タイ
タイにおけるミャンマー難民の状況と支援活動 (2007年2月25日〜3月3日)

  難民事業本部はタイにおけるミャンマー難民の状況および支援活動を把握するため現地調査を実施しました。

1.タイにおけるミャンマー難民とミャンマー国内避難民キャンプ タイ・ミャンマー国境には13の難民キャンプがあります。NGOの統計によれば1984年に1万人だった難民は、2006年には約15万人まで増加しています。2007年2月の統計では、15万4,567人となっています。 2.タイ政府のミャンマー難民政策 2006年9月、陸軍を中心とするクーデターによりタクシン政権が倒れた後、スラユット枢密院顧問官が暫定首相に就任しました。スラユット政権はタクシン政権と同様、タイにおけるミャンマー難民を「Refugee」とは認めておらず、あくまで「Displaced Person」としています。他方、難民キャンプで暮らす人たちの自助努力を促すため、キャンプ内での職業訓練や英語教育を認めました。 3.今回調査した難民キャンプ

(1)バンマエナイソイ難民キャンプ

(2)メーラマルアン難民キャンプ

(3)メラウ難民キャンプ

4.現在の問題点

キャンプに滞在する難民の中には20年以上も滞在している人がいます。また、人口密度が時間の経過と共に過密となり、現在は人口過密の状態が続いています。しかし、キャンプ内の住居や公共施設の数に対して、キャンプの敷地面積が小さくなっています。医療施設、教育関連施設、商業施設の数が限られているだけでなく、老朽化が進んでおり、修復が必要なものも多くなっています。近隣の森林伐採などの環境問題も深刻化しています。さらに、性・ジェンダーに基づく暴力事件も増加しています。長引くキャンプ生活は、難民が教育や就職の機会にアクセスする障壁になっていますが、キャンプの外へ出ることは許可されていません。他方、自主帰還は現時点で不可能に近く、今の状態では、将来が見えにくい状況にあります。インタビューをした難民が取り上げた重要課題は、子供の教育の機会でした。10年生(日本で言うところの高校生)までの教育を修了した若者の活動(職業含む)の機会がなく、キャンプの外で教育や就職の機会を得る可能性が限られています。

5.解決策

タイにおけるミャンマー難民については、カヤ県、カイン県におけるミャンマー軍の軍事活動が理由で、ミャンマー側からの難民流出が続いており、自主帰還の条件が整っているとはいえません。また、キャンプの外に出ることが禁止されているので、地元の住民との交流が限られており、その上、キャンプ外における教育、就職等の機会がないため、庇護国(タイ)における統合はほとんど無いといえます。よって、現状では第三国定住事業が解決策といえます。 今回訪問した三つの難民キャンプから、第三国定住の受け入れを行っている国・人数は、カナダ699人、フィンランド376人、スウェーデン102人、ニュージーランド67人、オーストラリア30人、アメリカ合衆国25人、ノルウェー9人でした。
⇒詳しくは報告書をご覧ください(PDF 7.34MB)
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