オランダ
オランダの難民受け入れと支援状況 (2006年2月19日〜26日の現地調査) 難民事業本部は、オランダにおける第三国定住プログラムによって受け入れられた難民及び庇護申請者等に対する支援状況を把握する現地調査を実施しました。 1.オランダの難民受け入れの実態 オランダにおける難民の受け入れはベトナム難民などを受け入れた1970年代から本格化しました。現在は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の第三国定住プログラムに基づく受け入れ(クオータ制)および庇護申請手続に基づく受け入れによって難民を受け入れています。クオータ制による受け入れ人数は、2000年以降毎年約150人から約320人の間で推移しています。一方、庇護申請手続に基づく受け入れは、庇護申請者が急増していたところ、2000年に外国人法(The Aliens Act)が改正されてからは、申請者数及び難民認定者数は減少しています。しかし、それでも毎年約800人から約1,000人を受け入れています。 オランダに受け入れられた難民は、地方自治体により住居、語学教育などの定住のための支援を受けますが、もっとも特徴的なことは、オランダ語習得を重視する定住政策がとられていることです。これは、難民ばかりでなくすべての外国人が対象となっており、オランダ語を習得してオランダの社会・職場・教育の場に参加すること、就職して自立できること、さらにキャリアアップを図ることを目的としています。 2.難民受け入れ制度 (1)UNHCRの第三国定住プログラムに基づく受け入れ(クオータ制) オランダのクオータ制による受け入れ枠は毎年約500人です。受け入れ地域と人数は、(イ)再定住のニーズ、(ロ)国の状況、(ハ)難民数、(ニ)オランダ社会への適合性などを勘案した上で決定されます。政府は、年に4回、選定のための調査団を派遣して、受け入れる難民を決定しています。2006年は、ケニアに滞在するアフリカ諸国の難民100人、タイに滞在するミャンマー(カレン族)難民100人などを受け入れる予定です。 (2)庇護申請手続に基づく受け入れ オランダで庇護を求める人は、申請センター(Application Center)で申請および登録を行います。一次審査は、移民帰化局によって行われます。移民帰化局の担当官は、まず、申請者の氏名、年齢、国籍、オランダへの入国ルートなどを確認し、オランダで追加調査および審査を行うか否かを決定します。そして、これらの決定を48時間以内(実際は4日から6日)に下すこととなっています(48時間手続き)。48時間手続きの結果、追加調査および審査を行わない決定が下された場合、申請者は帰国するか裁判所に異議の申立てを行うかを選択できます。追加調査および審査を行う決定が下された場合は、引き続き移民帰化局が調査および審査を行い、庇護の付与(難民認定または人道的配慮による受け入れ)の有無を決定します。移民帰化局の審査の結果、庇護が付与されなかった場合、申請者は裁判所に異議の申し立てを行うことができます。 3.庇護申請者に対する支援
コンピュータでオランダ語を学習する庇護申請者
庇護申請者が入所するレセプションセンターは、「定着」を目的とした施設と「帰還」を目的とした施設の2つのタイプがあります。申請者はまず「定着」を目的とした施設に入所しますが、審査の結果、オランダにおける庇護が付与されない可能性が高い人は「帰還」を目的とした施設に移送されます。「定着」を目的とした施設では、入所者に対して、オランダ社会について学ぶワークショップや、言語教育、就職準備の支援などのプログラムが提供されますが、「帰還」を目的とした施設では、「定着」を目的とした施設で行われるようなプログラムは一切提供されず、帰還支援のみが行われます。レセプションセンターへの入所は義務ではありませんが、実際のところ、申請者はレセプションセンターに入所しなければ、オランダで生活していけない状況のようです。
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