ノルウェー
ノルウェーの難民受入と支援状況(2005年2月6日〜13日現地調査) 難民事業本部は、ノルウェーにおける第三国定住プログラムによって受け入れられた難民及び庇護(難民認定)申請者等に対する支援状況を把握するため現地調査を実施しました。 1.ノルウェーにおける難民受入政策の概要 ノルウェーが難民の受入れを開始したのは1940年代後半です。ノルウェーにおける難民受入政策の主な特徴としては、他の北欧諸国同様、難民の定着にあたっての、ノルウェー社会への適応の重視があげられます。この政策導入の背景には、移民・難民が定住後も国の援助に頼り、ノルウェー語習得や経済的自立がなされないこと等があります。ノルウェーはEUに加盟しておらず、政策そのものに協力関係はありませんが、シェンゲン協定(EUに属する一部が加盟する検問廃止協定)及びダブリン条約(EU加盟国の中で庇護(難民認定)申請の審査担当国を決定するための共通基準を確立した条約)を批准しています。また、新外国人法がEUの指針を基盤とした法律になっており、常にEUの難民政策を注視した政策をとっています。近年、ノルウェーでは、庇護申請者数の急増に対処するため、申請者に対する受入措置を厳格化する方向へ政策の方針転換を図っています。 2.難民の受入れ ノルウェーにおける難民の受け入れは二通り、すなわち、UNHCRの第三国定住プログラムに基づくクオータ制による受け入れ(クオータ難民)と庇護審査による個別の受入れ(個別難民)があります。ノルウェーにおける庇護手続は、通常手続と48時間手続にわかれており、両手続とも、登録は警察、第一次審査は移民局(The Directorate of Immigration (UDI))、異議審査は移民控訴庁(The Immigration Appeals Board (UNE))が行うこととなっています。48時間手続は、人権が保障されているとノルウェーがみなしている国の出身の申請者に適用されますが、48時間以内に審査結果が出されること以外、通常手続と審査方法等の違いはありません。クオータ難民の受け入れは、2002年までは年間で1,500人の受入枠を設定してきましたが、申請者の急増により最近は減少傾向にあります。2005年は、マレイシア及びタイのミャンマー難民、マラウィのブルンジ難民、ザンビア・マラウィのコンゴ(民)難民、フィリピンのベトナム人等、1,000人を受け入れる予定となっています。 3.庇護(難民認定)申請者に対する支援
ターナムトランジットセンター外観
申請者は、警察での登録後、国内8ヵ所にあるトランジットセンターに移送され、3週間から5週間入所します。その間、健康診断が行われ、また、NOAS(Norwegian Organization for Asylum Seekers)というNGOが以後の庇護(難民認定)手続等に関する情報提供を行います。その後、申請者は、全国に約140ヵ所あるレセプションセンターに移送され、財政支援、語学教育、職業紹介等の支援を受け、審査の結果が出るまで同センターに入所することとなります。申請者に対する支援は、入札によって選定されたNGO、民間企業等が行います。 4. クオータ難民及び条約難民等に対する定住支援
コンピューターを使ったノルウェー語教育
クオータ難民及び条約難民等に対する定住支援は、移民局が全国に約380ある地方自治体と難民受け入れに関する協定を結び、地方自治体(市)が政府から補助金を受けて、難民向けの「入門プログラム(Introductory Programme)」という2年間の定住支援プログラムを策定する方法で実施されています。難民はできるだけ早期に自立することが期待されており、入門プログラムの実施は地方自治体(市)の義務となっています。入門プログラムは、ノルウェー語の語学研修(約6ヵ月〜12ヵ月間)、語学実習(約6ヵ月間)、職業研修(約6ヵ月間)からなっており、担当者が個々のキャリアプランに応じたプログラム作りが行われます。対象となるのは、クオータ難民、条約難民、人道的配慮により定住を認められた人とその家族で、18歳から55歳までの人です。 ⇒詳しくは報告書をご覧ください(PDF 1.55MB)
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