日本に暮らす難民

日本に暮らす難民

現在日本には、難民条約に基づく難民として政府が認定した条約難民が、令和4年末の時点で1,117名いるほか、1975年のベトナム戦争終結後、インドシナ三国(ベトナム、カンボジア、ラオス)で発生した政変に伴い祖国から逃れてきたインドシナ難民(昭和53年~平成17年までの間で11,319人受入)、さらには2010年から日本政府が受入れを開始した第三国定住難民(2023年4月までに90世帯250名)が我が国に定住しています。

難民事業本部は、日本で生活するこれらの難民に対して、日本語教育や日本社会の制度、生活習慣に関する指導、就職のあっせんを行っているほか、日本での自立定住に向けた各種の支援を行っています。

日本の難民受入れと国際社会の動き(年表)

年度 世界の動き 日本の動き 難民事業部の動き
1975~1978S50~S53
75年4月17日
プノンペン陥落
75年4月30日
サイゴン陥落
75年12月2日
ラオス人民民主共和国成立
76年1月3日
民主カンボジア成立
大量の難民発生
76年7月2日
ベトナム社会主義共和国成立
75年5月12日
初めてボートピープルが日本に上陸
77年9月20日
「ベトナム難民対策について」閣議了解
78年4月28日
「ベトナム難民の定住許可について」閣議了解
78年9月3日
本邦一時滞在難民に対し初めて定住許可
1979S54
5月30日
UNHCRとベトナム政府間で合法出国計画(ODP)実施に関する覚書締結
7月20-21日
インドシナ難民問題国際会議開催
2月7日
外務省アジア局に「東南アジア難民問題対策室」設置
4月3日
閣議了解により500人の定住枠を設定
7月13日
内閣に「インドシナ難民対策連絡調整会議」設置
11月2日
政府より業務委託を受け、アジア福祉教育財団内に難民事業本部(RHQ)が発足
12月11日
姫路定住促進センター開所
1980S55
3月
UNHCRとラオス政府の共同で難民自主帰還計画に着手
5月26日-27日
カンボジア難民救済国際会議開催
2月2日
民間団体によって「インドシナ難民救援連絡会」発足
6月17日
閣議了解により定住枠500人から1000人に拡大、ベトナムからの家族呼び寄せ(ODP)の許可
1月10-26日
第一回本邦定住条件適格者調査団を東南アジアの難民キャンプに派遣
2月29日
大和定住促進センター開所
1981S56
4月28日
閣議了解により定住枠1000人から3000人に拡大、元留学生などを定住枠の対象に含める
6月5日
難民条約締結を国会承認
12月17日
家族呼寄せ(ODP)で20人が初来日
7月17日
レセプションセンターの運営委託が閣議了解で決定
8月1日
レセプションセンター準備室発足
1982S57
6月22日
民主カンボジア連合政権成立
1月1日
難民条約発効
1月1日
「出入国管理及び難民認定法」施行
7月6日
行政管理庁による「難民行政監察結果に基づく勧告」が出される
2月1日
大村難民一時レセプションセンター開所
3月27日
姫路定住促進センターにベトナムからの呼寄せ家族(ODP)が初めて入所
7月
難民事業に対する行政監察
1983S58
11月1日
閣議了解により定住枠が3,000人から5,000人に拡大
3月7-15日
難民定住調査のため米国に調査団派遣
4月1日
国際救援センター開所
1984S59
11月
広尾に財団ビル完成、財団事務局と難民事業本部が入居
1985S60
7月9日
閣議了解により定住枠が5,000人から10,000人に拡大
10月1日
難民相談員制度発足
1987S62
8月28日-9月18日
本邦定住ベトナム難民が初めて一時帰国
12月
本邦難民定住者数が5,000人を超える
3月7-15日
難民定住調査のため米国に調査団派遣
1988S63
12月
本邦定住カンボジア難民が初めて一時帰国
11月17日
インドシナ難民定住促進懇談会開催
1989H1
6月13-14日
インドシナ難民国際会議にて、CPA(包括的行動計画)の開始が決定
9月30日
カンボジアからのベトナム軍撤退完了
6-8月
いわゆる偽装難民の上陸
6月13-14日
国際会議において、今後3年間で1,000人のベトナム難民の本邦受け入れを表明
8月4日
ボート・ピープルの年間本邦上陸者数が過去最高を記録
9月12日
閣議了解により、難民資格審査(スクリーニング)制度開始
定住難民日本語学習援助事業開始

6月30日
いわゆる偽装難民が国際救援センターに入所
7月10日
難民事業本部が「外務大臣表彰」を受賞
8月30日
国際救援センターの入所者数が過去最高を記録(1,254人)
9月16-18日
国際救援センターにてベトナム難民入所者と中国系入所者が衝突
10月5-12日
国際救援センターに入所するベトナム難民95人が都の施設へ一時緊急避難
10月24日
いわゆる偽装難民658人が入管施設に移送される
12月12日
財団設立20周年及び難民事業本部設置10周年の記念式典を開催
1990H2
6月1日
いわゆる偽装難民の中国送還のため改正入管法が施行
10月27日
皇后陛下より花と茶菓子等が国際救援センターに下賜
1991H3
1月1日
第8代難民高等弁務官に緒方貞子氏が就任
8月2日
ベトナムからの家族呼び寄せ(ODP)者が初めて国際救援センターに入所
1992H4 国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)発足

3月30日
カンボジア難民の帰還開始
10月
インドシナ難民定住状況調査を実施
1993H5
3月30日
カンボジア難民の帰還終了
9月24日
カンボジア王国の新政府発足、新憲法公布
1994H6
2月14日
インドシナ難民国際会議にて、95年末までのインドシナ難民問題の解決を決定
3月4日
閣議了解によりボートピープルのスクリーニング制度廃止(以降不法入国扱い)
12月6日
閣議了解により10,000人の定住枠を廃止
大和定住促進センターの全面改築工事
1995H7
7月
ベトナム、東南アジア諸国連合ASEANへ加盟
8月5日
アメリカとベトナムの国交正常化
1月17日
阪神・淡路大震災でベトナム難民約700人が被災
10月26日
内閣がインドシナ難民フォーラムを開催
10月27-28日
外務省等がインドシナ難民国際セミナーを開催
3月8日
国際救援センターにて一般入国者が初めて入所する
3月31日
大村難民一時レセプションセンター閉所
4月
難民認定申請者への援助事業を外務省より委託し開始
4月
難民支援海外事業等を開始
4月日-2003年3月
日本語通信教育事業開始
10月1日-1997年3月31日
地震被災者のため神戸事務所を設置
1996H8
3月5-6日
インドシナ難民国際会議にて、CPA(包括的行動計画)の6月末終了を決定、各国のインドシナ難民受入れが終了に向かう
本邦の難民定住者が10,000人を超える
1月14日-2月3日
ベトナムODPの現地面接調査開始
3月18-19日
「難民の国際保護に関するワークショップ」開催(UNHCRとの共催)
3月31日
姫路定住促進センターを閉所
6月18日
関西支部を開設
10月1日、18~19日
「プログラムマネージメントワークショップ」開催(UNHCRとの共催)
11月19日
「インドシナ難民定住促進セミナー」を神戸にて開催(内閣との共催)
1997H9
7月
ミャンマーとラオスがASEANへ加盟
7月
第一回連続セミナー「わたしたちの難民問題」開催
1998H10
3月31日
大和定住促進センターを閉所
1999H11
4月
カンボジアがASEANへ加盟
12月
タイ、バン・ナポキャンプのラオス難民帰還終了
1月31日
第一回インドシナ難民児童に対する日本語教育勉強会開催
7月23日
第一回難民理解出前講座開催
10月24日
財団設立30周年及び難民事業本部設置20周年の記念式典を開催
2000H12
12月31日
第8代難民高等弁務官を緒方貞子氏が退任
4月22日
シンポジウム「これからの難民支援」を神戸にて開催
2001H13
6月2日
国連が6月20日を「世界難民の日」に定める
8月2-3日
難民支援機関スタディツアーを開催
2002H14
8月7日
閣議了解により、03年度より条約難民に対し定住支援の実施を決定。また、「インドシナ難民連絡調整会議」に代わり、新たに「難民対策連絡調整会議」の設置を決定
2003H15
3月14日
ベトナム難民の家族呼寄せ(ODP)の申請受付を04年3月末を以て終了することを決定
9月
国際救援センターへの条約難民の入所を開始
12月
難民認定申請者の緊急宿泊施設「ESFRA」開設
2004H16
6月24日
シンポジウム「難民問題の現状と国際公共政策の課題」開催
2005H17
5月16日
改正入管法施行により難民審査参与員制度導入
6月18日
シンポジウム「日本における難民支援のこれから」開催
2006H18
3月31日
国際救援センターを閉所
4月
RHQ支援センターを開所
2007H19
3月24日
シンポジウム「難民の定住課題」開催
2008H20
12月16日
閣議了解により第三国定住による難民受入れに関するパイロットケースの実施を決定
12月19日
難民対策連絡調整会議により第三国定住による難民受入れに関するパイロットケースの具体的措置を決定
3月1日
シンポジウム「日本における難民条約発効25周年を迎えて」開催
12月12日
財団設立40周年及び難民事業本部設立30周年の記念式典を開催
2010H22
9月-11年3月
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第1陣5世帯27名に対する定住支援プログラムを実施
2011H23 シリア内戦の発生
9月-12年3月
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第2陣4世帯18名に対する定住支援プログラムを実施
2012H24
3月29日
難民対策連絡調整会議により、3年間としていた第三国定住による難民受入れに関するパイロットケースの実施を2年間延長することを決定
7月9日
在留管理制度が「外国人登録」制度から「在留カード」制度に変更
4月1日
ジア福祉教育財団が公益財団法人格を取得
2013H25
3月8日
難民対策連絡調整会議により、第三国定住による難民受入れに関するパイロットケースの受入れ対象範囲の拡大を決定
9月-14年3月
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第4陣4世帯18名に対する定住支援プログラムを実施
2014H26
1月24日
閣議了解によりパイロットケース終了後の第三国定住による難民受入れの継続的な実施と新たな受入れ対象範囲を決定
9月-15年3月
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第5陣5世帯23名に対する定住支援プログラムを実施
2015H27 閣議了解によりパイロットケース終了後の第三国定住による難民受入れの継続的な実施と新たな受入れ対象範囲を決定
5月
G7伊勢志摩サミットにてシリア人留学生を5年間で最大150人受け入れることを発表
9月-16年3月
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第6陣6世帯19名に対する定住支援プログラムを実施
2016H28
3月
欧州における難民の大量流入への対応策としてEUとトルコが共同で「EU・トルコ声明」を発表
9月19日
国連にて「難民と移民に関する国連サミット」開催、ニューヨーク宣言を採択
9月-17年3月
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第7陣7世帯18名に対する定住支援プログラムを実施
2017H29
8月
ミャンマーラカイン州にて発生した武力衝突により推計数十万人が隣国バングラデシュに避難
6月30日
難民対策連絡調整会議により、第三国定住難民に対して法務省が証明書を交付することが決定
9月-18年3月
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第8陣8世帯29名に対する定住支援プログラムを実施
2018H30
12月17日
国連にて「難民に関するグローバルコンパクト」が採択
9月-19年3月
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第9陣5世帯22名に対する定住支援プログラムを実施
2019H31(R1)
6月28日
閣議了解により、第三国定住による難民の定住許可要件が令和2年4月1日から変更となり、受け入れ可能な難民がマレーシアのミャンマー難民からアジア地域に一時滞在する難民へと拡大
9月-
RHQ支援センターで第三国定住難民(ミャンマー難民)第10陣6世帯20名に対する定住支援プログラムを実施
2020R2
6月-
RHQ支援センターにおける条約難民に対する定住支援プログラムにオンライン授業を導入
2021R3
2月
ミャンマーで軍によるクーデターが発生
8月
アフガニスタンから米軍撤退、武装勢力タリバンがカブールへ進攻し暫定政権樹立を発表
2022R4
2月
ウクライナにロシア軍が軍事侵攻開始
3月
ウクライナ避難民対策連絡調整会議の設置を決定
3月
政府より委託を受け、避難民受入支援業務を開始
4月-
RHQ支援センターで第三国定住難民第11陣4世帯6名に対する定住支援プログラムを実施
10月
RHQ支援センターで第三国定住難民第12陣16世帯29名に対する定住支援プログラムを実施
2023R5
12月
第2回グローバル難民フォーラム(GRF)
6月
改正出入国管理及び難民認定法成立
4月
RHQ支援センターで第三国定住難民第13陣20世帯21名に対する定住支援プログラムを実施

インドシナ難民・条約難民の日本定住まで

*注1: ODP(合法出国計画)により日本へ入国できるのは、ベトナム脱出時に離散した家族です。
*注2: 国際救援センターは条約難民の家族も受け入れています。

難民対策連絡調整会議構成員と難民事業本部

インドシナ難民定住許可数の推移

国内 海外 元留学生 ODP 合計
1978年 3 0 0 3
1979年 2 92 0 0 94
1980年 50 346 0 0 396
1981年 48 393 742 20 1203
1982年 216 217 0 23 456
1983年 395 248 0 32 675
1984年 738 229 0 12 979
1985年 484 240 0 6 730
1986年 129 149 0 28 306
1987年 262 291 0 26 579
1988年 164 193 0 143 500
1989年 152 194 0 115 461
1990年 171 321 0 242 734
1991年 263 370 0 147 780
1992年 239 411 0 142 792
1993年 97 300 0 161 558
1994年 84 165 0 207 456
1995年 30 85 0 116 231
1996年 1 4 0 146 151
1997年 1 4 0 152 157
1998年 5 5 0 122 132
1999年 1 5 0 152 158
2000年 0 9 0 126 135
2001年 0 40 0 91 131
2002年 0 15 0 129 144
2003年 1 9 0 136 146
2004年 0 18 0 126 144
2005年 0 19 0 69 88
3536 4372 742 2669 11319

(2005年12月31日をもって終了)(出典:法務省資料)

インドシナ難民定住許可数

(2005年12月31日をもって終了)(出典:法務省資料)

インドシナ難民等の定住状況

都道府県 居住数
北海道 3
青森 1
岩手 1
宮城 8
山形 1
福島 18
茨城 97
栃木 196
群馬 527
埼玉 1,194
千葉 319
東京 953
神奈川 3,598
新潟 25
福井 2
山梨 40
長野 3
岐阜 4
静岡 478
愛知 67
三重 7
滋賀 57
京都 12
大阪 490
兵庫 1,550
奈良 14
和歌山 15
岡山 11
広島 62
山口 6
鳥取 1
愛媛 8
福岡 14
長崎 25
熊本 3
大分 2
宮崎 18
鹿児島 1
沖縄 5
全国合計 9,836

(2019年3月31日現在 難民事業本部調べ)

インドシナ難民定住者の帰化人数(累計)

出身地域 合計
ベトナム 709 498 1,207
ラオス 98 125 223
カンボジア 191 185 376
998 808 1,806

(2023年3月31日現在 難民事業本部調べ)

難民認定申請及び認定者数の推移

申請数 認定 人道配慮医による在留
1982年 530 67
1983年 44 63
1984年 62 31
1985年 29 10
1986年 54 3
1987年 48 6
1988年 47 12
1989年 50 2
1990年 32 2
1991年 42 1 7
1992年 68 3 2
1993年 50 6 3
1994年 73 1 9
1995年 52 2 3
1996年 147 1 3
1997年 242 1 3
1998年 133 16 42
1999年 260 16 42
2000年 216 22 36
2001年 353 26 67
2002年 250 14 40
2003年 336 10 16
2004年 426 15 9
2005年 384 46 97
2006年 954 34 53
2007年 816 41 88
2008年 1,599 57 360
2009年 1,388 30 501
2010年 1,202 39 363
2011年 1,867 21 248
2012年 2,545 18 112
2013年 3,260 6 151
2014年 5,000 11 110
2015年 7,586 27 79
2016年 10,901 28 97
2017年 19,629 20 45
2018年 10,493 42 40
2019年 10,375 44 37
2020年 3,963 47 44
2021年 2,413 74 580
2022年 3,772 202 1,760
合計 91,664 1,117 5,049

(2022.12月現在 出典:出入国在留管理庁)