難民の現状と、支援活動について紹介いただきました。「難民キャンプのことについて聞くことが少なかったので、とても勉強になった」「難民と聞いてマイナスなイメージが強かったけれど、大変な中でも前向きに夢を持っている子どもたちが多くいて印象が変わった」といった声が聞かれました。 第3回は、専修大学兼任講師の久保山亮さんをお招きし「ドイツの難民受け入れ」についてお話いただきました。当日は定員を大きく上回る参加者が集まりました。ドイツは2014年ごろから多くの難民を受け入れており、政府の難民受入れ制度や、市民社会や自治体による難民への定住支援等の情報を聞くことができました。参加者から、「メディアで報じられていない事実を考えることができて良かった」、「情報満載でとても良かった」といった反応がみられました。 第4回は、ベトナム難民として来日し、現在、神戸定住外国人支援センター介護福祉士として活躍されているハ ティ タン ガさんに、母国を逃れた経緯、日本に来てからの言葉の壁、こどもの教育、習慣の違いや阪神淡路大震災をきっかけにNGOスタッフとして取り組んでこられた同胞の支援活動、現在の仕事等についてお話いただきました。ハ ティ タン ガさんのお話から、日本社会が難民の人たちとどのように共に暮らしていけばよいのかを考えさせられました。参加者も「当事者の話しはあまり聞けることがなく、報道で見るよりも、その状況がずっとリアルに伝わってくる」、「現在の支援活動を聞くことができ、良かった」といった声が聞かれました。 第5回は、RAFIQ 在日難民との共生ネットワーク共同代表の田中恵子さんに「難民認定申請者への支援活動」についてお話いただきました。難民認定の手続きから、審査期間中の住まいや仕事などの生活全般に至るまでを支援するNGOの代表から、難民認定制度の概要と申請者への支援活動、その課題について聞くことができました。参加者からも「支援活動の中での具体的な難民の実現を報告いただき、有意義だった。海外との比較はとても興味深かった」、「難民に対して知識が少ない方へも分かりやすく、入り口から話してくださって良かった。問題意識を深めることができた」等の感想をいただきました。 難民事業本部では、今後も難民問題を身近に感じていただくため、有意義なイベントを企画してまいります。