ポルトガル
ポルトガルの条約難民、庇護申請者への支援状況 (2004年2月28日〜3月11日の現地調査)
ボバテーラ申請者受入施設の居室
ボバデーラ申請者受入施設の居室
難民事業本部では、スペイン、ポルトガル、イタリアにおける条約難民、庇護(難民認定)申請者(以下「申請者」)の支援状況を把握するため、2004年2月28日から3月11日まで現地調査を実施しました。 本稿では、ポルトガルにおける条約難民、申請者の受入施設について紹介します。 1.庇護(難民認定)手続 (1) 概要 庇護を希望する外国人は、ポルトガル国内に入ってから8日以内に警察へ申請を行わなければなりません。ポルトガルにおいて庇護(難民認定)審査を行うか否かの事前審査は、内務省の「外国人・国境サービス」が決定します。「外国人・国境サービス」によると、事前審査を通過するのは、全体の10%程度とのことです。事前審査の結果は、申請受付から20日以内に出されることになっていますが、20日を超えた場合は自動的に難民の該当性を問う実質審査へ進むことになります。実質審査を行うのは「難民に関する国家委員」です。実質審査ではより詳しい調査が行われ、その結果は、内務大臣へ勧告されます。内務大臣は「難民に関する国家委員」の勧告を受けてから8日以内に審査結果を出すこととなっています。 (2) 庇護(難民認定)申請処理状況 申請者数は1993年の1,659人をピークに年々減少傾向にあります。2003年は申請者数88人に対し認定者数は3人でした。申請者の出身国は多岐にわたり、2003年に申請を行った88人の国籍は37ヵ国に上ります。地域別に見ると、アフリカ地域が最も多く、中でもシエラレオネ、アンゴラ、ナイジェリアが多くなっています。 2.条約難民及び申請者に対する支援 (1) 条約難民支援 条約難民へは、ポルトガル国民と同様の権利と義務が与えられますが、その他に政府からの特別な支援はありません。 (2) 申請者支援 ポルトガルに到着した申請者に対して、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とポルトガル難民評議会(PRC)が5日間、食糧を配給しています。6日目以降は、PRCより1人当たり1週間につき50ユーロ(約6,500円)が支給されます。また、申請者は、PRCが運営している施設に最大2ヵ月間入所することができます。施設では、語学研修(週3回)やコンピューター研修などを受けることができます。さらに、就学年齢期にある申請者はポルトガル国民と同様の教育を受ける権利が与えられています。事前審査を通過した人には、庇護(難民認定)審査の結果がでるまでポルトガルに住む権利と働く権利も与えられます。 (3) 政府とNGOとの関係 ポルトガルで唯一、条約難民や申請者に対する支援を行っているNGOはPRCです。政府は毎年、PRCに対して補助金を支給しています。PRCはこの補助金を事務所経費や人件費に使用していますが、補助金の50%は直接、申請者を支援するためのプログラムに使用することが決められています。PRCは計画したプログラムの内容を政府に申告することとなっています。 ⇒ 詳しくは報告書をご覧ください(PDF 512KB)
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