スペイン
スペインの条約難民、庇護申請者への支援状況 (2004年2月28日〜3月11日の現地調査) 難民事業本部では、スペイン、ポルトガル、イタリアにおける条約難民、庇護(難民認定)申請者(以下「申請者」)の支援状況を把握するため、2004年2月28日から3月11日まで現地調査を実施しました。 本稿では、スペインにおける条約難民、申請者の受入施設について紹介します。

1.庇護(難民認定)手続

(1)概要
Centro de a Refugiados de Vallecas
Centro de a Refugiados de Vallecas
庇護を希望する外国人は、国境警察などで申請を行います。国境警察などによる審査は、スペインにおいて審査するか否かを決定する形式的なもの(形式審査)です。 形式審査を通過した場合、審査は内務省の管轄下にある行政機関「庇護・難民事務所(OAR)」による、難民条約上の難民か否かを審査するもの(実質審査)へ移行します。OARの審査結果は、内務省、外務省、司法省、労働社会省の代表から構成される「庇護・難民に関する省庁間委員会(CIAR)」に送付されます。CIARは、申請者が提出した情報・証拠、OARの報告書、UNHCR、難民支援NGOの意見を総合的に検討した上で、審査決定に関する勧告をまとめて内務省に提出し、最終決定は内務大臣が行います。申請者は、内務大臣の不認定判断に不服があれば、「裁判所」に異議を申し立てることができ、最終的には最高裁判所まで争うことができます。 (2)庇護(難民認定)申請処理状況  1999年から2001年にかけての申請者数は、8,000人から9,500人の間で推移していましたが、2002年の申請者数は6,309人へと減少しました。申請の60%から70%が形式審査で申請不受理または不認定となり、実質審査に移行する者は全申請者の4%に至りません。現在、スペインでは、アフリカ、特に北アフリカからの申請者の増加が見られる傾向がみられています。

2.条約難民及び申請者に対する支援全般

(1)条約難民支援  条約難民は、庇護法第2条第2項により、スペイン国民と同様の社会保障上の権利を持っていますが、条約難民に対する特別な定住支援措置は講じられていません。 調査団が訪問したNGOによれば、条約難民は、公団住宅などの家賃の安い住居の数が限られているため見つけることが困難であるとのことです。スペイン難民援助委員会(CEAR)等のNGOが住居支援として、家賃の補助金を支給する場合や賃貸契約を行う際の保証人となる場合もあります。 (2)申請者支援 (イ)住居 申請者受入施設としては、労働社会問題省の一機関である社会福祉移民・社会サービス機関(IMSERSO)、CEAR、スペイン赤十字社が所有する大規模受入施設、スペインカトリック移住委員会(ASSEM)が所有するアパート・ミニレジデンス形式の小規模受入施設があります。 大規模施設、小規模施設とも、施設における最低限の支援内容については法律で規定されています。施設の振り分けは、OARが施設の空き状況に応じて決定します。 申請者は入所を義務付けられていないため、申請者自身で住居を探すことも可能です。その他、市が運営する困窮者支援施設では食事と宿泊施設を提供しています。 (ロ)生活費の支給 受入施設に入所している成人単身者には毎月の生活費45ユーロが支給されます。また、入所者1人1人に対して、入所時に衣料費として120ユーロ、毎月の交通費として30ユーロ(現金または1ヵ月有効の定期)が支給されます。 ※2004年3月現在1ユーロは約128円 (ハ)就労 庇護(難民認定)申請後6ヵ月が経過した者に関しては、法律上、労働許可申請が可能です。調査団が訪問したNGOによれば、申請者の99%が就業でき、サービス業に従事しているとのことです。 (ニ)医療 申請者は、スペイン国民と同等の医療サービスを受けることができ、社会保険の対象ともなります。 (ホ)就学  スペインでは国籍、法的地位に関わらず、3歳から16歳のすべての子どもが学校に通う義務があるため、申請者であってもスペインの一般の学校に就学します。 (ヘ)語学教育 受入施設に入所している申請者は無料でスペイン語コースを受講することができます。調査団が訪問したNGOによれば、受入施設における授業は初級レベルのもので、高度なスペイン語習得に関しては国立の語学学校で授業を受講できるということでした。 (3)政府とNGOとの役割分担  政府とNGOの役割分担は明確にはなされていませんが、NGOのスペイン赤十字社、CEAR、ASSEMは、政府機関のIMSERSOと事業実施パートナー契約を結び、申請者支援を行っています。支援プログラム・予算は、年1回の政府と3団体との協議の上決定されます。その他のNGOは、プロジェクトごとに政府に申請を行い、プロジェクトが認可された場合、政府からの資金提供を受けることができます。
PAGE TOP