タイ
ミャンマー・カレン族難民の状況について (2001年3月19日〜24日の現地調査)
キャンプ内の医療施設にて医師(写真右)より診断を受けるカレン族難民 タイ北西部のミャンマーとの国境沿いには、ミャンマーから逃れてきた難民のキャンプが11カ所あり、10万人以上の難民が避難生活を余儀なくされています。本年3月、難民事業本部は現地に調査団を派遣し、カレン族が主に居住する難民キャンプの現状を調査しました。
1. 難民発生の背景と現状 ミャンマーは、100以上の民族からなる多民族国家ですが、カレン族などの一部の少数民族は、現軍事政権の打倒と各民族の平等な権利の実現をめざし武装闘争を継続しています。これらの少数民族の居住する地域では、軍事政権による強制労働、強制移住などが行われている模様で、現在もタイとの国境付近には多数の人々が避難生活を送っており、今後もタイへの難民の流入は続くと思われます。 タイ政府の方針により、難民キャンプはタイ内務省と現地地方当局によって管理されており、キャンプにおける難民支援は、主に内務省の許可を得たNGOによって行われています。NGOは月に1度会合を設け、役割分担を調整しており、キャンプの管理運営は非常にしっかりしているとの印象を受けました。 また、キャンプ内の施設は周辺地域より概して充実しており、周辺住民との摩擦や緊張もある様ですが、NGOなどの説明によれば、周辺地域には医療施設がほとんどないため、周辺住民がキャンプ内の医療施設を利用できるようにした結果、多少緊張は緩和されたようです。 2. 今後の見通し キャンプは既に飽和状態であり、高い出生率と新規到着者が減少しないことが見込まれる現状では、近い将来、キャンプの状況は悪化する可能性があります。また、いくつかのキャンプは国立公園内にあり、タイ政府は移動を検討していますが、適当な移動先が見つからないのが現状です。 キャンプで生活する多くの人々が、ミャンマーに平和が戻れば帰還したいと考えているようですが、武装闘争を続けるカレン民族同盟(KNU)とミャンマー政府との和平交渉に進展はなく、その可能性は現時点では非常に少ないと言わざるを得ません。また、難民がかつて生活していた村々には多数の地雷が埋設されている模様で、帰還による恒久的解決は容易ではなさそうです。
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