2002年のPre-EXCOMに参加して
(2002年9月25日〜27日)
2002年9月25日から27日までの3日間、ジュネーブの欧州国際連合本部で2002年Pre−EXCOMが開催されました。Pre―EXCOMとは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と世界のNGOとの対話会合で、毎年秋に行われる執行委員会(EXCOM)の直前に開催されます。
今年は約180団体280名が参加、日本からは難民事業本部を含め2団体2名が参加しました。Pre−EXCOMの結果は、各国政府代表が集まって難民問題の現状と課題について話し合うEXCOMの場で発表されます。
今年の会議は例年と異なり、ワーキンググループが数多く設けられ、(1)人道援助機関のスタッフの安全、(2)人道援助と難民保護に関する基準と指針、(3)難民保護におけるNGOの役割、(4)人道援助活動にかかる資金、(5)国内避難民の支援、(6)難民の安全、(7)人道援助や難民保護に関わる人材の育成、(8)性的搾取の防止、(9)HIV/AIDSと難民、(10)地理情報システム、(11)人道援助活動に関する評価と説明責任、(12)UNHCRとNGO、NGO間のパートナーシップ、(13)UNHCRの財政の確保とその執行、(14)庇護希望者の接受、(15)世界食糧計画(WFP)とUNHCRとの覚書、(16)地域別の問題(アフリカ、アジア・太平洋、中央アジア・南西アジア・北アフリカ・中東、アメリカ、ヨーロッパ)関する議論が行われました。
今年の会議の特徴は、「難民の援助」だけではなく「難民の保護」に関して議論する場が数多く設けられたことです。これは、今年6月に「保護に関するアジェンダ(Agenda
for Protection)」が出されたことによります。「保護に関するアジェンダ」は、難民条約の再活性化と難民保護の強化を目的として、昨年1年かけて行われた会合(グローバルコンサルテーションズ)の集大成です。アジェンダには、庇護希望者・難民に対する国際的保護の強化のために国家、国際機関、NGO等が果たすべき役割が記されています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、「保護に関するアジェンダ」を受けて、「保護に関するガイドライン」作りにとりかかる予定です。会議では、ガイドライン作りにNGOがコミットメントすることが重要である、保護に関するトレーニングの開催が今後必要である等の意見がNGOから出されました。
世界各国が難民の受入れに消極的になっている中、今後、ガイドラインがどのようなものになり、ガイドラインを受けて各国がどのように難民の保護を行っていくのか注目していきたいものです。