難民とは

日本に暮らす難民

現在日本には、難民条約に基づく難民として政府が認定した条約難民が、平成30年末の時点で750名いるほか、1975年のベトナム戦争終結後、インドシナ三国(ベトナム、カンボジア、ラオス)で発生した政変に伴い祖国から逃れてきたインドシナ難民(昭和53年~平成17年までの間で11,319人受入)、さらには2010年から日本政府が受入れを開始した第三国定住ミャンマー難民(2019年10月までにパイロットケースとあわせて合計50家族194名)が我が国で定住しています。

難民事業本部は、日本で生活するこれらの難民に対して、日本語教育や日本社会の制度、生活習慣に関する指導、就職のあっせんを行っているほか、日本での自立定住に向けた各種の支援を行っています。

日本の難民受入れと国際社会の動き(年表)

  世界の動き 日本の動き 難民事業部の動き
1975~1978

S50~S53
75年4月17日 プノンペン陥落


75年4月30日 サイゴン陥落


75年12月2日 ラオス人民民主共和国成立


76年1月3日 民主カンボジア成立 大量の難民発生


76年7月2日 ベトナム社会主義共和国成立
75年5月12日 初めてボートピープルが日本に上陸

77年9月20日 「ベトナム難民対策について」閣議了解


78年4月28日 「ベトナム難民の定住許可について」閣議了解


78年9月3日 本邦一時滞在難民に対し初めて定住許可
 
1979
S54
5月30日 UNHCRとベトナム政府間で合法出国計画(ODP)実施に関する覚書締結

7月20-21日 インドシナ難民問題国際会議開催
2月7日 外務省アジア局に「東南アジア難民問題対策室」設置
4月3日 閣議了解により500人の定住枠を設定


7月13日 内閣に「インドシナ難民対策連絡調整会議」設置
11月2日 政府より業務委託を受け、アジア福祉教育財団内に難民事業本部(RHQ)が発足

12月11日 姫路定住促進センター開所
1980
S55
3月 UNHCRとラオス政府の共同で難民自主帰還計画に着手


5月26日~27日 カンボジア難民救済国際会議開催
2月2日 民間団体によって「インドシナ難民救援連絡会」発足


6月17日 閣議了解により定住枠500人から1000人に拡大、ベトナムからの家族呼び寄せ(ODP)の許可
1月10~26日 第一回本邦定住条件適格者調査団を東南アジアの難民キャンプに派遣


2月29日 大和定住促進センター開所
1981
S56
  4月28日 閣議了解により定住枠1000人から3000人に拡大、元留学生などを定住枠の対象に含める


6月5日 難民条約締結を国会承認


12月17日 家族呼寄せ(ODP)で20人が初来日
7月17日 レセプションセンターの運営委託が閣議了解で決定

8月1日 レセプションセンター準備室発足
1982
S57
6月22日 民主カンボジア連合政権成立 1月1日 難民条約発効


1月1日 「出入国管理及び難民認定法」施行


7月6日 行政管理庁による「難民行政監察結果に基づく勧告」が出される
2月1日 大村難民一時レセプションセンター開所


3月27日 姫路定住促進センターにベトナムからの呼寄せ家族(ODP)が初めて入所
7月 難民事業に対する行政監察
1983
S58
  11月1日 閣議了解により定住枠が3,000人から5,000人に拡大 3月7~15日 難民定住調査のため米国に調査団派遣
4月1日 国際救援センター開所
1984
S59
    11月 広尾に財団ビル完成、財団事務局と難民事業本部が入居
1985
S60
  7月9日 閣議了解により定住枠が5,000人から10,000人に拡大 10月1日 難民相談員制度発足
1987
S62
  8月28日~9月18日 本邦定住ベトナム難民が初めて一時帰国
12月 本邦難民定住者数が5,000人を超える
 
1988
S63
  12月 本邦定住カンボジア難民が初めて一時帰国 11月17日 インドシナ難民定住促進懇談会開催
1989
H1
6月13~14日 インドシナ難民国際会議にて、CPA(包括的行動計画)の開始が決定


9月30日 カンボジアからのベトナム軍撤退完了
6~8月 いわゆる偽装難民の上陸


6月13~14日 国際会議において、今後3年間で1,000人のベトナム難民の本邦受け入れを表明
8月4日 ボート・ピープルの年間本邦上陸者数が過去最高を記録


9月12日 閣議了解により、難民資格審査(スクリーニング)制度開始
定住難民日本語学習援助事業開始


6月30日 いわゆる偽装難民が国際救援センターに入所


7月10日 難民事業本部が「外務大臣表彰」を受賞


8月30日 国際救援センターの入所者数が過去最高を記録(1,254人)


9月16~18日 国際救援センターにてベトナム難民入所者と中国系入所者が衝突


10月5~12日 国際救援センターに入所するベトナム難民95人が都の施設へ一時緊急避難


10月24日 いわゆる偽装難民658人が入管施設に移送される


12月12日 財団設立20周年及び難民事業本部設置10周年の記念式典を開催
1990
H2
  6月1日 いわゆる偽装難民の中国送還のため改正入管法が施行 10月27日 皇后陛下より花と茶菓子等が国際救援センターに下賜
1991
H3
1月1日 第8代難民高等弁務官に緒方貞子氏が就任   8月2日 ベトナムからの家族呼び寄せ(ODP)者が初めて国際救援センターに入所
1992
H4
国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)発足


3月30日 カンボジア難民の帰還開始
  10月 インドシナ難民定住状況調査を実施
1993
H5
3月30日 カンボジア難民の帰還終了


9月24日 カンボジア王国の新政府発足、新憲法公布
   
1994
H6
2月14日 インドシナ難民国際会議にて、95年末までのインドシナ難民問題の解決を決定 3月4日 閣議了解によりボートピープルのスクリーニング制度廃止(以降不法入国扱い)


12月6日 閣議了解により10,000人の定住枠を廃止
大和定住促進センターの全面改築工事
1995
H7
7月 ベトナム、東南アジア諸国連合ASEANへ加盟
8月5日 アメリカとベトナムの国交正常化
1月17日 阪神・淡路大震災でベトナム難民約700人が被災
10月26日 内閣がインドシナ難民フォーラムを開催


10月27~28日 外務省等がインドシナ難民国際セミナーを開催
3月8日 国際救援センターにて一般入国者が初めて入所する
3月31日 大村難民一時レセプションセンター閉所


4月 難民認定申請者への援助事業を外務省より委託し開始


4月 難民支援海外事業等を開始

4月1日~2003年3月 日本語通信教育事業開始


10月1日~1997年3月31日 地震被災者のため神戸事務所を設置
1996
H8
3月5~6日 インドシナ難民国際会議にて、CPA(包括的行動計画)の6月末終了を決定、各国のインドシナ難民受入れが終了に向かう 本邦の難民定住者が10,000人を超える 1月14日~2月3日 ベトナムODPの現地面接調査開始
3月18~19日 「難民の国際保護に関するワークショップ」開催(UNHCRとの共催)
3月31日 姫路定住促進センターを閉所


6月18日 関西支部を開設


10月1日、18~19日 「プログラムマネージメントワークショップ」開催(UNHCRとの共催)
11月19日 「インドシナ難民定住促進セミナー」を神戸にて開催(内閣との共催)
1997
H9
7月 ミャンマーとラオスがASEANへ加盟   7月 第一回連続セミナー「わたしたちの難民問題」開催
1998
H10
    3月31日 大和定住促進センターを閉所
1999
H11
4月 カンボジアがASEANへ加盟


12月 タイ、バン・ナポキャンプのラオス難民帰還終了
  1月31日 第一回インドシナ難民児童に対する日本語教育勉強会開催
7月23日 第一回難民理解出前講座開催


10月24日 財団設立30周年及び難民事業本部設置20周年の記念式典を開催
2000
H12
12月31日 第8代難民高等弁務官を緒方貞子氏が退任   4月22日 シンポジウム「これからの難民支援」を神戸にて開催
2001
H13
6月2日 国連が6月20日を「世界難民の日」に定める   8月2~3日 難民支援機関スタディツアーを開催
2002
H14
  8月7日 閣議了解により、03年度より条約難民に対し定住支援の実施を決定。また、「インドシナ難民連絡調整会議」に代わり、新たに「難民対策連絡調整会議」の設置を決定  
2003
H15
  3月14日 ベトナム難民の家族呼寄せ(ODP) の申請受付を04年3月末を以て終了することを決定 9月 国際救援センターへの条約難民の入所を開始

12月 難民認定申請者の緊急宿泊施設「ESFRA」開設
2004
H16
    6月24日 シンポジウム「難民問題の現状と国際公共政策の課題」開催
2005
H17
  5月16日 改正入管法施行により難民審査参与員制度導入 6月18日 シンポジウム「日本における難民支援のこれから」開催
2006
H18
    3月31日 国際救援センターを閉所


4月 RHQ支援センターを開所
2007
H19
    3月24日 シンポジウム「難民の定住課題」開催
2008
H20
  12月16日 閣議了解により第三国定住による難民受入れに関するパイロットケースの実施を決定


12月19日 難民対策連絡調整会議により第三国定住による難民受入れに関するパイロットケースの具体的措置を決定
3月1日 シンポジウム「日本における難民条約発効25周年を迎えて」開催


12月12日 財団設立40周年及び難民事業本部設立30周年の記念式典を開催
2010
H22
    9月~11年3月 RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第1陣5家族27名に対する定住支援プログラムを実施
2011
H23
シリア内戦の発生   9月~12年3月 RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第2陣4家族18名に対する定住支援プログラムを実施
2012
H24
  3月29日 難民対策連絡調整会議により、3年間としていた第三国定住による難民受入れに関するパイロットケースの実施を2年間延長することを決定


7月9日 在留管理制度が「外国人登録」制度から「在留カード」制度に変更
4月1日 アジア福祉教育財団が公益財団法人格を取得
2013
H25
  3月8日 難民対策連絡調整会議により、第三国定住による難民受入れに関するパイロットケースの受入れ対象範囲の拡大を決定 9月~14年3月 RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第4陣4家族18名に対する定住支援プログラムを実施
2014
H26
  1月24日 閣議了解によりパイロットケース終了後の第三国定住による難民受入れの継続的な実施と新たな受入れ対象範囲を決定 9月~15年3月 RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第5陣5家族23名に対する定住支援プログラムを実施
2015
H27
欧州への難民の流入が激増、EU加盟国への庇護申請者が100万人を超え過去最高を記録 5月 G7伊勢志摩サミットにてシリア人留学生を5年間で最大150人受け入れることを発表 9月~16年3月 RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第6陣6家族19名に対する定住支援プログラムを実施
2016
H28
3月 欧州における難民の大量流入への対応策としてEUとトルコが共同で「EU・トルコ声明」を発表


9月19日 国連にて「難民と移民に関する国連サミット」開催、ニューヨーク宣言を採択
  9月~17年3月 RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第7陣7家族18名に対する定住支援プログラムを実施
2017
H29
8月 ミャンマーラカイン州にて発生した武力衝突により推計数十万人が隣国バングラデシュに避難 6月30日 難民対策連絡調整会議により、第三国定住難民に対して法務省が証明書を交付することが決定 9月~18年3月 RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第8陣8家族29名に対する定住支援プログラムを実施
2018
H30
12月17日 国連にて「難民に関するグローバルコンパクト」が採択   9月~19年3月 RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第9陣5家族22名に対する定住支援プログラムを実施
2019
H31(R1)
  6月28日 閣議了解により、第三国定住による難民の定住許可要件が令和2年4月1日から変更となり、受け入れ可能な難民がマレーシアのミャンマー難民からアジア地域に一時滞在する難民へと拡大 9月~ RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第10陣6家族20名に対する定住支援プログラムを実施
2020
R2
6月~ RHQ支援センターにおける条約難民に対する定住支援プログラムにオンライン授業を導入
2021
R3
2月 ミャンマーで軍によるクーデターが発生


8月 アフガニスタンから米軍撤退、武装勢力タリバンがカブールへ進攻し暫定政権樹立を発表

インドシナ難⺠日本定住まで(2006年3月まで)

*注1: ODP(合法出国計画)により日本へ入国できるのは、ベトナム脱出時に離散した家族です。


*注2: 国際救援センターは条約難民の家族も受け入れています。

家族再会を目的とする合法出国計画(ODP:Orderly Departure Program)による、ベトナムからの家族呼び寄せの申請受付けは、 平成16年3月31日で終了しました。

日本定住まで

難民対策連絡調整会議構成員と難民事業本部

インドシナ難民定住許可数の推移

(2005年12月31日をもって終了)(出典:法務省資料)
国内 海外 元留学生 ODP 合計
1978年 3 - 0 0 3
1979年 2 92 0 0 94
1980年 50 346 0 0 396
1981年 48 393 742 20 1203
1982年 216 217 0 23 456
1982年 216 217 0 23 456
1983年 395 248 0 32 675
1984年 738 229 0 12 979
1985年 484 240 0 62 730
1986年 129 149 0 28 306
1987年 262 291 0 26 579
1988年 164 193 0 143 500
1989年 152 194 0 115 461
1990年 171 321 0 242 734
1991年 263 370 0 147 780
1992年 239 411 0 142 792
1993年 97 300 0 161 558
1994年 84 165 0 207 456
1995年 30 85 0 116 231
1996年 1 4 0 146 151
1997年 1 4 0 152 157
1998年 5 5 0 122 135
1999年 1 5 0 152 158
2000年 0 9 0 126 135
2001年 0 40 0 91 131
2002年 0 15 0 129 144
2003年 1 9 0 136 146
2004年 0 18 0 126 144
2005年 0 19 0 69 88
3536 4372 742 2669 11319

インドシナ難民定住許可数

(2005年12月31日をもって終了)(出典:法務省資料)

インドシナ難民等定住状況

(2019年3月31日現在 難民事業本部調べ)
都道府県 居住数
北海道 3
青森 1
岩手 1
宮城 8
山形 1
福島 18
茨城 97
栃木 196
群馬 527
埼玉 1,194
千葉 319
東京 953
神奈川 3,598
新潟 25
福井 2
山梨 40
長野 3
岐阜 4
静岡 478
愛知 67
都道府県 居住数
三重 7
滋賀 57
京都 12
大阪 490
兵庫 1,550
奈良 14
和歌山 15
岡山 11
広島 62
山口 6
鳥取 1
愛媛 8
福岡 14
長崎 25
熊本 3
大分 2
宮崎 18
鹿児島 1
沖縄 5
全国合計 9,836

インドシナ難民定住者の帰化人数(累計)

(2021年3月31日現在 難民事業本部調べ)
出身地別 合計
ベトナム 677 485 1,162
ラオス 96 123 219
カンボジア 187 179 366
960 787 1,747

難民認定申請及び認定者数の推移

(2021.3.31現在 出典:法務省資料)
申請数 認定 人道配慮による在留※
1982年 530 67 -
1983年 44 63 -
1984年 62 31 -
1985年 29 10 -
1986年 54 3 -
1987年 48 6 -
1988年 47 12 -
1989年 50 2 -
1990年 32 2 -
1991年 42 1 7
1992年 68 3 2
1993年 50 6 3
1994年 73 1 9
1995年 52 2 3
1996年 147 1 3
1997年 242 1 3
1998年 133 16 42
1999年 260 16 42
申請数 認定 人道配慮による在留※
2000年 216 22 36
2001年 353 26 67
2002年 250 14 40
2003年 336 10 16
2004年 426 15 9
2005年 384 46 97
2006年 954 34 53
2007年 816 41 88
2008年 1,599 57 360
2009年 1,388 30 501
2010年 1,202 39 363
2011年 1,867 21 248
2012年 2,545 18 112
2013年 3,260 6 151
2014年 5,000 11 110
2015年 7,586 27 79
2016年 10,901 28 97
2017年 19,629 20 45
2018年 10,493 42 40
2019年 10,375 44 37
2020年 3,936 47 44
合計 85,479 841 2,709
※注 難民不認定とされた者のうち人道配慮することとされた者の数であり、在留資格変更許可及び期間更新許可数も含まれます。

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