2003.7.29
第1回日本語支援関係団体連絡会議の開催
2003年7月29日の難民対策連絡調整会議(内閣官房副長官(事務)を議長とする全省庁の局長クラス会議)において、官民連携による難民支援体制の強化や、難民支援に関する情報の積極的な発言等の具体的方策を盛り込んだ「難民に対する情報提供体制の整備について」が決定されました。
今後の多様な条約難民に対する日本語学習支援には難民支援NGOや日本語ボランティア団体をはじめ、地方自治体や日本語教育専門機関等と連携した総合的な施策の推進が必要であり、そのためには、情報の収集と発信、現状・課題づくりが求められています。
文化庁は、上記の難民対策連絡会議の決定を踏まえ、政府、難民事業本部、難民支援NGO、日本語ボランティア団体、地方自治体・国際交流協会及び日本語教育専門機関などを構成員とする「日本語支援関係団体連絡会議」を設置し、日本語支援に関する情報ネットワークと、諸問題に対処する連携協力体制を構築することとしました。
文化庁と難民事業本部が共催の連絡会議は、第1回目を2005年2月10日、文部科学省庁舎において、横浜市、相模原市、姫路市、特定非営利活動法人かながわ難民定住援助協会、特定非営利活動法人神戸定住外国人支援センター(KFC)日本語プロジェクト、社会福祉法人さぽうと21、独立行政法人国立国語研究所、社団法人国際日本語普及協会の参加をえて開催されました。各構成員から活動状況等の説明を行った後、インドシナ難民及び条約難民に対する地域の日本語支援活動の課題や2006年度以降の条約難民等に対する日本語教育について活発な意見交換が行われました。
第2回日本語支援関係団体連絡会議の開催
第2回目の会議は、2005年7月7日、学術総合センター会議室において、横浜市、相模原市、姫路市、特定非営利活動法人かながわ難民定住援助協会、特定非営利活動法人神戸定住外国人支援センター(KFC)日本語プロジェクト、社会福祉法人さぽうと21、独立行政法人国立国語研究所、社団法人国際日本語普及協会ら構成員の参加をえて開催されました。
2006年度以降の、難民に対する日本語教育支援策検討の参考とするため、先進諸外国の難民受け入れと支援の状況について、難民事業本部の調査団から報告しました。さらに、国内の難民に対する日本語教育の支援の現状について、ベトナム人児童が多く在籍する小学校から事例報告がありました。また、難民支援に関する官民のネットワークづくりについて、日本語教育専門機関の立場から、国立国語研究所および国際日本語普及協会からパソコン、インターネット、通信システムの活用等について実例を交えて説明がありました。
第3回日本語支援関係団体連絡会議の開催
第3回目の会議は、2006年3月6日、学術総合センター会議室において、会議構成員である横浜市、横浜市国際交流協会、相模原市、姫路市、特定非営利活動法人かながわ難民定住援助協会、特定非営利活動法人神戸定住外国人支援センター(KFC)日本語プロジェクト、社会福祉法人さぽうと21、独立行政法人国立国語研究所、社団法人国際日本語普及協会(順不同)からの出席を得て開催されました。
主催者の文化庁国語課からは、難民事業本部が4月から新たに東京都内に開設する条約難民対象の定住支援施設で提供する日本語教育の概要について報告がありました。
その他難民に対する日本語支援の事例報告として、難民事業本部の日本語教育相談員から各地の日本語ボランティア教室の取り組みや、進学を希望する難民の抱える問題点等について紹介しました。
さらに、難民児童・生徒の学習支援の現況として、姫路市国際交流協会からこれまでの学校だけの取り組みではなく、学校、ボランティアに加えて、地域の自治会等も協力して取り組む支援体制について報告がありました。特にPTA組織と連携した母語、母国文化継承ための講座や学習会が興味深い例として取り上げられました。横浜市国際交流協会から、学校との連携により学校授業の中にボランティアが入って教師を補助する試みや母語を用いた学習支援のモデル事業について、また、神奈川県秦野市の上智短期大学から同校の学生ボランティアグループが行う家庭訪問型の学習支援について報告がありました。
近年学校現場では、難民児童・生徒の中にも不就学・不登校等の問題、日本語力に起因する学力不足の問題等が見受けられるため、引き続き関係各方面との情報交換を行っていくことが重要であるとの意見で一致しました。
最後に主催者から、本会議は、政府の実施する難民に対する日本語教育の対象が、インドシナ難民から条約難民に移行することを受け、平成18年度以降、会議構成員等を見直した上で、引き続き開催していくことの報告がありました。