イタリア
イタリアの条約難民、庇護申請者への支援状況 (2004年2月28日〜3月11日現地調査)
ベドロ・アルーベ庇護(難民認定)申請者受入施設
ベドロ・アルーベ庇護(難民認定)申請者受入施設
難民事業本部では、スペイン、ポルトガル、イタリアにおける条約難民、庇護申請者(以下「申請者」)への支援状況を把握するため、2004年2月28日から3月11日まで現地調査を実施しました。 本稿では、イタリアにおける条約難民、申請者への支援について紹介します。 1.庇護(難民認定)手続 (1)概要 庇護を希望する外国人は、地方警察において庇護(難民認定)申請を行います。地方警察による審査は、イタリアにおいて審査するか否かを決定する形式的なもの(形式審査)です。申請が受理されると3ヵ月有効の一時滞在許可が与えられ、申請者は、すべての審査が終わるまでイタリアに滞在することができます。 形式審査を通過した庇護(難民認定)申請は、長官、首相府、内務省、外務省、警察から構成される省庁間委員会である「難民の地位に関する中央委員会(CCRRS)」による、難民条約上の難民か否かの審査(実質審査)へ移行します。CCRRSには、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のイタリア代表も諮問委員として参加しています。CCRRSは、申請者が提出した情報・証拠、聴聞の結果などを総合的に勘案した上で決定を行います。 CCRRSの不認定判断に不服があれば、民事裁判所に異議の申し立てを行うことができ、その後、控訴裁判所、最高控訴裁判所まで争うことができます。 (2)庇護(難民認定)申請処理状況 2003年の庇護(難民認定)申請件数は17,193件で、1,270件が難民認定され、673件が人道的配慮による保護を受けています。難民認定率は2002年が4.9%だったの対し、2003年は7.3%と増加しています。 1990年代は東欧諸国からの申請者が主でしたが、近年ではイラク・トルコのクルド人、北アフリカ、アフリカ諸国(コンゴ民主共和国、シエラレオネ、エリトリア、リベリア)からの申請者の増加が見られる一方、東欧諸国からの申請者は減少しています。 2.条約難民及び申請者に対する支援 (1)条約難民支援 条約難民は、イタリア国民と同様の社会保障上の権利を持っており、また、限定的ではありますが、以下のような特別な定住支援措置も講じられています。 (イ)職業訓練 労働福祉社会省が条約難民を対象として職業訓練を実施しています。また、条約難民に限定したものではありませんが、州単位で職業訓練が実施されています。 (ロ)語学教育 条約難民に限定したものではありませんが、外国人を対象にした無料の語学教室が開講されています。 (ハ)生活費の支給 難民認定後90日間、1人1日17.5ユーロ(約2,275円)の食費が支給されます。 (ニ)医療 特殊な病気の治療費として年2,500ユーロ(約32万5千円)が支給されます。 (ホ) 職業 起業を希望する条約難民に対し、起業資金として7,500ユーロ(約97万5千円)が支給されます。同資金提供は2回まで認められています。 (へ) その他 書籍購入費として2,500ユーロ(約32万5千円)が支給されます。 (2)庇護(難民認定)申請者支援 イタリアにおける申請者支援は、コムネ及びNGOが中心となり行っています。 (イ)住居  申請者受入施設には、政府直営の受入施設が3ヵ所、政府が外部機関に委託し運営している受入施設が5ヵ所あり、受入可能人数の総数は2,142人です。 申請者は、申請時から施設に滞在することができます。申請が受理された場合は引き続き滞在が認められ、審査結果が出るまで滞在することができます。ただし、入所は義務付けられておらず、申請者自身で住居を探すこともできます。 (ロ)生活費の支給 申請者には1人1日17.5ユーロ(約2,275円)が支給されます。支給は最大45日間です。 (ハ)就労 濫用者が増加するとの理由から申請者には就労許可は付与されていません。 (ニ)医療 申請者は、イタリア国民と同等の医療サービスを受けることができます。イタリアはホームドクター制をとっており、無料でホームドクターによる診療を受けることができます。医療支援を行っているNGOもあります。 (ホ)就学  子どもの申請者は、9年間の義務教育期間、一般の学校への就学が認められています。 (へ)語学教育 受入施設に入所した申請者は無料でイタリア語コースを受講することができます。また、NGOも無料でイタリア語教室を開講しています。 (3)政府とNGOとの役割分担 政府とNGOとの明確な役割分担はなされていませんが、基本的に支援の中心はコムネ(地方自治体)とNGOで、政府はコムネに申請者支援の予算措置をし、NGOのプロジェクトはコムネからの委託契約などによるものです。
PAGE TOP