内部研修「補完的保護の比較と難民受け入れと国益」を開催しました

内部研修「補完的保護の比較と難民受け入れと国益」を開催しました

2022年11月22日(火)、当難民事業本部は、内部研修の一環で、橋本直子一橋大学准教授を講師に招き、本部事務所、関西支部、RHQ支援センターの幹部職員を対象に、世界の難民受け入れの現状について、難民の補完的保護、一時的保護の比較を講義いただくとともに、意見交換では、難民受け入れを行った地域、住民が難民と接する過程で直接的、間接的に享受するものの存在について、受入制度の研究者と定住支援の実務者の立場から忌憚のない意見交換を行いました。

現在、日本に滞在するウクライナ避難民、アフガニスタン難民、シリア難民、ミャンマー難民等に対する日本の保護制度の在り方に関して、世界の補完的保護と一時的保護の実情と日本の難民認定制度との比較から、日本の実情に合った難民受入施策と受入後の定住支援の必要性にも言及した講義は、政府の委託を受け、定住支援に携わる当組織の職員として、世界の難民支援における日本が担う役割と当組織の定住支援業務の重要度を再認識する良い機会となりました。

意見交換では、国際的な人道支援としての難民の受け入れが、日本の国益にどのような形で好影響を及ぼしているか、1979年に開始した難民の定住支援の実務を担う当組織職員のミクロ的な視点と世界の難民情勢をマクロ的に捉える橋本講師の研究者としての意見を交換することで、日本社会に有益な難民支援政策の理想的な姿のイメージについても語り合う有意義な研修となりました。

日本の難民受入施策は、その時々の世界の難民情勢に合わせて変化して来ています。1975年のベトナムからのボート・ピープルの発生に端を発した日本の難民保護と1979年から開始した定住受入れは、その後日本が難民条約への加入、難民認定制度の発足、個別の難民認定の開始のきっかけとなりました。

その後、日本は2010年から、海外に一時滞在する難民を受け入れる第三国定住制度を開始し、今年で12年目を迎えています。

2011年のシリア内戦以降10年に渡り、日本に避難したシリア人や2021年にアフガニスタンからイスラム主義勢力タリバンによる政権掌握から逃れ日本に避難したアフガニスタン人は多数にのぼります。また、今年2022年には、ロシアによるウクライナ侵攻により、隣国に避難したウクライナ人を受け入れることを日本政府は決定し、2千人以上のウクライナ避難民が日本に滞在しています。

こうした難民や避難民が日本に受け入れられている現状が、今後の難民施策の行方にも影響を与えると考えられ、当組織としても、難民の定住支援業務、避難民の受入業務を政府の難民施策の動向に応じて円滑に実施していけるよう、引き続き、幅広い視野を涵養しながら事業を進めていきます。

オンライン難民理解講座を共立女子大学生対象に行いました

オンライン難民理解講座を共立女子大学生対象に行いました

2022年11月10日(木)、共立女子大学国際学部2年〜4年生約60名を対象にオンラインで難民理解講座を実施しました。

日本の難民受入れと定住支援をテーマに、インドシナ難民から始まる日本の難民受入れの経緯や難民条約加入後に開始された難民認定による条約難民に対する支援、アジア地域に一時滞在する難民を受け入れる第三国定住制度による受入れ等について、制度の違いや支援内容について講義しました。

例えば、第三国定住制度については、難民の方が自立した生活を送るために必要な日本語教育や日本の社会制度を学ぶ生活ガイダンスを約6か月間実施し、定住先となる地域で必要となる仕事の斡旋と住居の確保も行うことや、定住地で生活を開始してからも、必要に応じて生活相談や日本語学習を継続して受けられるように支援することで、難民の方達が早く日本の社会に馴染めるようにしていることなど、難民を受け入れることが、難民本人と難民を受け入れる地域の双方にとって有益であることを目指した支援であることを説明しました。

今回の講座を聴講したことで、学生にとって、難民が地域社会で目的を持って力強く生活している実態を知り、日本が難民受け入れを通じて行う人道支援の意義や、難民の一人ひとりが地域や職場、学校などで周りの人達に与える波及効果の有益性とは何かを考える一助となってもらえれば幸いです。

難民事業本部は、難民理解講座やイベントなどを通じて、日本が行っている難民の受け入れと日本社会への定住を支援する事業の広報を行っています。

難民理解講座の資料はこちら↓ 画像をクリックしてください。

セミナー「わたしたちの難民問題2022.vol.23」を開催します

セミナー「わたしたちの難民問題2022.vol.23」を開催します

難民事業本部では神戸YMCA、兵庫県国際交流協会、日本国際連合協会兵庫県本部との共催で、難民問題を広くみなさんに知っていただくため、下記のとおりセミナー「わたしたちの難民問題2022.vol.23」を開催いたします。

日本にも様々な国から難民が庇護を求めてきています。難民の現状を知り、私たちにできることは何か、一緒に考えてみませんか。

・11月16日(水)『レバノンにおけるシリア難民教育支援について』
  講師:佐藤秀美さん(セーブ・ザ・チルドレン海外事業部)

・11月30日(水)『難民として日本とオーストリアに暮らして』
  講師:グエン・クォク・トゥアンさん(難民事業本部元通訳)

・12月7日(水)『ウガンダにおける難民支援』
  講師:古林安希子さん(UNHCRウガンダ ユンベ事務所)

・12月14日(水)『ウクライナ避難民支援について』
  講師:島田三津起(兵庫県国際交流協会)
     鈴木功(アジア福祉教育財団難民事業本部)
     ウクライナ避難者支援担当者(日本YMCA同盟)

*講師、内容は予告なく変更する場合があります

時間  :19:00~20:30
場所  :オンライン(ZOOM)開催
定員  :各回40名(要事前申込/先着) 
参加費 :無料

申込方法:WEBにて受付(QRコードまたはURLよりWEBフォームへお進みください。)
詳しくは<チラシ>(←クリック)をご覧ください。

たくさんの方のご参加をお待ちしております。